連載：アジアドラマの処方箋　記事一覧

この連載では、様々な症状に効く中国ドラマ・台湾ドラマを紹介。第15回の今回は「女性パワーを感じたい！」あなたにおすすめの１本を紹介します。

お薬ドラマ「明蘭～才媛の春～」《前編》

このドラマの効能
・大家族の中で奮闘する女性たちのドラマが楽しめます
・それぞれタイプの違う女性たちの恋愛・結婚エピソードが見られます
・夫婦愛・家族のバトルを描いた愛憎ドラマを堪能できます

前編「盛家の四姉妹のキャラクターを紹介」

北宋時代の官僚と貴族の家族ドラマを描いた「明蘭～才媛の春～」。このドラマは撮影後にドラマと同じく結婚を果たした主演のチャオ・リーインとウィリアム・フォンのカップルや、日本でも人気上昇中のイケメン俳優チュー・イーロンに話題が行きがちですが、今回はあえて女性キャラに注目。

男性優位の時代にあっても家庭の主役は女性たち！......ということで、自由のない社会に生きながらも女性パワーを発揮する、様々なタイプのキャラクターをクローズアップ。 まずはヒロイン・明蘭を中心とする盛家の四姉妹にスポットライトを当てたいと思います。四姉妹の物語といえば、海外ものなら「若草物語」、日本ものなら「細雪」などが思い浮かびますね！本作もそれぞれ性格が異なり、恋愛も結婚も違う道を進む四姉妹を描いているのが大きな見どころの一つ。

前半の物語の中心となる盛家の四姉妹のキャラを見ていきましょう！

盛明蘭：賢さと強さを秘めた四女

©Daylight Entertainment CO.,LTD

思慮深く正義感のある魅力的なヒロイン。でも、"能ある鷹は爪を隠す"のことわざ通り、賢さをひけらかさず、目立たないよう慎重にふるまっています。というのも、彼女は盛家の中でも一番身分の低い側室の娘で、実母は早くに亡くなっています。つまり、家族の中で波風立てずに生きるには、身分をわきまえることが大事だとわかっているのです。

一方で、彼女は何年もかけて母の死の裏にある陰謀を暴こうとするなど、ねばり強い雑草魂の持ち主でもあります。自ら明蘭を育ててきた盛家の重鎮である大奥様は、そんな彼女を評価し、強い味方となってくれます。また、彼女の才能と魅力に目ざとく気づく殿方たちも現れ、ドキドキの三角関係のロマンスも展開することに！波乱万丈な日々を送ることになる彼女の人生に注目です！

盛華蘭：玉の輿に乗る聡明な長女

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正室の娘で優しく聡明なお姉さま。明蘭にも分けへだてなく接し、物語の序盤で東京忠勤伯爵の二男・袁文紹に正室として嫁ぎます。もちろん、伯爵家は盛家より格上のお家柄。そのため、夫婦仲は悪くないものの、彼女は気位の高い姑に嫁いびりを受けることになります。さらに、子作りに関してもプレッシャーをかけられることに！　玉の輿に乗っても嫁ぎ先で苦労する彼女は、出番は少なめながら要注目キャラです。

盛如蘭：率直な性格が痛快な三女

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屈託のないお嬢様で裏表のないタイプ。思ったことをそのまま口に出す性格なので、墨蘭とはケンカばかり。正室の娘という確かな地位があるので、どんと構えていてあえて努力もしません。また、結婚についても、姉の華蘭が苦労しているのを見ているので、玉の輿なんてまっぴらごめん！自分をお嬢様扱いしてくれる格下の家に嫁ぐのがいいなと考えています。こうした自然体で率直な性格が痛快で、成長するにつれ明蘭と仲良くなっていくのも見逃せません。

盛墨蘭：野心に満ちた腹黒い二女

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イジワルで腹黒い野心家。おしとやかなお嬢様のように取り繕っていますが、実はとんでもなく性格が悪い！女を武器に父親をたらしこんでいる母親に似て、いつか玉の輿に乗ることしか考えていません。また、側室の娘というコンプレックスをこじらせていて負けず嫌い。何かと姉妹に対抗してマウントを取りにきて、明蘭にも敵意を向けます。 その結果、自分も名のある伯爵家に嫁ごうとして、なりふり構わぬ作戦に出ますが......!?

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男性が正室と側室を持てる時代だけに、母親が正室か側室かで、姉妹たちの身分や待遇も変わるんですね！そういう点で「若草物語」「細雪」とはまた違った複雑な姉妹関係が見られるのが面白いところ。さらに、玉の輿に乗ればステージアップということで、結婚が彼女たちの未来を左右することに。そこは「ブリジット・ジョーンズの日記」の元ネタにもなっている18世紀イギリスの婚活を描いた「高慢と偏見」にも通じます。

ただ、このドラマの場合、同じ結婚でも正室として嫁ぐのか、側室として嫁ぐのかも重要なポイントになってくるのがミソ。また、身分の高い殿方の中には、すでに側女を囲っていたり、押しかけ女房がいたりする場合も？ 

そんなわけで、姉妹たちのラブストーリーは恋愛だけでなく結婚の行方にもハラハラドキドキ！ 果たして、四姉妹は幸せな未来をつかむことができるのでしょうか？　後編は「家庭の主役は女性たち！?夫婦を狙う悪女たち」です。お楽しみに！

後編は「家庭の主役は女性たち！?夫婦を狙う悪女たち」につづきます

予告編

TEXT： 小酒真由子（フリーライター）
アジアから欧米までドラマについて執筆しています。双葉社『韓国TVドラマガイド』にて「熱烈推薦!! 中華ドラマはこうハマる！」を、Cinem@rtにて「アジドラ処方箋」を連載中。また、執筆させていただいたキネマ旬報ムック『中国時代劇で学ぶ中国の歴史 2022年版』が絶賛発売中です。

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