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【アジアのYouTuber特集】番外編1 台湾の最大手ライブ配信プラットフォーム「浪LIVE」CEO鄭偉柏さんインタビュー

今月の特集テーマである“YouTube”と併せて、ぜひ注目しておきたい“ライブ配信プラットフォーム”。現在アジアでライブ配信プラットフォームは盛り上がりを見せています。今回の番外編では、ドラマ「ラブon LIVE!」の舞台であり、台湾ライブ配信プラットフォーム最大手の1つ「浪(ラン)LIVE」のCEO・鄭偉柏(ウェバー・チェン)さんに、浪LIVEのことや台湾でのライブ配信事情についてお話をお伺いします。

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Interview
浪LIVE CEO・鄭偉柏(ウェバー・チェン)さん
※詳細なプロフィールは記事下部へ。


― まず台湾でのライブ配信の状況についてお伺いしたいのですが、現在台湾での盛り上がりはいかがですか?

浪LIVE CEO・鄭偉柏さん(以下、浪LIVE・鄭):台湾では、ライブ配信が盛り上がっています。台湾人の生活に染み込んでいて、SNSやライブ配信プラットフォームのライブ配信機能で日常生活、大事なひと時、技芸などをシェアしています。

また、ライブ配信は若い世代にとって自分を表現する重要なツールにもなっています。先日、世新大学に行って大学一年生1,000人に向けて講演をしたのですが、そこで「ライブ配信は若い世代に直感でごく自然に利用されており、生活の一部になっている」ことが分かりました。

現在ライブ配信は、技芸のある素人が芸能人になるためのスター育成のルートだけではなく、新しい経済、ビジネスモデルにもなっていると考えています。

 

― 現在台湾でのライブ配信アプリはいくつありますか?

浪LIVE・鄭ライブ配信プラットフォームは2016年から台湾で発展し始め、どんどん成熟し、現在は安定期に入っています。現在台湾では少なくとも10個のライブ配信プラットフォームがあり、最大手の浪LIVE以外にも、17、Live.me、Uplive、MeMe配信、BIGO Live、初楽などのライブ配信プラットフォームがあります。


― 浪LIVEも設立は2016年頃でしたよね?

浪LIVE・鄭はい、浪LIVEは2016年の年末に設立され、2017年にApple StoreとGoogle Storeにてサービスを開始しました。その年、Google Playのジャンルごとの売上げランキング1位、Apple StoreのSNSジャンルでの売上げランキング2位を獲得しました。4年間の努力の積み重ねで、現在のダウンロード数は500万回超えました。

浪LIVEの設立理念は「素人でも夢を叶えられるプラットフォームを作る」ことです。歌手の張若凡(チャン・ローファン)はまさにその成功例の1つです。彼女が2017年に浪LIVEに入ってきたとき、彼女はまだ無名の女の子でした。トレーニングを経験し、翌年「聲林之王 シーズン1(※1)」に出演し6位を獲得、「浪LIVEライブ配信スター育成プログラム」で初めてデビューした芸能人になり、2020年に有料個人ライブを開催しました。

※1)「聲林之王」:台湾の歌唱オーディション番組


― 浪LIVEの事業内容について教えてください。

浪LIVE・鄭浪LIVEライブ配信プラットフォームはライブ配信での交流をメインとしたアプリです。浪花幣という仮想通貨をビジネスモデルとして、事業体はショーステージ(※2)、ボイス配信、浪PLAY eスポーツライブ配信プラットフォームがあります。

それ以外にも、芸能センターとインフルエンサー制作部を設立し、オンラインストリーマーやファッションKOL(※3)、ECサイトのセリングインフルエンサー、歌手や芸能人など、多面的に活躍できるよう育成しています。

※2)ショーステージ:技芸を披露する場
※3)KOL:Key Opinion Leaderの略。インフルエンサー。


― 多くのライブ配信プラットフォームの中で、 浪LIVEが最大手となった理由は何だと思いますか?

浪LIVE・鄭浪LIVEは「グリーンプラットフォーム」を作ることにこだわっているんです。24時間厳しく内容を監視し、政治、暴力や残酷な表現、他人の代わりに情報を発信することがないようにコントロールしています。

浪LIVEライブは、家族全員で一緒に見られるライブ配信プラットフォームです。オンラインストリーマーが父の日や母の日に両親と一緒にライブ配信する、そんな状況が数多く見られるのは、当社ならではの特別なことです。

内容のコントロールによって、ユーザーは異なる技芸を持っているオンラインストリーマーの才能(トーク、歌唱、ダンスなど)を知ることができ、一種の「ファン経済」が達成され、浪LIVEとの関わりが深くなっていきます。

― 浪LIVEが舞台となったドラマ「ラブon LIVE!」でもストリーマーに「露出はNG」と注意するシーンが何度か出てきましたが、内容のコントロールだけでなく配信の際の規制もあるのでしょうか?

浪LIVE・鄭はい。例えば、ストリーマーの服装にも厳しいルールを設けていますよ。特に「露出しすぎない」というのは一番重要なルールです。ドラマにも出てきた「胸元3cmを超えてはいけない」というルールは、破った場合すぐ配信を中止し、注意が入ります。もしユーザーがルール違反のストリーマーを見つけたら、ストリーマーに注意喚起し、お客様対応センターに連絡が入ります。これも浪LIVEならではの特殊な文化ですね。


― 浪LIVEのユーザーは、主にどの年代・性別の方が多いのでしょうか?

浪LIVE・鄭浪LIVEのユーザーは、25歳~35歳の方が多く、男女の比率は6:4。とても健康的な配信プラットフォームです。


― 浪LIVEは主にどういったジャンルの動画を配信していますか?また、人気のあるジャンルはなんですか?

浪LIVE・鄭
浪LIVEは技芸の夢を叶えるプラットフォームをテーマに、「個人の技芸を中心に、夢への影響力を創造する」ことを求めています。

浪LIVEには技芸の認証システムがあり、今はおよそ15種類のジャンルがあります。歌唱、弾き語り、楽器、ダンス、トーク、MC、スポーツ、占い、グルメ、インフルエンサー芸能人、モデル、ドラマ、職人、芸術など。そして6割以上のストリーマーが、一日2~5時間のオンライン時間を設けています。

その中でも、“歌唱”と“弾き語り”のストリーマーの全体の半数以上で、人気のジャンルの一つでもあります。歌唱のポテンシャルを持っているストリーマーを歌手に育成するために、浪LIVEは毎月オンライン歌唱コンテストを主催し、一位に輝いたストリーマーはプロのプロデューサー(陶山、陳子鴻、許書豪、藍又時、嚴爵(イェン・ジュエ)など)の協力でEPをリリースするチャンスを手にいれます。


― ドラマ「ラブon LIVE!」でもストリーマーの育成について触れていましたが、具体的に他にはどういった育成プログラムがありますか?

浪LIVE・鄭そもそも浪LIVEに入ってきたストリーマーの多くが素人なので、しっかりとした育成プログラムはとても重要だと考えています。

正式に契約してから毎月違うレッスンがあり、ライブ配信の歴史とトレンド、各プラットフォームの利点や欠点、優秀なストリーマーになる方法、ライブ配信の器材・設備の利用方法、ファンの管理術、ライブ配信の心得と方法、自分の地位と物語を創造する方法、ソフトウェアとハードウェア、個人の特色の強調など、すべてのレッスンが、彼らが新たな価値を創造するための手助けになっています。

  
浪LIVEを舞台にしたドラマ「ラブon LIVE!~キミに夢中~」より



― Youtuberと比較して、浪LIVEで活躍するオンラインストリーマーの魅力や特徴は?

浪LIVE・鄭彼らは、それぞれにスキルと特色があるので、自身の技芸をさらに磨き続けながら、ファンとの交流にも心をかけなければいけません。技芸と強いインタラクションが一番大きな魅力だと考えています。なので、浪LIVEの‘’低遅延(※4)‘’という特色も視聴者にとって特に魅力的です。

※4)低遅延:放送者と視聴者との間のラグが小さくなり、リアルタイムに交流することが出来ること。


― 契約しているストリーマーは現在何名いますか?

浪LIVE・鄭浪LIVEが契約しているストリーマーは累計で7000人近くいます。


  
ドラマ「ラブon LIVE!~キミに夢中~」では、撮影に実際の浪LIVEのオフィスが使用されている

― 浪LIVEで一番人気のあるストリーマーは月いくらぐらい稼ぐのでしょうか?

浪LIVE・鄭浪LIVEと契約しているストリーマーの収入は主に時給と50%の(ファンからの寄付金の)レベニューシェア。人それぞれですが、最初は少なくても6、7万台湾ドル※5(約21万~25万円)、平均で20万台湾ドル(約72万円)くらい稼いでいます。

※5)6、7万台湾ドル:大卒の新入社員の平均的な初任給の約2倍の金額。


― 台湾でのライブ配信文化は今後どのようになっていくと思いますか?

浪LIVE・鄭浪LIVEは台湾で創立してから4年でリードブランドになり、上場企業となりました。そして何人もの才能ある若者の夢を叶えてきました。CDリリースや1,000人規模のコンサート開催、ファッションKOL、彼らが様々なイベントで輝くことを手助けしました。

台湾のライブ配信産業はまだ“on the way”ですが、インターネット特有の早い変化と5G時代のインターネット伝送速度や技術の発展と共に、ライブ配信文化もまだ変化中で、ライブ配信産業にはまだ無限の可能性があります。

今あるライブ配信の効果(視聴者に寄り添うこと、スターを創造すること、技芸を見せることやソーシャル効果)だけではなく、今後は映像のライブ配信から声だけのライブ配信、ゲームのライブ配信などに広がっていくと思います。一番期待されているのは、伸びしろがまだまだ大きいEC商品販売のライブ配信です。新しい経済エネルギーを注入し、新たなビジネスモデルを作ることが期待されていて、素晴らしいことです。

浪LIVE CEO・鄭偉柏(Webber Cheng、ウェバー・チェン)さん
20数年メディア、マーケティング、インターネット、映像作品制作と中華圏エンターテインメント資源統合の経験を持って、インターネットとエンターテインメントや文化創造産業の人脈が中国、台湾、香港に至り、エンターテインメント産業のトレンドとニューメディアプラットフォームの発展に対して精確で深く観察している。
統合マーケティング、メディアプラットフォームとインターネットチーム管理が強みで、映画プロデューサー、企業戦略顧問などの多重身分を持っている。台湾インターネット産業とメディアマーケティング業界の同年代の中では、唯一中国と台湾の紙媒体、テレビとインターネットプラットフォームのトップクラス機関(新浪網、Weibo、TVBS、蘋果日報)に経験を持っている、有名なベテランインタネット兼マスメディア従業者。
【経歴(一部)】浪LIVEのCEO、Weibo兼新浪娯楽の台湾担当者、ラジオ番組のMC、テレビ局エンタメニュースの総企画など



「ラブon LIVE!~キミに夢中~」DVD情報

公式サイト:https://www.cinemart.co.jp/dc/t/loveonlive.html

【あらすじ】
目立たず、真面目に、コンビ二でバイトしつつ公務員を目指して一生安定な生活を送ろうとしているアンアンは、ひょんなことから動画配信プラットフォーム「ランライブ」のCEOユエンラーに出会い、ランライブ所属のオンラインストリーマーとして勧誘されてしまう。しかも3ヶ月以内に大人気ストリーマーに勝たないといけないことに!今までの小さな世界から、想像もしないオンラインの世界に飛び出す彼女の運命は…!?

【DVD情報】
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2019年|台湾|発売・販売元:エスピーオー
原題:網紅的瘋狂世界/Let's go crazy on LIVE!
© 2019 SANLIH E-TELEVISION CO., LTD

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