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「最後の雨が降るとき」は“台湾へエア旅行したい!”あなたに効くドラマ|アジアドラマの処方箋#40

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この連載では、様々な症状に効く中国ドラマ・台湾ドラマを紹介。第40回の今回は「台湾へエア旅行したい!」あなたにおすすめの1本を紹介します。

お薬ドラマ名「最後の雨が降るとき」

「最後の雨が降るとき」キービジュアル

このドラマの効能
・ドラマを観れば台湾へ旅行に行った気分に浸れます
・台湾らしい異色ファンタジーの世界が楽しめます
・たくさんの台湾スターたちと出会えます



台湾の文化と神話世界を描いた世紀末のラブストーリーにハマる!

なかなか海外旅行へ行けない昨今、巷では映像を見て旅行に行った気分を味わう“エア旅行”企画も盛況ですが、ドラマでも“エア旅行”が味わえちゃう!ということで今回は、金鐘奨で連続ドラマ作品賞を含む4部門を受賞した台湾ドラマ「時をかける愛」の脚本家&制作チームが手がけた最新ドラマ「最後の雨が降るとき」をご紹介。

台湾の旅行代理店で観光ガイドをするヒロイン。彼女が雨の神様と繰り広げる世界滅亡前のラブストーリーとは? 台湾ドラマや中国時代劇でおなじみのキャストも続々登場! 台湾が好きな人や興味がある人にぜひ観ていただきたいおすすめ作です。

        「最後の雨が降るとき」場面写真
© IQIYI International Singapore PTE. LTD. & Three Phoenixes Production Co. Ltd. All right reserved.

あらすじ
昔々、全知全能の創造主(カカラヤン)が夢で見た美しい光景をもとに世界を作り、人類をはじめとする全ての生きとし生けるものを生み出しました。そして、創造主の計らいで神霊(カワス)たちが人類を守ってきましたが、人類は創造主の恩恵を忘れ、神霊(カワス)の宿る山や川を破壊するようになりました。

これを悲しんだ創造主(カカラヤン)はついに神霊(カワス)たちを原生地(ピノカヤン)に引き揚げさせ、この世界に“最後の雨”を降らせることにします。その任務を務めるのは創造主(カカラヤン)の代行者である雨神(オラド)。彼はこれまで神霊(カワス)と人間を結ぶ祭司(シカワサイ)の祖母に育てられた、謝天娣(シエ・ティエンディ)という人間の女性を見守ってきましたが……。

「最後の雨が降るとき」場面写真2
© IQIYI International Singapore PTE. LTD. & Three Phoenixes Production Co. Ltd. All right reserved.

  

どっぷり浸りたい!ドラマの世界観

神話と現実の狭間を描く独特の世界観

雨、風、雲などを司る神霊(カワス)たちは見た目は人間たちと変わりません。彼らは人間たちのあずかり知らないところで世界のために心を砕き、常に人間たちと共にいます。でも、今やその存在を信じたり感じたりできる人間は少なくなり、神霊(カワス)たちは創造主(カカラヤン)の命令でこの世界から撤退する準備を始めます。

そんな神話と現実の狭間を描く独特の世界観が、このドラマの見どころ。強い日差しが差したかと思えば激しい雨が降る南国の雰囲気を映し出した、どこかノスタルジーをも感じさせるスタイリッシュな映像にドキドキ。謝天娣が神霊(カワス)に歌で祈りを捧げるシーンも神秘的かつ幻想的で、不思議な心地よさが感じられます。

「最後の雨が降るとき」ジョアンヌ・ツァン(曾之喬)
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甘くてロマンティックな世界の終わり

傘をさして雨とともに現れる謎の男性の正体は雨神(オラド)。陰ながら謝天娣を守っていますが、その都度、彼女の頭から彼にまつわる記憶を消しているため、謝天娣は自分が雨神(オラド)に守られていることに気づいていません。でも、“最後の雨”を降らせてこの世を終わらせることになった雨神(オラド)は、謝天娣の前に姿を現し恋に落ちていくことに…!?

そんな切ない2人のラブストーリーは、とにかく甘くてロマンティック。神霊(カワス)なのにどこか所在無げで、ちょっと途方にくれた顔で謝天娣を見つめる、雨神(オラド)の温かい眼差しにキュンキュン。世界の終わりが待ち受けているというスリリングな設定でも、そこにあるのは恐怖ではなく愛と希望。先の読めない結末まで目が離せません!

「最後の雨が降るとき」フー・モンボー(傅孟柏)
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知っておきたい!ドラマの裏側

台湾で注目される原住民族の文化

本作のベースとなっているのは、台湾の原住民族であるアミ族(阿美族)の神話。神霊(カワス)や祭司(シカワサイ)が話す言葉もアミ族の言語に基づいているそうです。

台湾には中国大陸から中国人が多く渡ってくるようになった17世紀以前からさまざまな原住民族が住んでいます。現在政府に認定されているのは16民族で、その数は約55万人。日本でも活躍したプロ野球選手・陽岱鋼はアミ族、タレントとして大人気だったビビアン・スーはタイヤル族(泰雅族)の血を引くなど、原住民族出身の有名人も少なくありません。

台湾ではここ10年で原住民族にスポットを当てた『セデック・バレ』『KANO 1931海の向こうの甲子園』などの映画がヒットし、今年の夏は第1回となる「MATA台湾原住民族文化影視節」も開催。今、原住民族の文化がますます注目されています。

「最後の雨が降るとき」場面写真3
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台湾を代表するスターが豪華共演

雨神(オラド)を演じるのは映画『返校 言葉が消えた日』や中国時代劇「成化十四年~都に咲く秘密〜」でもおなじみのフー・モンボー(傅孟柏)。謝天娣を演じるのは台湾ドラマ「アテンションLOVE」「華麗なる玉子様~スイート❤リベンジ」のジョアンヌ・ツァン(曾之喬)で、彼女は原住民族のタイヤル族出身です。(彼女の旦那様はシャオ・ジャン主演の時代劇「斗羅大陸 ~7つの光と武魂の謎~」にも出演するチェン・イールーこと飛輪海(フェイルンハイ)出身のケルビンですね!)

また、それぞれ個性的な神霊(カワス)を演じるキャストも有名どころがずらり。「時をかける愛」のアリス・クー(柯佳嬿)が雲神、ヤン・ユーリー(顏毓麟)が知恵の神を演じ、最近では「華燈初上-夜を生きる女たち-」でもいい味を出していたジョセフ・チェン(鄭元暢)が風神に。それから中国時代劇「狼殿下-Fate of Love-」でファンを増やしたグオ・シューヤオ(郭書瑤)が、整理の女神役を小気味よく演じているのも見逃せません。

「最後の雨が降るとき」ジョアンヌ・ツァン、フー・モンボー

「最後の雨が降るとき」アリス・クー、ジョセフ・チェン
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台湾BLのイケメンたちも特別出演

さらに、本作は特別出演でイケメンキャストたちも大集結! 「時をかける愛」のグレッグ・ハン(許光漢)、「アテンションLOVE」のプリンス・チウ(邱勝翊)、「おんなの幸せマニュアル2 俗女養成記2」のレゴ・リー(李國毅)が出演します。

また、人気の台湾BLからは「正負之間~Plus & Minus」のアーロン・ライ(賴東賢)、「We Best Love 永遠の1位/2位の反撃」のリン・ズーホン(林子閎)、「HIStory 2 越界~君にアタック!」のザック・ルー(盧彥澤)が出演!

彼らがそれぞれどんな役で登場してくるのか、ぜひ劇中で見つけてみてください!

「最後の雨が降るとき」グレッグ・ハン

「最後の雨が降るとき」リン・ズーホン
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「最後の雨が降るとき」予告編

今回のお薬ドラマ「最後の雨が降るとき」


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TEXT: 小酒真由子(フリーライター)
アジアから欧米までドラマについて執筆しています。双葉社『韓国TVドラマガイド』にて「熱烈推薦!! 中華ドラマはこうハマる!」を、Cinem@rtにて「アジドラ処方箋」を連載中。また、執筆させていただいたぴあMOOK『2022年 見るべき中国時代劇ドラマ』が絶賛発売中です。

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