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中国では注意! 縁起の悪い贈り物たち|中国時代劇トリビア #96

容姿を変えて別人となって生き伸びる道を得た公主が、優れた医者へと成長し、様々な陰謀を解き明かしていく姿を描くメディカル・ロマンス時代劇「九齢公主~隠された真実~」。劇中ではヒロインの君九齢が持ち前の聡明さを発揮して、多くの民の命を助けながら、様々な陰謀を解き明かしていく姿が描かれます。

今回はこのドラマに登場する気になるアレを探っていきます!

中国では注意! 縁起の悪い贈り物たち

九齢から梨を渡されるシーン 
九齢公主~隠された真実~」© Youku information technology (Beijing) co., LTD

「九齢公主」で、九齢が寧雲釗に別れを切り出すときに梨を手渡すシーンが登場します。中国では「梨」を別れを意味するものとしますが、この理由はなんでしょうか?

これは中国語の発音が関係していて、梨の発音(ピンイン)が「離れる・別れ」を表現する中国語の「离」と同じであるため、別れが連想されるのです。梨を切り分けて渡したりすれば「分梨」=「分离」となるので、カップルの前では絶対にNG! その意味を踏まえて、あえて寧雲釗に梨を渡したあたり、九齢の強い意志を感じさせますね。

また、お見舞いなどで贈ることも「離ればなれになる」、つまり死を意味するこのため、梨は贈り物には向かないものとされています。

梨を見つめる寧雲釗
九齢公主~隠された真実~」© Youku information technology (Beijing) co., LTD

このように、日本ではOKでも、中国では縁起の悪いとされる贈り物がいくつかあるので、ご紹介していきます。


傘は中国語で「伞(sǎn)」。「散らばる、ばらばらになる」の中国語も同じ発音の「散(sǎn)」なので、梨と同じく離れる、関係が壊れる、縁が遠のく、ばらばらになるというイメージがあるため、避けた方が良いそう。

扇子
扇子(shànzi)も「散(sǎn)」の音が入っているので、傘と同じく「離ればなれになる」などの意味でも使われるよう。また、扇子は夏にしか使われず、涼しくなったら捨てられる…など、情が無い、情を失うというイメージも。

ナイフ、剣、その他の鋭利な武器
刀剣などの鋭利な武器は人を傷つけやすく、「一刀両断」ということわざがあるように、二人の関係が断たれる、運気が落ちるなど、基本的にはNG。これは日本でも「縁が切れる」贈り物で、縁起が悪い品とされていますね。

ただし例外もあり、武道を習っている人には、自分の好きなことをするためのプレゼントとして選ばれることも。

帽子
愁帽(心配する)という意味と、喪に服するときに白布の帽子を被ることから死やマイナスのイメージがあるため避けます。また、男性に緑の帽子を贈るのもNG。妻に不貞行為を働かれた夫を意味し、緑の帽子をかぶることは最大の侮辱となります。

時計
「時計を贈る」は中国語で“送钟(sòng zhōng)”。これは「死に目にあう」「死者を弔う」などを意味する“送终(sòng zhōng)”と同じ発音になり、「死」を意味するので縁起がよくないと言われています。ただし置時計や掛け時計ではない腕時計は発音が異なるのでOK。

ハンカチ
涙を誘うなど、悲しいイメージを連想させて縁起が悪い品物に。


厄介払いを意味するのでNG。また「鞋(xié)」が、邪気を表す中国語の「邪(xié)」と同じで、「相手に邪気を贈る」と言い換えられるとも。

このほかにも、数字が関係したり、色が関係したりと、贈り物には色々とルールがあるとか! 日本の習慣とまったく違うものから似ているものまで、色々あって面白いですね。

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。

このコラムに登場した作品
「九齢公主」キービジュアル

「九齢公主~隠された真実~」
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