【青木久美子×杉本真理 スペシャル対談】「新星の台頭と返り咲きににぎわった 2015年の韓国ドラマ」一部抜粋
エンタメ編集者・ライターの杉本真理さんと、アジアン・エンタメライターの青木久美子さんによるスペシャル対談を一部抜粋して大公開!
プロの韓流ウォッチャーから見た、今年ブームを巻き起こした韓流ドラマトークは必見です。
――今年の注目作は何でしたか?
青木「私は一大ブームを巻き起こした『ミセン?未生?』が印象的でした。韓国ではイ・ソンミン扮する中間管理職に自分を重ねる男性が多かったとか。会社員の"あるある"がいっぱいで。本当に、身につまされたり励まされたり。」
杉本「日本でこういった職場ドラマを作ると、もっとコミカルだったり、エキセントリックなキャラクターがメインに出てくると思うのですが、みんなピュア! 私、何度も号泣しちゃいました。」
青木「昔は、財閥への憧れやシンデレラストーリーのような、夢のような世界を描いていたドラマが多かったのですが、最近はもっとリアルに感じられるものが求められるようになってきたみたいですね。」
杉本「大韓航空の"ナッツ・リターン"事件から財閥に対する捉え方が変わってきて、揶揄する対象になったような気がします。ドラマ内でもパロディか!?と思わせるキャラクターが出てきたり。」
青木「ですね。『風の便りに聞きましたけど!?』は財閥家を風刺していたし、『上流社会』も格差社会の恋愛をモチーフに、単純にお金持ちってステキとは言えない世界を描いているから。」
杉本「夢見心地じゃないっていうんですかね。恋愛ドラマも女性と男性の立場がこれまでと違う印象でした。『2度目の二十歳』や『恋愛の発見』『伝説の魔女~愛を届けるベーカリー』など、かつては誰かに守られていたり、依存したりしていた女性が、自分の足で立ったうえで、パートナーと支え合う。現実的なエンディングが多かったです。」
青木「ドラマのトレンドの裏に、韓国の社会の流れが見える感じですよね。」
――ほかにも特筆すべきブームはありましたか?
青木「「ヴァンパイア」が熱いです。ヴァンパイアって恐ろしいけど、美しく、かっこよい存在でもあるから画になる。」
杉本「時代劇ヴァンパイアもの『夜を歩く士ソンビ』のイ・ジュンギはセクシーでしたね。イ・スヒョクの吸血鬼も似合いすぎ! 一方、『オレンジ・マーマレード』は、人間とヴァンパイア(=マイノリティ)が共存する社会での問題が描かれていて、意外と硬派でびっくり。『ディア・ブラッド~私の守護天使』は、ヴァンパイアの正体がウィルス感染者という設定で、一口にヴァンパイアといってもかなり違う。血、吸われたいとか言ってる場合じゃなかった(笑)。」
――ところで、今年は、返り咲きの人も多かったのではないですか?
青木「います! チュ・ジフンです。財閥内の後継者争いと、なりすましというサスペンスが盛り込まれた『仮面』では、チャーミングな部分も見せていて、役者チュ・ジフンが堪能できました。兵役後、しばらくもがいている感があったけど、完全復帰!です。」
杉本「華麗なる帰還といえば『パンチ~余命6ヶ月の奇跡』のキム・レウォン! やっぱりうまいっ!」
青木「深みが出てきましたよね。若い頃は自分よりも年上の役を演じることが多かった彼ですが、やっと実年齢にあってきて、思うままに演じている感じがします。『華政(ファジョン:原題)』で仁祖を演じたキム・ジェウォン、『ヨンパリ(原題)』のチョ・ヒョンジェなども初の悪役で新たな魅力を発揮してます。」
・・・続く・・
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監修者の青木久美子さんと杉本真理さんが振り返る スペシャル対談「新星の台頭と返り咲きににぎわった 2015年の韓国ドラマ」より一部抜粋
文・構成=桑畑優香・編集部
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