「正負之間」から知る、タイトルに隠された台湾華語のダジャレ?!【ドラマから知る台湾のこと #13】
この連載では、台湾のドラマ(ときどき映画)を観て感じた小さな疑問をきっかけに、台湾のくらしや文化をご紹介していきます。
教えてくれるひと:ローズさん
台湾・高雄生まれ、来日8年目。日本の映像系企業に勤務。台湾で10年間劇団に参加し、ドラマを観ることも大好き。言語と文化に興味を持ち、毎日日本人の旦那さんと日台文化の違いを楽しく体験している。将来の目標は台湾と日本の架け橋になること。
― 本日配信された「正負之間~Plus & Minus」(以下、「正負之間」)第8話、とても面白かったです! 2組のカップルとも甘々で最高でした♡ でも……このシーン、「鄭傅CP(チェンフーCP)」の2人の苗字はこの漢字でしたっけ?
「正負之間~Plus & Minus」より
ローズさん ここは本作の重要なコンセプトに関わるダジャレですね。このダジャレを説明する前に、まず本作のタイトルから解説しましょう。
タイトル「正負之間」には4人の主人公たち、チェン・ゾーショウ(鄭則守)、フー・リーゴン(傅理躬)、加藤勇気、ジエン・インゾー(簡英澤)の苗字が含まれているんです。
― 4人の苗字が「正負之間」の中に含まれている? どういうことですか?
ローズさん 実は「正負之間」の読み方は、「せいふのあいだ」ではなく「チェンフ―のあいだ」なんです。「正」は台湾華語の発音だと「チェン」になり、「負」は台湾華語の発音だと「フー」になります。さて、気が付きましたか?
― 「正」は「チェン」、「負」は「フー」……つまり台湾華語では「正」はチェン・ゾーショウ(鄭則守)の「鄭(チェン)」と同じ発音、「負」はフー・リーゴン(傅理躬)の「傅(フー)」と同じ発音ということですか?
ローズさん そうなんです! だから先ほどのシーンで、チェン・ゾーショウは「正」を表すプラス記号(+)が自分、「負」を表すマイナス記号(-)がフー・リーゴンを意味すると言っていましたよね。ダジャレになってるんです(笑)。
― なるほど!謎が解けてスッキリしました! でも、加簡CP(ジャジェンCP)は「チェン」でも「フー」でもないですよ?
ローズさん 台湾華語では、加算(+)の「加」は「ジャ」、減算(-)の「減」は「ジェン」と読みます。「加藤勇気」の苗字には「加」が入っていますし、発音も「カトウ ユウキ」が台湾華語では「“ジャ”トン ヨンチー」になるんです。「減」は、ジエン・インゾー(簡英澤)の苗字である「簡(ジェン)」と同じ発音になります。こちらもやはりダジャレなんです。
これは裏情報なのですが、これがこのドラマに「加藤勇気」という日本人役が登場する理由の一つです。台湾には「ジャ」と同じ発音の苗字「家(ジャ)」がありますが、これはとても珍しい苗字で。プロデューサーが悩んだ末、それなら日本で馴染みのある苗字「加藤」にしよう、となったそうです。
― そうなんですね! 主人公4人の苗字が全部「プラス」と「マイナス」で表すことができるなんて、面白いです。
ローズさん 実は主人公4人だけでなく、もう一人、名前がダジャレになっているキャラクターがいるんです。第8話の最後、「鄭傅CP」(チェンフーCP)が見ているドラマに登場する「土博士」が「ダサい博士」と言うのかは、台湾華語の「土(トゥー)」は、形容詞として「ダサい」という意味もあるからなんです。ついでに「土(トゥー)」を苗字として使っている人はいません。
もし中国や台湾で使われている代表的な漢姓に興味があれば、「百家姓」(ひゃっかせい/台湾華語の読みは「バイジャシン」)で検索してみてください。中国や台湾でよく使われる漢姓(※漢民族が使う苗字)のリストみたいなものです。
「正負之間~Plus & Minus」より
―「百家姓」調べてみます! 今日はやっと「正負之間」の正しい読み方とこのタイトルに含まれた意味を知りました。ローズさん、ありがとうございます!
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日台同時配信2022年4月15日(金)より配信中!(毎週金曜日13時に更新)
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