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「海棠が色付く頃に」は“非日常へエスケープしたい!”あなたに効くドラマ《後編》|アジアドラマの処方箋#20

連載:アジアドラマの処方箋 記事一覧


この連載では、様々な症状に効く中国ドラマ・台湾ドラマを紹介。第20回の今回は「非日常へエスケープしたい!」あなたにおすすめの1本を紹介します。

お薬ドラマ「海棠が色付く頃に」

「海棠が色付く頃に」キービジュアル

このドラマの効能
・ スキャンダラスでドラマティックなストーリーがクセになります
・ 昼ドラを観るようなハラハラドキドキ感が味わえます
・ 懐かしの少女漫画のようなピュアな世界にうっとり浸れます

後編「民国ロマンの劇的ラブストーリー〜少女漫画的オトメ世界」

日本でいえば「はいからさんが通る」の頃に当たる中華民国時代が舞台の「海棠が色付く頃に」。
前編では「昼ドラ的ドロドロ世界」の見どころを紹介しましたが、このドラマの魅力はそれだけではありません。
さらに、懐かしの昭和の少女漫画を思い起こさせるような「少女漫画的オトメ世界」というべき見どころについても紹介していきましょう。


ファッショナブルな美男美女

中華民国時代は日本の大正時代と同じく伝統衣装あり、洋装ありで、人々のファッションは今見てもエレガント。
それを見ているだけでもうっとりできます。

例えば、顧海棠は旗袍(チーパオ)と呼ばれるいわゆるチャイナドレスの姿が多く、色も刺繍もとっても可愛らしい!

 

また、朗月軒は真っ白い裾の長いチャイナ服がお似合いですが、古風なスーツや革ジャンなどの洋装も上品でステキです。

さらに、顧海棠と親しくなる軍長官の娘・龍莫嫿は、当時の流行の最先端を行くファッショナブルなお嬢様。
毛皮も大胆なドレスも上手に着こなします。

こうしたレトロでスタイリッシュなビジュアルはまさに「少女漫画的オトメ世界」といえます。



華やかでおしゃれな化粧品業界

加えて、舞台となるのが化粧品業界というのもオトメ心を刺激するおしゃれ設定。
顧海棠は化粧師で、お嬢様たちがこぞって彼女に自分のメイクを頼みたいと思うほどのセンスと腕前です。

一方、朗月軒の家が経営するのは、皇帝の寵愛を争う後宮のお妃たちに化粧品を卸していた老舗店・朗里春。
町でも立地のいい場所にショーケースが並ぶ大きな店舗を構え、いわゆるブランドショップのような高級感を漂わせています。

なお、その工房では薔薇の花びらを一枚一枚選別したりエキスを抽出したり、女性工員たちの手作業で化粧品が作られていきます。

顧海棠と朗月軒が理科の実験のように新商品を開発していくシーンがあるのも興味深いところ。
また、2人が普通の化粧品だけでなく、顔に火傷跡のある朗月明の肌をきれいにする薬も開発していくなど、美を追求していくエピソードにもワクワクさせられます。



お花があふれるロマンティック空間

昭和の少女漫画といえば、登場人物がバックにお花を背負って登場したり、背景にお花が飛んでいたりするのが定番。

このドラマは化粧品の工房にお花が溢れているだけでなく、顧海棠と朗月軒のシーンにもお花がいっぱい!
2人が美しいお花畑の中をデートし、朗月軒が「海棠園」と名付けた山上の“秘密の花園”まで登場するなど、オトメ心をときめかせてくれます。

この秘密の花園”は朗月軒が様々なお花を育てているだけでなく、温室が彼の居住空間になっているのもステキ。
正直、現実的に考えて温室に住めるのかはナゾですが(布団がカビたりしないか心配!)、少女漫画の世界なので野暮なツッコミはせずに観るベき(笑)! ここが2人の愛を最高に盛り上げていってくれるロマンティックなステージとなります。




主人公カップルの美しき純愛

そして、顧海棠と朗月軒のラブストーリーは「昼ドラ的ドロドロ」世界にあっても、あくまでピュアを極めた純愛物語なのもポイントです。
2人で夜空を眺めてキス、もうそれだけで現実感の入り込む余地のない夢見心地な世界にどっぷり浸れてしまうはず!

思えばあの少女漫画の名作「キャンディ・キャンディ」だってひたすらプラトニックなお話でしたし、これぞ正しい「少女漫画的オトメ世界」ですね。
相手を見つめるだけで胸がいっぱいになる気持ちと、手を握るだけで伝わる愛。
欲望に溺れる人間たちの愛憎劇の中で、2人の愛だけは美しく輝いているという世界観がまた、私たちの心を温め癒してくれるのです。


以上、『海棠が色付く頃に』の「昼ドラ的ドロドロ世界」と「少女漫画的オトメ世界」の見どころを紹介してきましたが、いかがでしたか?
ぜひみなさんも、昭和的な懐かしさがありつつ新しい中国ドラマとしても楽しめる非日常の劇的ラブストーリーを楽しんでみてください!


<<前編はこちら>>

Text:小酒 真由子
フリーライター。欧米からアジアまで幅広くTVドラマについて執筆中。アクション、ラブ、サスペンスと三拍子揃った中国時代劇は大好物。ウォレス・チョンが歌手デビューした当時、台湾に留学していた経験あり。




今回のおくすり:「海棠が色付く頃に」


<<公式サイト>>

あらすじ
10年前に失踪した父を捜すため昆楊にやってきた顧海棠(こかいどう)は、ひょんなことから街一番の化粧品店・朗里春を経営する朗家の次男・朗月軒(ろうげつけん)と出会う。そして、朗里春で働き始めた彼女は最初こそ印象の悪かった朗月軒の優しい素顔を知って彼に惹かれていく。
同時にある出来事から父の失踪に朗(ろう)家が関係しているかもしれないと考えた顧海棠。彼女は朗家に“化粧鬼”と呼ばれる化け物が出て、離れに謎の住人がいるという噂を聞いて…。


CAST
ダン・ルン「スウィート・ドリームズ~一千零一夜~」「霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~」
リー・イートン「晩媚と影~紅きロマンス~」
イン・ハオミン「独孤伽羅~皇后の願い~」
チャン・ヤージゥオ
アレックス・フォン「ミーユエ 王朝を照らす月」
カーマン・リー「陳情令」

STAFF
演出:ホー・シューペイ「独孤伽羅~皇后の願い~」
脚本:チェン・リー、スー・イーティン


DVD情報

〇セル(全3BOX 各18,000円+税)
DVD-BOX1:2020/12/2(水)発売
DVD-BOX2:2020/12/11(金)発売
DVD-BOX3:2020/12/25(金)発売

〇レンタル(全26巻)
第1~9巻:2020.12.2(水)
第10~18巻:2020.12.11(金)
第19~26巻(完):2021.1.6(水)

2017年/中国/原題:海棠経雨胭脂透
音声:オリジナル中国語/字幕:日本語
発売・販売:エスピーオー

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