【インタビュー】「輝くか、狂うか」イム・ジュファン 「"好き"の表現が、とても過激なんです」<前編>
「輝くか、狂うか」で皇太子ワン・ウクを演じたイム・ジュファンさんに迫るインタビュー。前編では、「輝くか、狂うか」撮影時の思い出をお伺いします。
★後編は明日10/7アップ予定
★「輝くか、狂うか」公式サイト
※このインタビューは2015年夏に実施されたものです。
●本作の出演オファーを受けた時の気持ちをお聞かせ下さい。最初に脚本を読んだ時の印象は?
俳優は選択される職業なので、とりあえず出演オファーを受けた時はとても嬉しかったです。演出のソン・ヒョンソク監督とは以前にも一緒に仕事したことがあるので声をかけてくださってとても嬉しくて感謝の気持ちでした。
もともと原作の小説がある作品ですが、シナリオを読んだ時、全体的なストーリ構成はドラマとして完成されているので当然とても面白かったです。あと、私が演じるキャラクターを表現する言葉が"邪悪なロマンチスト"だったので、それがとても気に入ったんです。キャラクターの説明をまず読んでから台本を読み始めるので、単純な悪役ではないような気がしましたね。それなりに心に痛みを抱いている人物だと感じました。
●イム・ジュファンさんの長髪姿がとても新鮮でした!ドラマで長髪に挑戦されたのは初めてですよね?いかがでしたか?
映画『霜花店(サンファジョム)-運命、その愛』でも肩のラインまでのロングヘアでしたが、今回はさらに長くなって、腰のラインまでの長さでした。着用していたカツラも一般的な時代劇の扮装チームで扱う男性用のカツラではなく、女性用でした。あまりにも長くて、結構不便でした。口の中に髪の毛が入ったり、どこかでもつれていたり・・・・・・。
女性の皆さんが凄いと改めて思いました。長い髪って管理が大変だなと。
「輝くか、狂うか」
『霜花店(サンファジョム)-運命、その愛』
●ワン・ウクを演じるにあたり、監督からリクエストやアドバイスがありましたか?また、ご自身では何か特別な役作りはされましたでしょうか?
自分の演じるキャラクターをもっともっと知りたいというのは、俳優的な欲求じゃないですか。それでもっと知りたいから原作小説を読みたいと話したら、監督に反対されましたね。
なぜなら、わずらわしくなると。原作小説に書かれているワン・ウクという人物もいるけど、ドラマの脚本家が描いたワン・ウクという人物とは違いがあるかもしれないので、混沌するから読まないほうがいいと言われました。
バランスが大事だとも言われました。間違うととても憎いキャラクターになるし、あるいは緊張感溢れる関係性が緩くなる可能性だってあるので、どっちにも傾かないようと言われましたね。
そして、基本的にワン・ウクは自信に満ち溢れている人間だと。なぜならばすべてが備わってますから。王族の王子で、高麗時代の最高のイケメン、優しく微笑む彼は国民たちが皆尊敬する人物なんです。そしてとても余裕があり、だからより時を楽しめる人だと思って欲しいと言われました。余裕があって、人と話す時も急がない・・・・・・そんな性格のワン・ウクをイメージしてほしいと言われました。
●ワン・ウクは優れた容貌と頭脳、武芸まで兼ね備えた完ぺきな人物でありながら、過去の辛い記憶から、異常なまでに愛に固執する狂気も持っています。そんな2つの面を演じるうえで意識されたことはありますか?
2つの面だとして、この人が全然違う姿を持っていると言うよりは、好きな気持ちの表現において、とても過激なんです。この人の志は変わりません。愛する人を以前一度亡くした辛い経験があり、再び訪れたこの愛を守るために、ある意味子供のような発想をします。何とかしてこの人を守らなければならないけど、それはすなわちその人が死なないことだし、そのためにはワン・ウクが隣りで保護幕を張るしかないと思うんです。そしてこの愛を守るためにはワン・ウク本人が犠牲しなければならない状況を受け止めます。そうじゃないと、愛する人を守れないから。
●本作ではたくさんのアクションを披露されていますが、アクションシーンはどの程度ご自身で担当されたのでしょうか。
またアクションを演じる際に意識した点はありますか?
わかりやすくパーセンテージで説明しますと、80~90%は代役なしで私が全部演じました。チャン・ヒョク先輩はほぼ100%全部ご本人でやりましたね。それで私も先輩に合わせるために努力しました。韓国でアクションと言えば、チャン・ヒョクという俳優なしには語れませんからね。武術監督よりもうまいんですから。
先輩が自らアクションを演じるのに私が代役だと、絵的によくないし、プライドもあるので・・・・・・。何よりチャン・ヒョク先輩についていくため、頑張りました。
ところで、実は私、悔しいんです!
劇中、トーナメントで王子たちが武術試合を行うシーンがありますが、私は最初から戦って八強から四強、それから準決勝から決勝へと実際撮影して上がるんです。しかし、チャン・ヒョク先輩は最後の決勝の時だけ私と2~3回対戦するシーンを撮影して終わるんです。(笑) すでに私は5~6回以上の対戦のシーンを撮影てからチャン・ヒョク先輩との撮影だったので、すでに体力は落ちてましたね。へとへとでした(笑)
●本作の中で、演じていて印象的だったり、気に入っているシーンを教えてください。また印象深いセリフがありましたら教えてください。
そうですね。劇中、シン・ユルがひたすら何かを書き続けているシーンがあります。
自分が死ぬ前に文章で残して、後片付けをするために。それを見て「やめろ!」と叫び、書いているものを投げ捨て、シン・ユルを抱きしめるシーンがあります。それが記憶に残ってますね。なぜならば私も演技を通じて初めて経験する状況と感情でしたから。死にひかえる人を相手するのが私には特別でした。そのような状況を演じるのも今回がはじめてだし、実際に経験したこともないし。
後、印象深い台詞ですが、外国語だから今はその単語が思い出せないんですが、初めてシン・ユルに会った時、お皿に書かれていた外国語がありました。その台詞が私に意味があるもので、なぜならばそれによってシン・ユルのことが好きになり、恋の感情に気付くようになります。意味は「あなたを愛します。永遠に」で、アラブ語でした。
●本作の中で、ご自身で気に入っているラブシーンはありますか?
私が出演するシーンではロマンティックなシーンはほとんどなく、かなりブルーで暗かったです。なぜならば劇中、私のことが好きな、あるいは愛してくれる人物が一人もいませんでしたから。それで、より寂しさを感じる人物だったので明るいシーンはありませんでしたね。もちろん、愛するシン・ユルに対する気持ちは切実でした。
この人を必ず守ってあげるという決心もあったし。
●シニョルはワン・ウクの想いをなかなか受け止めてはくれず、苦しい片思いが続きます。ご自身もドラマのように、片思いに苦しむことがあるのでしょうか?
シン・ユルが二人の男に二股かけてるわけではなく、あくまでもワン・ソへの愛だけだったので、何かロマンティックで甘いシーンはありませんでした。
そして私は片思いで悩んだことはなかったですね。でも、悩みはあります。周りは私には彼女がいるとでっきり思い込んでいて、誰も私に近寄らないんです。(笑) 当然、彼女がいると思ってますね。困ります。(笑)
後輩から同期、先輩に会うと、「ジュファン、モテモテだよな」とよく言われますが、私は言い返したくなりますね。「いったい、どこの誰に私が人気があるの?お願いだから私の前に現れて!」 って。
●チャン・ヒョクさんとは共演シーンも多かったと思いますが、チャン・ヒョクさんとの共演はいかがでしたか?また以前、先輩チャン・ヒョクさんから多くのことを学んだとコメントされていましたが、具体的に、ぜひ真似したいという点があったら教えてください。
本当にたくさんのことを学びました。共演すると、チャン・ヒョク先輩は主人公の座をずっと手にし続けている理由がわかります。俳優としての姿勢ややるべきこと、悩むべきこと、何もかも全てちゃんと守ってきたように見えます。
今回のドラマの後半で、シン・ユルが死んだと思ってワン・ソが訪れるシーンがあります。「私がここに来た。ケボン(=シン・ユルの仮名)」と号泣しながら話すんですが、皆がチャン・ヒョクさんの演技に注目してました。果たしてあのシーンをどのように演じるのかと。チャン・ヒョク先輩は自分の感情の行くまま動いてました。そして、それに合せて周辺人物が自然と融合して行く素晴らしい経験をしましたね。私はあまりにもその演技に見とれてしまい、自分がやるべきことを忘れそうになりました。
チャン・ヒョク先輩は私だけでなく、多くの後輩俳優が尊敬すべき人です。
後編は、明日10月7日アップします!
撮影:Kim Da Un (STUDIO ZIP)
c 2015 MBC
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