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【インタビュー】「台北ラブ・ストーリー」製作・監督・脚本:シュー・ユーティン「私たちは美しい未来に進まなければならない」※ネタバレあり※

現在、毎日ちょい見せで期間限定公開中の「台北ラブ・ストーリー~美しき過ち」。本作で製作・監督・脚本を務めたのは、日本でもリメイクが決定した「イタズラな恋愛白書?In Time With You?」をはじめ、大ヒット作を多数生み出す台湾最強の脚本家シュー・ユーティン。彼女に本作について話を聞いた。
※本インタビューは「台北ラブ・ストーリー」が日本DVDリリースされた2013年に実施されたものです。

【プロフィール】シュー・ユーティン
台湾の人気脚本家。代表作は「流星花園Ⅱ」(02)、「イタズラな恋愛白書」(13)など、近年では「恋の始まり 夢の終わり」(16)、「年下のオトコ」(17)などの脚本を執筆。2012年に親愛的工作室を設立。小説家としても活躍しており、「馬子們!」は、講談社より漫画「それでも僕は君が好き」として出版され、フジテレビでドラマ化。最新作の映画『誰先愛上他的(Dear EX)』では監督を務め、第55回金馬獎で作品賞ほか8部門にノミネートされている。


【12/28まで!「台北ラブ・ストーリー~美しき過ち」第1~4話公開中!】

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※ネタバレあり:物語の結末に触れています。ご視聴後に読まれることをお勧めします※





― 今回、脚本だけでなく製作(プロデュース)や監督も兼任されたということですが、「台北ラブ・ストーリー~美しき過ち」が作られたきっかけを教えてください。

このドラマが放送された台湾電視(TTV)の会長が2年前からずっと私を誘ってくださっていたんです。脚本を書いている間も会長はずっと励ましてくださいました。そしてこの脚本が出来上がったときに、「このドラマが伝えたいことをいちばん理解し表現できるあなたがプロデュースもするのが良いのでは?」と会長が提案してくださり、製作も兼任することになりました。初めてのプロデュースだったので、経験不足なところもたくさんあったかもしれませんね。

実は、監督に関しては、予算の都合もあって監督費を省くために私が担当しました(笑)。今まで舞台演出は何度もしてきましたが、ドラマの演出は初めてでした。


― 脚本以外の演出やプロデュースも担当されて、良かったところ逆に苦労したところはありますか?

ドラマに関しては今まで脚本家という立場だけでしたので、実際に撮影されてみると台本上の創作と現実の映像に、正直と違いを感じることもありました。ですが、今回現場に入ってみたら、なぜそういう違いが生じるのかも理解できるようになったので、得るものが多かったと思います。


― 先が読めないストーリー展開でしたが、最初から結末は決めて書き進めたのですか?それとも書いているうちに変わっていったのでしょうか?

私は台本を書くとき、最終的な目標はある程度設定して書き進めています。ただ、そこにたどり着くまでの過程は書きながら考えています。まるで、その役の人生を経験しているような気持ちになりながら。
特に、このドラマに出てくるダーシャンとマンチンの会話は、今の私が昔の私と会話をしてるような感覚でした。自分自身との対話を通じて、再び自分のことを深く理解できた気がします。




― 主役のリン・チェンシーとモー・ズーイーの瑞々しく繊細な演技が本当に心に響きました。

神様が、彼らを私のところに贈ってくれたと思っています。彼らは舞台をやっていた経験も多いので、お芝居の細かい部分にこだわってくれます。縁あって、あの二人と出会い、そして素晴らしい演技のおかげで、浅いアイドルドラマとは違う作品が作れました。とても嬉しかったです。


― 二人はどんな方々ですか?

彼らはそれぞれのキャラクターと似ていると思います。年上のモー・ズーイーは、傷つくことを恐れる繊細な心を持っていて、ユーエンと似ていますし、年下のリン・チェンシーがもつ早熟さや大人びた雰囲気も、マンチンというキャラクターには必要でした。それゆえ、彼らは神様の贈り物だと思っています。脚本にも書いたように、まるで「神様が決めたことは、それなりの理由がある」ようです。




― どのキャストの皆さんも役柄と見事に合った素晴らしい演技でしたね。

私は脚本を書いているとき、いつもそのキャラクターに似合う役者を仮想して書いています。今回はプロデューサーも兼任したことによってキャスティングも自分が手配でき、素晴らしい役者の皆さんが私の想像する世界を完成してくれました。


― 「台北ラブ・ストーリー~美しき過ち」で印象に残ってるシーンやセリフはありますか?その理由も教えてください。

このドラマの最後のセリフです。あの3行のセリフはこのドラマの核です。

「悲劇育ちだけど 私たちが進む 未来は美しい」

私たちは運命というものにやられて、傷ついたり、間違ったりしてしまったことがもちろんあります。だけど、私たちは美しい未来に進まなければならないのです。そうしないと、過去の傷や過ちから離脱できず、自分が行きたい世界にもいけないのです。このことだけを皆さんに伝えたいと思ってました。




― あのラストシーンの二人は本当に感動的でした。

マンチンとユーエンを通じて、過去に悲しい思い出があったとしても人は未来に希望を持って進んでいけるということを描きたかったんです。


― マンチンのダーシャンに対する愛情は父親へ向けるような愛情と、恋人に向けるような愛情のどちらか近かったのでしょうか?

私は書きながら、マンチンと一緒に歩んできました。なので、その気持ちはとても複雑だっただろうと思います。最初の"仰ぐ"気持ちから"慕う"気持ちに...そして最後にはっきりと"愛する"気持ちになっていたと思います。人に対する「好き」というのは、変わっていくものですからね。




― シュー・ユーティンさんの思う「台北ラブ・ストーリー~美しき過ち」の魅力とはどんなところだと思いますか?

完璧な人がいないというところ。


― オープニングの映像で黒板に「愛とは―○○」と書くシーンがありましたが、シュー・ユーティンさんの思う「愛とは―○○」は何になりますか?

「愛とは間違ってしまうものなので、勉強が必要」


― ドラマの中でミルキーキャンディをマンチンの心を慰める重要なアイテムとして使っていますね。日本でも「ミルキーはママの味」というキャッチフレーズでたくさんの人に愛されているのですが、ミルキーを重要なアイテムとして使った理由などはあるのでしょうか?

ミルキーキャンディの食感はとても優しくて、舐めていると過去の思い出を咀嚼しているような気持ちになるので。




― 脚本を書くときに大事にしていることや心がけていることはありますか?

初心を忘れないことです。台本を書いていて詰まる時は、初心を思い出して自分を励まします。


― 常に面白い脚本を書き続けられる原動力は何ですか?

世の中で起きていることを色々考え、感じて、人生を理解していくことでしょうか。そして、自分の考えや感じたことを書き、見てくださる皆さんと共有し、語り合うことが楽しいです。


― 今後書いてみたいテーマなどはありますか?

たくさんあります。ただ「一緒に美しい世界を見つけてましよう」という根本的なテーマからは離れないと思います。


― 日本でドラマを楽しみにしているみなさんにひとことおねがいします。

「台北ラブ・ストーリー~美しき過ち」を応援してくださりありがとうございます。これからも頑張ります!




<おわり>

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「台北ラブ・ストーリー?美しき過ち」DVD情報





DVD-BOX1~3 好評発売中 各9,500円+税

2012年|台湾|音声:オリジナル中国語・字幕:日本語|発売&販売元:エスピーオー c 2012 Taiwan Television Enterprise, Ltd. All Rights Reserved. 
公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/taipei-lovestory/

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