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【インタビュー】『高速道路家族』チョン・イル “この結末が果たして幸せなのか、不幸なのか”

チョン・イル、ラ・ミランのW主演作、映画『高速道路家族』がシネマート新宿ほか全国順次公開中。

韓国を超え、アジアで幅広い人気を得ている俳優チョン・イル。彼が7年ぶりのスクリーン復帰作に選んだのが、『高速道路家族』の主人公、破滅的で強烈な父親ギウだった。本作で俳優としての評価を一層高めた彼が、先日来日。演じたギウという役柄、そして本作への思いを語ってくれた。


チョン・イル 

― 『高速道路家族』で演じられた“ギウ”という人物は、チョン・イルさんの俳優としてのイメージを大きく変えてしまうような強烈なキャラクターです。演じることに不安はありませんでしたか?

チョン・イル 『高速道路家族』は私にとって、約7年ぶりのスクリーン主演復帰作ですから、やはり怖さはありました。しかし、ギウは様々な姿を表現できる、俳優なら誰しも演じてみたい役だと思います。怖い気持ちはありましたが、挑戦を選びました。

ギウは感情の起伏がとてもダイナミックです。彼を理解し、彼の感情が自分自身の胸に迫っているからこそ表現ができると考え、監督とギウについて本当にたくさん話をしました。そういう作業を経て、ギウという人物に深みが生まれていったと思います。

『高速道路家族』のチョン・イル
©2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.

― 監督と交わした会話で特に心に残っていることは?

チョン・イル 監督がしきりに仰っていたことは、序盤で家族がいかに幸せそうかが大切だということでした。ああいう生活をしていても、彼らがとても幸せそうだと感じられてこそ、その後の感情の崩壊や痛みが理解できるんだ、と。その為にも、子役の2人と仲良くなってねと言われました。

それから、監督が一番重要になるだろうと言っていたシーンがあって。一家が警察に通報され、ギウが子どもだけを連れて逃げ、身重のジスク(扮キム・スルギ)とはぐれるシーン。私もそうだと思います。あの時を境に、感情が変化していくから。あのシーンは本当に、俳優もスタッフも丹精込めて作ったシーンでした。


― 食事のシーンもとても印象的でした。劇中では何度も食べるシーンが登場しますね。

チョン・イル 本作において“何かを食べる”ことは、ギウの感情の変化を表現していました。空腹だから食べるわけではなくて、心の虚しさを満たそうとして、食べ物を詰め込むんです。演じる際も、単純に何かを食べているんだけども、それはギウの心情が今こうだから食べている、ということに重きを置いていました。

『高速道路家族』場面写真1
©2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.

― 撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

チョン・イル 撮影するシーンでギウがどういう状態かによって、撮影現場の雰囲気も変わっていった印象でした。ギウが明るいと現場の雰囲気自体も明るくなるし、逆に暗くなるシーンでは比較的静かめになる。ただ、スタッフの皆さんも俳優陣も仲良く楽しく撮影に臨めたので、とても良い記憶として私の中に残っています。


― 『高速道路家族』を観ながら、何度も「家族」について考えさせられました。本作に出演されて、チョン・イルさんにとって「家族」とはどういうものだと感じましたか?

チョン・イル 普段、私も両親も忙しく過ごしているので、どうしても家族が二の次になりがちだったなと思います。本作に出演したことで、やはり家族について改めて考えるようになりましたし、家族と一緒にいられるときに、ちゃんと楽しみ幸せな時間を送ることが大切と思うようになりました。 いつもどんなときも自分の味方でいてくれる、自分の支えになってくれる家族に感謝しています。

『高速道路家族』場面写真2
©2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.

― 結末が本当に衝撃的で、人によって受け止め方が変わるのではと思います。チョン・イルさんにとって、あのラストは幸せな結末でしょうか?それとも不幸な結末でしょうか?

チョン・イル その質問は韓国でも数えきれないほど聞かれました(笑)。この映画を観て何らかの答えが出る、本作はそういう作品ではありません。観客の皆さんが本作を観て、それぞれの答えを持つと思います。そして、それを尊重したいと考えています。また、そうやって様々な解釈が生まれるからこそ、皆さんに良い映画だと捉えてもらえたのかなとも思います。なので、この結末が果たして幸せなのか不幸なのかは、はっきり言うことはできません。本作を観て感じるままに受け止めてもらえれば、それが答えなのかなという気がします。


― 最後に日本の観客に向けてメッセージをお願いします。

チョン・イル 『高速道路家族』で久しぶりに日本の皆さんにお会いすることができました。私にとっても、本当にチャレンジとなった作品です。良いメッセージを込めた作品になっていますので、家族でご覧いただくもよし、本作を観て家族というものについて改めて考えていただければ幸いです。ご覧いただいた際には、ぜひSNSなどで感想を投稿いただけたらと思います。



『高速道路家族』
『高速道路家族』キービジュアル

2023年4月21日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開中!

監督・脚本:イ・サンムン
音楽:イ・ミンフィ 『ひと夏のファンタジア』『最善の人生』
美術:ソン・ソイル 『ポエトリー アグネスの詩(うた)』『バーニング 劇場版』
出演:チョン・イル、ラ・ミラン、キム・スルギ、ペク・ヒョンジン

2022年/韓国/韓国語5.1ch/128分/英題:Highway Family/字幕翻訳:具美佳
©2022 Seollem film, kt alpha Co., Ltd. All Rights Reserved.
配給:AMGエンタテインメント
公式サイト:https://kousokudouro-kazoku.jp

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