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「海棠が色付く頃に」は“非日常へエスケープしたい!”あなたに効くドラマ《前編》|アジアドラマの処方箋#20

連載:アジアドラマの処方箋 記事一覧


この連載では、様々な症状に効く中国ドラマ・台湾ドラマを紹介。第20回の今回は「非日常へエスケープしたい!」あなたにおすすめの1本を紹介します。

お薬ドラマ「海棠が色付く頃に」

「海棠が色付く頃に」キービジュアル

このドラマの効能
・ スキャンダラスでドラマティックなストーリーがクセになります
・ 昼ドラを観るようなハラハラドキドキ感が味わえます
・ 懐かしの少女漫画のようなピュアな世界にうっとり浸れます

前編「民国ロマンの劇的ラブストーリー〜昼ドラ的ドロドロ世界」


「海棠が色付く頃に」はリー・イートンとダン・ルン、今旬の中国若手スターが共演するラブロマンスです。
ヒロインは10年前に失踪した父を捜すため昆楊にやってきた顧海棠(リー・イートン)。
彼女はそこで老舗の化粧品店・朗里春を経営する朗家の御曹司・朗月軒(ダン・ルン)と出会って恋に落ちますが、陰謀、裏切り、愛憎渦巻く三角関係に巻き込まれ、波瀾万丈な運命を辿ることになります。

物語の舞台となるのは中華民国時代、東アジアにも西洋の文化や工業化の波が押し寄せてきた20世紀初頭、日本でいえば大正から昭和初期の「はいからさんが通る」あたりの時代です。
そのロマンあふれる時代を背景に描かれるのは、スキャンダラスでついつい覗き見たくなってしまう「昼ドラ的ドロドロ世界」と、ピュアでキラキラとした心癒される「少女漫画的オトメ世界」のストーリー。
前編では、まず本作の「昼ドラ的ドロドロ世界」の見どころを紹介していきましょう。



舞台はお金持ちの豪華なお屋敷

昼ドラといえば、庶民とはかけ離れた金持ちの一族が登場するもの。
このドラマもかつて後宮の妃たちに化粧品を卸していたという老舗・朗里春を経営する朗家の一族が登場します。

朗家のお屋敷は歴史と格式のある立派なもので、門から玄関までのアプローチが長い長い(笑)。
広大な敷地には庭園が広がり、家族それぞれが自分の住まいとする建物に住んでいます。
つまり、宮廷ドラマのように、1人1人に自分の寝殿があるようなものですね。


部屋のインテリアも中国の伝統文化に新しい西洋文化が取り入れられるようになった当時の世相が表れていて、中国の骨董品から西洋の舶来品まで、調度品はどれも高価そうなものばかり。
もちろん、このお屋敷には執事や使用人たちも揃っていて、顧海棠は朗里春の工房で働くだけでなく、朝、朗夫人の髪を結うという役目でお屋敷に通うことになります。



奇妙な伝説・隠された秘密


そんな贅沢で広々したお屋敷には、なんだか秘密もいっぱい隠されていそうな雰囲気。
実際、この屋敷には「化粧鬼」と呼ばれる化け物が出るという噂があることがわかります。
なんでも「化粧鬼」は真夜中に庭園に出てきて、集めた花びらの露を血に変えて極上の化粧品を作っているのだとか。
そのおかげで朗家は繁盛しているものの、この家の息子の1人が幼くして亡くなったのはその代償だという説がまことしやかに囁かれています。

確かに、敷地の西側には人の気配があるものの、誰が住んでいるのかわからない建物がポツンと建っていて、顧海棠は不思議に思い始めます。 しかも、10年前の顧海棠の父の失踪は、朗家と何かしら関係があるかもしれないことがわかってきて……!?

果たして、朗家にはどんな秘密が隠されているのでしょうか?
こんなふうに伝説や事件の謎が潜むお屋敷というのも、まさに昼ドラ的でドキドキさせられます。



無情にも引き裂かれる恋人たち

以上の舞台設定で繰り広げられる昼ドラといったら、もちろん、ラブストーリーも愛と憎しみが交錯するドロドロの展開にならないはずがありません。
貧しいけれど父譲りの化粧師としての腕のある顧海棠と、金持ちのドラ息子と見せて実は善良で仕事への意識が高い朗月軒。
2人は最悪の出会いをしますが、一緒に過ごすうちにお互いを理解し、次第に惹かれあっていきます。
でも、これは身分違いの恋なだけあって、すんなりとは進展しません。

しかも、朗家の長男・朗月明が顧海棠に一目惚れして、一方的に彼女への好意をふくらませていきます。
実は、朗月軒は朗家の養子。過去には朗月明に大きな借りもあり、兄を立てて兄のために尽くすのが自分の務めだという責任感を持っています。
そのため、顧海棠が好きと語る兄の話を聞いて、自分も彼女が好きとは打ち明けられなくなってしまいます。
その結果、あっと驚く衝撃の展開となり、顧海棠と朗月軒の仲は引き裂かれてしまうのです。

といっても、昼ドラ的世界ではこうした残酷な悲劇が起こってからが、むしろラブストーリーの本番。
朗家一同を巻き込んで泥沼にはまっていくヒロインと兄弟のスリルたっぷりの三角関係の行方から、どんどん目が離せなくなっていきます!




設定も個性も強烈なキャラ

さらに、昼ドラといえば強烈な個性を持ったキャラが続々出てくるのがお約束。
このドラマもビジュアルからして驚きのキャラが登場します。

例えば、仮面で顔を半分隠し、人目を避けて生きている朗月明。
輝くような美少年が火事の火傷で顔半分が醜くなってしまったという設定です。
これって……「オペラ座の怪人」風ですよね(笑)。

それから、7歳で亡くなった朗月明の弟の未亡人・妙蘭。
7歳なのになんで妻がいるの?と思うかもしれませんが、死にかけている息子をこの世に引き留めるために妻を迎えるという風習は、「月に咲く花の如く」でも描かれていましたよね。
妙蘭の場合、そうやって子供のうちに朗家に嫁がされた上に、夫はそのまま亡くなってしまったので、それ以来ずっと朗家で未亡人生活を送っている不幸な女性です。

そのほかにも、1人娘を溺愛するどこか憎めない軍服&ヒゲの長官・龍徳水、極悪な笑みを浮かべた朗家の天敵・施済周など、オジサンキャラたちもインパクト大。

こうした強烈キャラたちが嫉妬に狂っていったり、金に目が眩んで身を滅ぼしていったり、野心のために暴走していったりと、観ているこちらも心が休まらないハラハラの展開に!
観れば観るほどクセになる「昼ドラ的ドロドロ世界」に、思わずハマってしまうこと間違いなしです!

後編は「民国ロマンの劇的ラブストーリー〜少女漫画的オトメ世界」
昼ドラ世界だけでなく昭和の少女漫画を思わせるオトメ世界のエッセンスも加わったこのドラマの見どころについて、さらに紹介していきます。お楽しみに!

<<後編はこちら>>

Text:小酒 真由子
フリーライター。欧米からアジアまで幅広くTVドラマについて執筆中。アクション、ラブ、サスペンスと三拍子揃った中国時代劇は大好物。ウォレス・チョンが歌手デビューした当時、台湾に留学していた経験あり。




今回のおくすり:「海棠が色付く頃に」


<<公式サイト>>

あらすじ
10年前に失踪した父を捜すため昆楊にやってきた顧海棠(こかいどう)は、ひょんなことから街一番の化粧品店・朗里春を経営する朗家の次男・朗月軒(ろうげつけん)と出会う。そして、朗里春で働き始めた彼女は最初こそ印象の悪かった朗月軒の優しい素顔を知って彼に惹かれていく。
同時にある出来事から父の失踪に朗(ろう)家が関係しているかもしれないと考えた顧海棠。彼女は朗家に“化粧鬼”と呼ばれる化け物が出て、離れに謎の住人がいるという噂を聞いて…。


CAST
ダン・ルン「スウィート・ドリームズ~一千零一夜~」「霜花の姫~香蜜が咲かせし愛~」
リー・イートン「晩媚と影~紅きロマンス~」
イン・ハオミン「独孤伽羅~皇后の願い~」
チャン・ヤージゥオ
アレックス・フォン「ミーユエ 王朝を照らす月」
カーマン・リー「陳情令」

STAFF
演出:ホー・シューペイ「独孤伽羅~皇后の願い~」
脚本:チェン・リー、スー・イーティン


DVD情報

〇セル(全3BOX 各18,000円+税)
DVD-BOX1:2020/12/2(水)発売
DVD-BOX2:2020/12/11(金)発売
DVD-BOX3:2020/12/25(金)発売

〇レンタル(全26巻)
第1~9巻:2020.12.2(水)
第10~18巻:2020.12.11(金)
第19~26巻(完):2021.1.6(水)

2017年/中国/原題:海棠経雨胭脂透
音声:オリジナル中国語/字幕:日本語
発売・販売:エスピーオー

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