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【私の履歴書・田代親世】第7回 ファンミーティングの思い出

それから、韓国人俳優のファンミーティングという新しいビジネスが日本に参入してきましたね。最初は司会をする人も私を含め、限られた人しかいなかったので、「韓国人俳優の日本初ミーティング」は、かなり経験していると思います。

特に思い出深いのは、リュ・シウォンさんかな。彼とは会話の相性も良かったし、あの目じりに皺を寄せて、人懐っこく挨拶してくる姿には、とても好感が持てました。

一度、ファンミに私の母を呼んだ時に、彼に挨拶したんですが、「いつも娘さんにはお世話になっています」と言ってくれて。母も握った手を放そうとせず、私もそんな嬉しそうに紅潮している母を初めて見ました。その後のチェジュ島でのファンミで再会した時に、「お母様、お元気ですか?」と聞いてくれたりして、本当に気配りの人だと思いましたね。

それから、チョ・インソン。「バリでの出来事」役柄そのままの、尖がった印象の人なのかと思っていましたが、会ってみると大違い。細くて長い身体を腰から半分に折るような形で、丁寧なお辞儀をしてくれました。休憩中にも「おかげさまで、楽しく過ごせています。ありがとうございます。」とわざわざ挨拶に来てくれて感激しました。彼は気骨があって、俳優としてのしっかりとしたポリシーのある人です。除隊後の初めてのファンミも司会しました。その時は、ファンとより密な交流をするために、少人数でのファンミを彼自身が希望していたんですけど、打ち上げの席でも「ビジネス的には厳しかったでしょうに、自分の意図を汲んで小規模ファンミにしてくれて、ありがとうございます」と主催者にキチンとお礼をしていました。

私の名前を覚えていて「田代さん」と呼びかけてくれるのは、チョ・インソンさんくらいですね。今も姿勢が変わらないのは、ホントに尊敬するところです。


(第8回に続く・毎週月曜日更新予定)


◆著書


「恋する韓流」(朝日新聞出版)
-韓流10年の活動を振り返ってのエッセイ本




「韓国ドラマが教えてくれる 心が強くなる40の言葉」(中経の文庫)-ドラマの名セリフを取り上げて解説する情報本




小説「台北に舞う雪」(朝日新聞出版)監修-映画化になったオリジナル脚本をもとに書き下ろした小説




小説「泡沫の夏」(新書館)



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