【インタビュー】「アバウトタイム」イ・サンユン <後編>「悪人に見えるかもしれない役を演じてみたい」
現在BS11で好評放送中の「アバウトタイム~止めたい時間~」。本作でなぜかミカの寿命を延ばすことができる御曹司イ・ドハを演じたイ・サンユンに本作について話を聞いた。
【プロフィール】イ・サンユン
1981年生まれ。185cm。ソウル大学物理学科卒の高学歴俳優で、優しく知的なキャラクターに定評がある。時代劇から現代劇まで幅広いジャンルで活躍中。近年の出演作に「2度目の二十歳」「空港に行く道」「耳打ち~愛の言葉~」など。
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― 先ほど本作への出演のきっかけとなった監督の話が出ましたが、キム・ヒョンシク監督とは「2度目の二十歳」以来2年ぶりの仕事となりました。特に思い出に残っている監督とのエピソードやアドバイスがあれば教えてください。
本作の撮影中、監督は僕に3回ほど印象的な言葉をかけてくれました。1つはクランクインから1か月ほど経った頃だったかな。撮影の準備をしている時のことでした。
いろいろと話をしていたら、監督がこう言ったんです。
途中、編集室で作業をしたりしながら言ったのですが、「今までと比べて、すごく変わった」と。僕にはどう変わったか分かりませんが、演じる時に余裕が出てきて、見ていて成長したのが分かると言われたんです。
「2度目の二十歳」のあと2作品に出演してから監督と再会しましたが、その2作品で成長したとも言えますし、昨年、ちょっとゴタゴタしていた時期があって、気持ちを落ち着かせるために過ごした時間のおかげとも言えます。役者としてすごく悩んでいたけれど、その悩みが助けになったと確認させてもらえるような言葉でした。
2つ目の言葉は、撮影が難航してみんなが疲れていた時期のあとで言われました。「編集室でお前の演技を見て頑張ってきた」と。それを聞いて胸が痛みました。
監督はいろいろな問題を調整しながらの作業で大変だったんです。スタッフよりも寝る時間がなかったと思います。撮影後に編集室へ行って作業していましたから。
段々、体力的にもつらくなっているのが見ていて分かり、僕もつらかった時期でした。
「大変ですね」などと話をしていた時に言われた言葉なので胸が痛みました。せめて僕でも監督の力になれてよかったと思いました。
3つ目の言葉は兄であるドサンと会うシーンで言われました。空港で会って挨拶するシーンです。
実際は僕ではなくドサン役のチョン・ムンソンさんの力が大きかったと思います。
そのシーンはドサンが座っていて、僕が後ろ姿で近づいていき、笑ってハグするシーンなのですが、そのカットを撮ったあと監督が僕の所に来て言いました。
「どことなく演技が一皮剥けたようだ」「後ろ姿なのに感情が伝わってきた」と。
特に意識せず演じましたし、ムンソンさんが本当の兄のように僕を見て笑ってくれたので、僕も感情が湧いてきて演技しただけなんですが、そう言われて感謝しています。
― イ・ソンギョンさんとは9歳の年の差がありましたが、演じていて気を使ったことはありましたか。かなり年下の後輩なので気を使った点や、共演した感想を教えてください。
ソンギョンさんは若くて雰囲気のある俳優さんですよね。僕が今まで演じてきた姿で一緒に立った時に、お似合いのカップルに見えなくてはいけません。
年齢が離れすぎて見えるとか、似合わないとなると問題になるので、その辺りは気を使いました。見せ方など、演じる時も若さを表現できるように気をつけました。
僕自身は年を取っていると感じていませんが、彼女と一緒にいる時、他の人が見て年の差を感じてはいけないので、他の人の目にはどう映るかに気を使いました。
一緒に演じてみると、ソンギョンさんは明るくてエネルギッシュな方でした。撮影現場でもムードメーカーで、楽しく撮影できました。
いつも正直で、楽しい時は楽しいと言うし、つらい時はつらいと言う方です。平気なふりをして倒れるよりいいと思います。
つらい時は力になってあげましたし、正直に気持ちを伝え合いながら楽しく撮影しました。
― 特に記憶に残るシーンや好きなシーンがありましたら教えてください。
そうですね...一番重要なのはドハとミカのシーンですが、その中で一番記憶に残っているのは、僕も胸がキュンとなったシーンで、序盤の場面です。
突然、家の前まで来て「私たち、恋愛する?」と言われるシーンがあります。ものすごく新鮮な感じがして、そのシーンが好きでした。
それから...、僕は、劇中でドハにとって重要な人物はドサンとミカだと思っているんです。
もちろんウジンたちとも気楽に接する間柄ですが、すべてを与えられて気持ちをすべて分かってもらえるのはドサンとミカの二人だと思います。
ドサンとのシーンで、二人でベッドに横になって話をするシーンです。その時も感情が込み上げてきて、いいシーンだったと思います。
― 反対に、苦労したシーンは? 水中のシーンは大丈夫でしたか。スキューバダイビングのシーンがありましたよね。
水中のシーンは、むしろ何ともありませんでした。以前、「美しき人生」というドラマに出演した時も水中撮影をしました。その時は実際に海に潜って撮影したので、それに比べればずっと楽でした。
それよりもドラマの後半で、何話だったか忘れましたが、エンディングでしたね。ドハが、残りの寿命がミカに移っていることを知り、ミカとキスするシーンがあったんです。
そのシーンは台本が何度も修正されました。ドラマの後半にいくほど修正の時間がなくなってくるので、現場で調整しながら撮影しなくてはいけなかったんです。
そのシーンは、撮影前に夕食をとり、監督とソンギョンさんと話し合いながら台本を修正し、現場で演じました。
実際に演じてみると、違ってくるところが出てきたので、何度も調整して最終的に撮れたシーンが放送されたシーンです。その辺りが思ったより時間がかかりましたし、意見を出し合いながら進めたので、大変でした。
それからバスのシーンも大変でした。物理的にバス自体が...。感情が重要なシーンで、セリフは小さな声で言わなくてはいけなかったのですが、バスが思ったよりも大きな音を立てたので、感情移入するのも大変でした。その時も苦労しましたね。
― 撮影現場の雰囲気は和気あいあいとしていたと思います。現場でのエピソードで特に記憶に残っていることはありますか。
撮影チームも「2度目の二十歳」と同じメンバーだったんです。以前、一緒に仕事した仲間たちということもあり、雰囲気が特に良かったのだと思います。俳優も同じ年頃の若い人たちが集まっていたので、気が合って楽しかったです。
本作は事前制作のドラマなんです。制作準備の過程でいろいろな問題が起こり、苦労したことがいくつかありましたが、みんなで共有してうまく乗り越えました。
撮影中にスケジュールが特にきつかったのは中国の海南での撮影でした。海外なので撮影の日程が短かったのと、台本より撮影する分量が増えたことで、休憩時間を削って撮影を進めました。
特に海南のシーンでは、ドハが登場するのは9割以上なので、僕はどのシーンの撮影にも参加しました。
ホテルに戻ったらシャワーを浴びて寝て、起きたら準備して出かけての繰り返しでした。だからホテルの施設はレストランぐらいしか利用できなかったんです。
5日間の滞在でしたが、3日目の夜にプールでの撮影があったので、場所を聞いて行きました。僕はそれまでホテルにプールがあることも知らなかったんです。
というか、あるだろうとは思っていましたが、どこにあるのかは知らなかった。だから「ああ、ここにあったんだ」と思ったりして、それも面白かったですね。「プールはここだったんだ」ってね。
― 海南まで行ったのに...。
そうです。撮影の時以外は泳げませんでした。
― ぜひもう一度行ってください。サンユンさんはいろいろなジャンルの作品に出演してきました。今後、挑戦してみたい役などありましたら教えてください。いろいろな役を演じてきたので、どんな役でもこなせるだけのキャリアを積んでいると思いますが、ご自身が演じてみたい役がありましたら教えてください。
「耳打ち~愛の言葉~」というドラマに出演した時に失敗したなと思ったことがあります。
僕が演じたドンジュンという人物の行動の動機について、それまで出演してきた作品と同じように考えて、間違えて理解していたことがあります。
それまでの作品で演じた人物が人に対する感情や配慮、気持ちなどから行動したとすれば、ドンジュンや、僕が今後演じてみたい役は、個人的な欲というか、野望のために行動する人物なんです。
見方によっては悪人に見えるかもしれませんが、そんな人物を演じてみたい。ドラマも最近はジャンルが多様化しているので、そんな人物が出てくるかもしれませんが、映画の方がそういう人物が出てきそうなテーマが多いので、映画の方でそういう人物を演じられればと思います。
― 最後に、サンユンさんが考える「アバウトタイム~止めたい時間~」の鑑賞ポイントを、ファンへのメッセージも兼ねてお話しください。
はい。僕たちのドラマ「アバウトタイム~止めたい時間~」は、他人の寿命時計を見る能力がある女性と不安障害を抱えている男性が出会い、繰り広げるファンタジーラブロマンスドラマです。
何よりも、主役の二人がどんなふうに出会い、関係が進展していくのかに注目しながら見ていただくと、一番楽しめると思います。
もちろん周辺人物もたくさん出てきますが、僕は二人の物語だと思っています。二人の関係や、その変化に注目して見ていただければ、さらに楽しめると思います。
ぜひ「アバウトタイム~止めたい時間~」ご覧ください!
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