前回のコラムに続き、特徴的な商人団体・商幇（シャンパン）をご紹介していきます！

「月に咲く花の如く」より　©HS Entertainment Group Incorporated

③ 山東商幇
・主に絹物や茶、宝石店の経営や織物工場、染物工場などの経営。
【商人特徴】開放的な商法...山東人の開放的気質もあり、商売を独り占めしない。


④ 広東商幇
・海外貿易。それに関連した仲買、長距離販売、卸業者など。
【商人特徴】出身は学者から罪人まで、組織メンバーが多種多様。


⑤ 福建商幇
・「海商の主」の異名を持つ海上貿易のプロ集団。
【商人特徴】広東と同じく、組織メンバーが多様。荒っぽい商売が目立ち、武装貿易とも。


⑥ 徽州商幇
・儲かるものなら何でも！のスピリッツ。塩、食糧、布、茶、木製品の取り扱いの他、文房具店や質屋の経営など。
【商人特徴】活動範囲が広い。小さな村から孤島に至るまで、どんな場所でもとにかく一生懸命商売にはげむ。


⑦ 寧波商幇
・銀行業、薬剤業、仕立業、海産物問屋が強かったが、後に不動産業、保険業、証券業にも。
【商人特徴】商売経験が豊富で、不断の市場開拓とチャンスを逃がさない経営戦略の持ち主。


⑧ 洞庭商幇
・庶民の必需品、食糧、綿布、染料、食糧加工など。
【商人特徴】庶民の需要を取り入れながら、柔軟な開拓精神で経済発展の流れをつかむ！


⑨ 江西商幇
・米、茶、紙などの売買、本屋、雑貨屋、質屋など。個人経営主体。
【商人特徴】経済的においつめられて商人になったものが多い。


⑩ 龍遊商幇
・紙、書籍、宝石など。グループは小さいが経営規模は大きい。
【商人特徴】文化、教育を重視し、書籍商から読書人や著名な蔵書家になった者もいる。


多くの富を得た商人は、やがて財産だけでなく、より良い地位も求めるようになります。ドラマ「始皇帝烈伝　ファーストエンペラー」や漫画「キングダム」、そしてユー・ジョンプロデューサーの新作ドラマ「皓?傳（原題）」に登場する呂不偉は、豪商からやがて秦の国の丞相へと登りつめました。

中国商人たちはよりよい商品、販路を求めて長期間出稼ぎにでます。商人の家に嫁いだ女性は、出稼ぎに出る夫と何年も会えないことも多く、主人不在の家を守り、義父母に仕え、日々淋しさに耐える生活を送ったようです。一方で、長く故郷を離れて暮らす夫は、商売がうまくいくようになると、離れた地で新たな妻を迎えて家庭を作ってしまうこともあり、その際の第二夫人は第二の正妻として扱われ、これを「両頭大（二人とも本妻の意）」と呼んだそうです。

危険な地に出向いたり、同業者に命や地位を狙われたりと、現実の厳しさと向きあう商人の生活は大変なものですが、それを支える妻の精神的重圧はさらに大きかったことでしょう。それゆえ周瑩のようなタフな精神力と知恵、そして忍耐力のある敏腕女将タイプの嫁が、世に求められたのかもしれませんね。

「月に咲く花の如く」より　©HS Entertainment Group Incorporated

Text:島田亜希子
ライター。中華圏を中心としたドラマ・映画に関して執筆する他、中文翻訳も時々担当。『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』（キネマ旬報社）にて執筆記事掲載中。

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＜参考文献＞
徳間書店　曹天生著　尾鷲卓彦訳「中国商人―知らざれる歴史　語られざる知恵」
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