【きゅんとあじあ】第52回 台湾金馬奨 レポート&フォト
■若者よ、映画を撮れ! -侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
■ジャッキー・チェン、妻夫木聡、ハ・ジウォンら、豪華プレゼンターも登場!
■『あの頃、君を追いかけた』のクー・チェンドン復活!
11/22(土)、台北の國父記念館にて、台湾のアカデミー賞にあたる金馬奨が開催されました。
1962年に創立され中国語映画界では最も長い歴史を持つ金馬奨は、台湾、香港、中国をはじめとする中国語映画と映画製作者を対象にした映画賞です。
大分時間が空いてしまいましたが、振り返ってみたいと思います。お付き合いください!
受賞結果一覧はこちら
レッドカーペットの模様はこちら
2015年のグランプリにあたる最優秀作品賞は、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の『黒衣の刺客』が獲得。2011年に『セデック・バレ』が受賞して以降は、2012年の『神探亨特張』、2013年の『イロイロ ぬくもりの記憶』、2014年の『推拿』と、中国、シンガポール映画が受賞していましたが、ようやくお膝元の台湾映画がその座を取り戻した形になりました。
『黒衣の刺客』は11部門にノミネートされ、結果的には最優秀作品賞、監督賞、撮影賞、音響効果賞、衣装デザイン賞の最多5部門に輝き、更に侯孝賢監督は年度台灣傑出電影工作者(その年に最も傑出した映画人に送られる賞)にも選ばれました。まさに、侯孝賢Yearとなったわけです。監督の受賞コメントもなかなかにイカしていました。
それ以外では、10部門ノミネートの張作驥(チャン・ツォーチ)監督作『醉?生夢死』が4部門受賞(最優秀助演女優賞、新人賞、編集賞、音楽賞)、『百日告別(百日草)』が主演女優賞、『太陽的孩子』が最優秀楽曲賞を受賞と、台湾勢が圧勝した年になりました。
ではでは、がらりと雰囲気を変えて、華やかな式典へと参りましょう~
今回、私は幸運にも貴重な授賞式のチケットを手配していただくことができました。
でも、レッドカーペットの終盤に式典は始まってしまっています。
式典の合間のCMタイムにしか中に入れないので、レッドカーペットの取材エリアから移動し席に着くまでに30分ほど経過していました。その間に見逃したものがこちら。
(ちなみに今年の司会は?子佼(ミッキー・ファン)と林志玲(リン・チーリン)です)
ヒロインに扮した司会の林志玲が、主演の王大陸(ワン・ダールー)と寸劇を繰り広げたようです。
その後、本物のヒロイン宋芸樺(ビビアン・ソン)が映画楽曲賞にノミネートされている『我的少女時代』の主題歌〈小幸運〉を歌っていました。(本来は田馥甄(Hebe)が歌っています)
サイモン・ヤムが視覚効果賞とアニメーション賞を発表。
★最優秀視覚效果賞:金旭(ジン・チュー)/智取威虎山3D(タイガー・マウンテン~雪原の死闘~)
★最優秀アニメーション賞:麥兜.我和我媽媽
早くも、最高のシーンを見逃した気がします...
(ちなみに、その後ループしていたTVの再放送でも、この序盤だけを見逃し続けたのでした...)
これ以降は、実際に目撃することができました。
続いて、乱彈阿翔が登場し、楽曲賞にノミネートされている『青田街一號』の〈糾纏〉を歌唱。
その後、『烈日灼心』で主演男優賞にノミネートされている鄧超(ドン・チャオ)がプレゼンターで登場し、美術賞と衣装デザイン賞を発表。
★最優秀美術賞:張叔平(ウィリアム・チャン), 邱偉明(ヤウ・ワンミン)/華麗上班族
★最優秀衣装デザイン賞:黄文英(ホアン・ウェンイン)/刺客 聶隱娘(黒衣の刺客)
ここはもう感動! 楽曲賞にノミネートされている『太陽的孩子』の主題歌〈不要放棄〉を、『光にふれる』の黄裕翔(ホアン・ユィシアン)のピアノ伴奏でスミンが歌い上げます。
続いてプレゼンターの郭富城(アーロン・クォック)と林嘉欣(カリーナ・ラム)が登場!
ドキュメンタリー賞と助演女優賞を発表。助演女優賞発表の瞬間、簡?書(ジエン・マンシュー)の緊張した顔と、目をつむった呂雪鳳(ルー・シュエフォン)が映されます。受賞したのはルー・シュエフォン。「チャン監督なければ私もない!」とコメント。しかしその後がすご~く長い。昔はコメントが長いとキンコ~ンと鐘が鳴らされたのですが、今はそのシステムはないみたい。ちなみに彼女はメディアセンターの方でも相当長く語っていたそうですよ。
★最優秀ドキュメンタリー賞:大同
★最優秀助演女優賞:呂雪鳳(ルー・シュエフォン)/醉?生夢死
丁可が『踏血尋梅』のノミネート曲〈漆黑的海上〉を歌唱したあと、プレゼンターの張震(チャン・チェン)と河智苑(ハ・ジウォン)が登場! ハ・ジウォンが中国語、チャン・チェンが韓国語で挨拶したあとは英語でトーク。『20歳よ、もう一度』の陳柏霖(チェン・ボーリン)やツァイ・ミンリャンなど国際的に活躍する台湾映画人に触れ、その後『黒衣の刺客』を再現したようなスローなアクション(?)を披露すると、侯孝賢監督が親指を立ててグーサインを出し、会場からは拍手喝采となりました。それにしてもハ・ジウォンがとても素敵! 中国語も英語も上手くて、国際的で知的でユーモアのある女優の姿は、韓国代表としても十分な貫禄がありました。
★最優秀短編映画賞:保全員之死/程偉豪(チォン・ウェイハオ)
★最優秀助演男優賞:白只(バイ・ジー)/踏血尋梅
助演男優賞が発表される瞬間、『念念』の柯宇綸(クー・ユールン)がとっても緊張している様子で、キャリアのある俳優でも、やっぱり緊張するのだな~獲れるといいな~と思いましたが、名前を呼ばれたのはバイジー。びっくりしたようでしばらく動かず、その後アーロンとハグして大歓声の中壇上へ。カンペを読む息は上がり、途中から結局広東語に。「夢は叶う!」というコメントが印象的でした。彼は舞台俳優として有名で、映画は初出演とのこと。映画は未見ですが、納得の受賞との声がありました。『解救吾先生』の王千源(ワン・チェンユェン)もすごく良かったのですが。
次のプレゼンターは蘇有朋(アレック・スー)と、ドラマでお馴染みの林心如(ルビー・リン)。最優秀音響効果賞と撮影賞を発表しました。東京・中国映画週間で『ひだりみみ』の監督として来日したアレックですが、かつて台湾で一世を風靡したユニット・小虎隊のメンバーであり、「宮廷女官 若曦」で第四皇子を演じた呉奇隆(ニッキー・ウー)、金城武、林志穎(ジミー・リン)とともに台湾小四天王のひとりに数えられていたトップアイドル。レッドカーペットでも歓声が起きていました。
中国映画週間『ひだりみみ』舞台挨拶の様子はこちら
★最優秀音響効果賞:杜篤之(トゥ・ドゥージ), 朱仕宜,(チュー・シーイー) ?書瑤(ウー・シューヤオ)/刺客 聶隱娘(黒衣の刺客)
★最優秀撮影賞:李屏賓(リー・ピンビン)/刺客 聶隱娘(黒衣の刺客)
どちらも、長く侯孝賢監督を支えてきたスタッフが揃って受賞しました。
ここから何と、楊丞琳(レイニー・ヤン)が登場!!
陳奕迅(イーソン・チャン)と共に、映画主題歌11曲を歌い上げました。
『インファナル・アフェア』の〈被遺忘的時光〉や、王菲(フェイ・ウォン)が歌う『恋する惑星』の主題歌〈夢中人〉、イーソンとフェイのデュエット曲〈因為愛情〉に始まり、『花樣年華』『花蓮の夏』『誰かがあなたを愛してる』『あの頃、君を追いかけた』などが続き、最後に『君さえいれば』の張国栄(レスリー・チャン)と袁詠儀(アニタ・ユン)の画像がスクリーンに映し出されました。そう、あの〈追〉をふたりが歌ってくれたのです! 誰もが固唾を飲んで聴き入っています。この不意打ちに思わず涙が...。続くラストナンバーもレスリー。『さらば、わが愛/覇王別姫』の主題歌〈當愛巳成往事〉が歌われました。演奏が終わるとレイニーとイーソンが手を取り合い、ほっとした笑顔を見せていました。テレビでは流れませんでしたが、レイニーは「無事に終わってよかった」という表情でイーソンの方にうなだれるようにして、イーソンに支えられながら舞台を後にしました。余程重圧だったのでしょうか。とっても素敵でした!
さて、続いてのプレゼンターにびっくりです。『あの頃、君を追いかけた』の監督、九把刀(ギデンズ・コー)と、主演の柯震東(クー・チェンドン)が登場したのです。映画が大ヒットしたあと、残念ながら世間を騒がせたふたり。
それにしても、映画界は最高の大舞台でクー・チェンドンを復活させたものです。あの頃、誰もが彼の活躍を期待していましたが、それもあの事件によって一時休止。たくさんの人に迷惑をかけたことと思います。この機会に感謝して、改めて次世代を引っ張ってゆく俳優に成長して欲しいものですね。
★最優秀脚本賞:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)/山河故人(山河ノスタルジア)
★最優秀脚色賞:萬瑪才旦(ワンマーツァイダン)/塔洛
ここで、成龍(ジャッキー・チェン)が登場! レッドカーペットでお会いしなかったので、このビッグスターの名前が呼ばれた時、一瞬きょとんとしてしまいました。そして本物が登場!
李麗華(リー・リーホア)の功績を讃える終身成就奬のプレゼンターを務めます。
李麗華は古裝片『楊貴妃』『武則天』などで知られ、金馬奨では2度主演女優賞を獲得。ハリウッド映画にも進出し、120以上の映画に出演した往年の名女優です。その彼女と尤敏(ユウ・ミン)が主演し、ショウ・ブラザーズの李翰祥(リー・ハンシャン)がメガホンを取った『梁山伯與祝英台』で映画デビューを果たした子役時代のジャッキー。その時の歌を一節歌ってくれる一幕も。少ない出番ながらその演技を評価してくれた李麗華が『秦香蓮』でジャッキーを息子役にと指名してくれ、それ以来ジャッキーにとって彼女は「乾媽(義理の母)」なのだそうです。ジャッキーが呼び込むと、李麗華が車椅子で登場。ゲストや観衆がスタンディングオベーションで迎え、ジャッキーが跪いてトロフィーを授与しました。
続いて、年度台灣傑出電影工作者、侯孝賢の表彰。プレゼンターは金馬奨主席、張艾嘉(シルビア・チャン)と朱延平(チュー・イェンピン)監督です。朱監督は、彼のスクリプターだった若き日の侯監督のことを、「ビンロウと酒と歌が好きで、まるでチンピラのようだった」と言っていました。
そして侯孝賢組を代表して舒淇(スー・チー)、林強(リン・チャン)、高捷(ガオ・ジェ)、廖慶松(リャオ・チンソン)が個々にインタビューに答えるVTRが流されました。この編集が圧巻。最後の「侯孝賢を一言で表すと?」という問いに、「それは...」と言いよどむ4人がワンカットずつ続き、それぞれが「侯孝賢は、侯孝賢だよ」と全く同じ回答をしていたのです。この見事な一致に、観客もどよめき、拍手喝采となりました。
その盛り上がりの中、侯孝賢が舞台に上がると、あれ?トロフィーがない...
すると、鈕承澤(ニウ・チェンザー)がトロフィーを持って登場! 深々と一礼すると監督が右手を挙げて応えます。『風櫃の少年』の出演など、侯孝賢とともに台湾ニューシネマを支えた映画人たちのサプライズに、またまた会場が大きく沸きました。
「今年は初めて、妻を連れて来ました」と話し始めた監督の受賞コメントが感動的でした。
「映画を撮ることは私にとって、仕事であり、夢であり、一生完成できないもの。もうすぐ70歳だが、あと10年は頑張れる」
「若者よ、デジタル化だ。まだ考えているのか? ただちに映画を撮れ!」
先程大役を果たしたばかりのイーソン・チャンがプレゼンターに登場し、新人賞を発表。
やはり強し、『醉.生夢死』の李鴻其(リー・ホンチー)が受賞。あまりにも堂々としていて、びっくりしました。本命は主演男優賞、というところでしょうか。
★最優秀新人賞:李鴻其(リー・ホンチー)/醉?生夢死
がらりと雰囲気が変わり、女優たちのアクションシーンを集めた映像が流れます。
最後のコメディタッチの作品は誰?と思っていると、プレゼンターのグイルンメイが登場! 「最後の映像は、ほんとに私よ」と笑いを取ります。 本日3着目? 黒いレース???のドレスでした。
★最優秀アクション賞:徐浩峰(シュー・ホンフォン)/師父
★最優秀編集賞:張作驥(チャン・ツォーチ)/醉?生夢死
またまたパフォーマンスタイム。舞台にダンサーが登場し、ノミネート曲をバックに、華麗なダンスが展開されます。メインダンサーが綺麗だな~と思ったら、男装したリン・チーリン!
五月天(メイデイ)のギタリストであり、『百日告別』の主演である石頭(ストーン)が、金馬映画祭クロージング作品『紅衣小女孩』のヒロイン、許?甯(シュー・ウェイニン)をエスコートし登場!
最優秀楽曲賞、音楽賞を発表しました。『百日告別』以来、ストーンにドキドキしてしまいます。
蘇打綠(Sodagreen)の阿?(アゴン)が『百日告別』の音楽でノミネートされていましたが、こちらは残念! 心から残念! 強いな~『醉?生夢死』。
★最優秀楽曲賞:不要放棄/太陽的孩子 詞・曲・歌:舒米恩.魯碧(スミン)
★最優秀音楽賞:林尚德(リン・シャンダー), 曾韻方(ツァオ・インファン)/醉?生夢死
「私は台東のアミ族出身のスミンです。私が先程披露した受賞曲「不要放棄」はアミ語ですが、聞き取れましたか? 聞き取れなくても大丈夫。フランス語だと思ってください(笑)」
実は3年連続で音楽賞にノミネートされ、ようやく受賞となったスミン。
「監督も、アーロウも、受賞できなくても大丈夫、"不要放棄(あきらめないで)"」
第45回金馬奨にて『跳格子』で最優秀新人賞に輝いた経歴を持つスミンは、こう続けます。
「ここにいる監督の皆様、僕は歌も歌えますが、演技もできます!」
笑いと拍手に包まれた見事なスピーチでした。
そして毎年行われるのが、この一年で亡くなった映画人を偲ぶひと時。
6月に肝臓癌で急逝した安鈞?(ショーン・アン)は、享年31歳。
一方、10月に亡くなった名優・田豐は享年87歳。昨年の金馬奨にて金馬獎終身成就獎を受賞した際の、「親愛なる金馬、ずい分待ったよ...」とトロフィーに話しかけるスピーチが忘れられません。『プリズン・オン・ファイアー』など香港を代表する悪役として知られる何家駒も亡くなっていたんですね...
続いて登場したのが、昨年の金馬奨で、『一個勺子』にて最優秀新人監督賞のみならず最優秀主演男優賞まで獲得し、さらに『軍中楽園』で最優秀助演男優賞までかっさらって行った陳建斌(チェン・ジェンビン)。最優秀新人監督賞を発表しました。
ここで期待されたのはやはり何と言っても、あの大ヒット映画『我的少女時代』の監督、陳玉珊(フランキー・チェン)が受賞するのか否か。 私も祈りながら観ていましたが...うーん残念!
★最優秀新人監督賞:畢?(ビー・ガン)/路邊野餐
金馬奨もいよいよ佳境となります。
プレゼンターに李安(アン・リー)と舒淇(スー・チー)が登場。スー・チーとチーリンのスケスケドレスと背の高さにいちゃもんをつける監督。ここからのやり取りもなかなか面白かった。
アン・リー 「最もいい監督とは?」
スー・チー「それは...まだ組んだことのない監督です」 拍手喝采!
その後も大ウケのやり取りが続きました。
最優秀監督賞を受賞したのは...スー・チーが主演した『黒衣の刺客』の侯孝賢! 拍手喝采!
★最優秀監督賞:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)/刺客 聶隱娘(黒衣の刺客)
「審査員の皆さん、ありがとう。随分長く、この賞を獲ってなかった...。私のチームはもう30年も一緒にやっています。ありがとう、リー・ピンビン。ありがとう、録音の...名前忘れた(笑)」
場内大爆笑~
さて、日本の皆様、お待たせしました! 妻夫木聡さんの登場です!
発表するのは最優秀主演男優賞! 大役ではないですか!
しかも通訳はリン・チーリン! これもなかなか面白かった。
チーリンから、「笑顔が爽やかですね~」って言われていました。
『黒衣の刺客』に出演した感想を聞かれ、「侯監督からオファーされると思っていなかったので、とても光栄でした。監督は気さくで優しくて、いつも家族のように迎えてくれて、撮影が終わった時に「よくやった」と肩を抱いてくれました」と語っていました。
さらに、主演男優賞にノミネートされている男優の名前を中国語で言わされるという展開。
そんな意地悪な(笑) でも、これも見事にクリア!
★最優秀主演男優賞:馮小剛(フォン・シャオガン)/老炮兒
発表された受賞者はちょっとびっくりでしたが、代理でトロフィーを受け取った『老炮兒』の管虎(グァン・フー)監督がものすごくカッコ良かった!
背が高い彼にはマイクが低すぎて、細くて長い脚をガバっと開いて立つと携帯を取り出し、「見えない」と言いながら掛けていたメガネを額の上にずらして、まず「私はフォン・シャオガンではありません」と言ってから、フォン・シャオガンからのメールを読み上げていました。
ろ、老眼...? そんな姿に、強い北京訛りの中国語がぴったり。
監督にしておくにはもったいない!
さて、4時間を超えようとしている式典も残すところ2つとなりました。
と、その前に、最後のパフォーマンスです。
なんと、李宗盛(ジョナサン・リー)です!歌うは「油麻菜?」。
ホウ・シャオシェンが脚本、萬仁(ワン・レン)が監督を務め、ジョナサン・リーが音楽を担当した同名映画の自作曲。もう、すごい貫禄と歌唱力。圧巻でした。得した気分。
さて、いよいよ注目の主演女優賞の発表です!
プレゼンターは、シャオカンこと李康生(リー・カンション)と陳湘琪(チェン・シアンチー)!
え、最後にしては地味? そんなことはありません、一昨年の主演男優賞、昨年の主演女優賞受賞者です。なんと言っても、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督ファンにはたまらない組み合わせではないですか?
シャオカンが「シアンチーや...」と、ぬぼーっと呼びかけただけで笑いが起きます。続くトークがまた面白かった! ノミネートされているシルビア・チャンが監督した映画『20、30、40』にかけて、発表を待つ女優たちを20、30、40、50に当てはめていきます。誰もが年齢のことだろうとヒヤッとします。シアンチーも恐る恐るシルビアの方を見ながら、「ご、50は誰よ...」と。しかしシャオカンは50にスー・チー、40にカリーナ・ラム、30にビビアン・ソンを当てはめていき、その理由を述べ、そのたびに観客から感心した声と笑いが起きます。ということは、20は...。「一番若いのはシルビアでしょ?」とシャオカン。会場からざわめきが起きます。その理由は、みんながシルビアを「小妹」と呼ぶからだそうです。(たぶん、「かわいいお嬢さん」みたいなニュアンスかと)
いよいよ発表。「緊張している?」とシアンチー。「まさか。だって国父が決めてくれるでしょ」とシャオカン。ここは国父記念館。確かに入り口には巨大な孫文の像がありました。
「審査員長は陳國富(チェン・クオフー)でしょ」。国父と國富は同じ発音。会場からは拍手喝采です。
そんな盛り上がりの中、シアンチーが受賞者の名前を読み上げます。
「最優秀主演女優賞は...『百日告別(百日草)』のカリーナ・ラム!」
結婚、出産を経ての記念すべき復帰作で、遂に最優秀主演女優賞を掴みとりました!
この作品の素晴らしさ、カリーナの演技を、東京国際映画祭でご覧になった方には納得の受賞ではないでしょうか? もちろん、スー・チーにも二度目の受賞をして欲しかったのですが...
★最優秀主演女優賞:林嘉欣(カリーナ・ラム)/百日告別
スタッフや共演者、家族への感謝を述べた後、撮影前に他界した父親のことに触れ、
「撮影中、いつも側にいてくれたように思います」と声を震わせ語りました。
そして「あとは誰?あとは誰? 忘れている人はいないかなぁ」と、お母さんになってもキュートです。「そうだ、ニウ・チェンザーと戴立忍(ダイ・リーレン)もありがとう!」と本作に協力した2名にも感謝していました。
ついに最後の賞、作品賞です。プレゼンターはチェン・クオフー審査員長と、胡金銓(キン・フー)監督作『侠女』で知られるトップ女優で、後に『さらば、わが愛・覇王別姫』を製作した徐楓(シュー・フォン)。彼女がコールしたタイトルは、「黒衣の刺客」。
かつての侠女から、現代の侠女へと、トロフィーが授与されました。
★最優秀作品賞:刺客 聶隱娘(黒衣の刺客)
舞台にはホウ監督をはじめ、キャスト、スタッフがずらっと並びました。もちろん妻夫木聡さんも。
監督の受賞コメントはー
「最も大事なことは、良い映画を撮り続けること。ありがとう!」
こうして長時間に及ぶ華やかな式典は幕を閉じました。
また来年の金馬奨に向け、ワクワクするような作品にたくさん出会えますように!
追記:あとで録画で見てびっくり。最初のチーリンとワン・ダールーのやり取りの中でのこと。
ジェリー・イェンの映像が出てきて、チーリンが「久しぶり」とつぶやく、なんて展開があったんですねぇ。かつて交際報道があったふたり。ジョークにできるだけ時が経ったってことでしょうか...
記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!
Twitter
Facebook