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狼族って本当にいたの? 狼と人間にまつわる伝説|中国時代劇トリビア#81

「華麗なる皇帝陛下【エンペラー】」「驪妃(りひ)-The Song of Glory-」のグー・ジアチェン最新主演作「玲瓏姫-The Wolf Princess-」は、野性的でヤンチャな将校と、二つの人格を持ったヒロインが繰り広げるファンタジックラブコメディー。今回はこの物語に登場する気になるトピックを詳しく探っていきます!
 

狼族って本当にいたの!? 狼と人間にまつわる伝説

ヨーロッパに伝わるお話しのように、月を見て人が狼になる……いわゆる人狼的な伝説とは異なりますが、モンゴル族の起源神話でモンゴル人の祖先が狼だという伝説は、日本でも小説「蒼き狼」などで知られています。こうした狼を祖先とする信仰は、モンゴル人だけではなく、ウイグル族やトルコ系遊牧民など中央アジア一帯に広がっていきました。  


「玲瓏姫-The Wolf Princess-」ⓒJetsen Huashi Wangju Media Co., Limited

狼に似た生き物のお話しとしては、犬祖伝説というものもあります。中国の神話に登場する犬の槃瓠(ばんこ)の伝説は、ミヤオ (苗) 族、ヤオ (瑤) 族、ショオ族などに伝えられており、槃瓠という犬が漢族の帝王のために手柄を立て、その娘と結婚してこれら諸民族の祖となったというお話しで、槃瓠の子孫は今の湖南・湖北両省を中心に居住していた非漢民族の武陵蛮(ぶりょうばん)とも。日本の「南総里見八犬伝」は、この伝説にヒントを得たものといわれています。

「山海経」には人を食べる狼に似た怪物が書かれていますが、狼人間のお話しとなると、なかなか目にすることが無いようで……。しかし、虎が人間になった!?という“人虎伝説”のような説話は、インドから中国にかけてのアジア一帯では多く見られ、中国・宋朝から清朝にかけて執筆された説話集の「太平広記」、「古今説海」、「唐人説薈」などに「人虎伝」として虎に変身する男の説話が収録されているそう。中島敦の小説「山月記」などで、こうした「人虎伝」のお話しをご存じの方もいるかもしれませんね。


「玲瓏姫-The Wolf Princess-」ⓒJetsen Huashi Wangju Media Co., Limited

強く、人間の恐れの対象となる生き物でありながら、神格化もされてきた狼。西洋では、戦士が狼の毛皮のベルトをまくことで狼の力を得られるという伝承があり、日本でも牙や骨や毛、狼の頭がまじないや薬にされ、邪気を除くとされたとか。

そんな不思議なパワーで共鳴しあう炎青と玲瓏が、一体どんな活躍を見せてくれるのか? ぜひ、ドラマでお楽しみ下さい!


「玲瓏姫-The Wolf Princess-」ⓒJetsen Huashi Wangju Media Co., Limited



Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。Cinem@rtにて「中国時代劇トリビア」「中国エンタメニュース」を連載中。『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』(キネマ旬報社)『見るべき中国時代劇ドラマ』(ぴあ株式会社)『中国ドラマ・時代劇・スターがよくわかる』(コスミック出版)などにも執筆しています。

このコラムに登場した作品

「玲瓏姫-The Wolf Princess-」
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