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韓流映画祭2023|第2弾のおすすめ作品&みどころはコレ!

 多彩なラインナップが並んだ「韓流映画祭2023」。特に旧作が充実しているのが映画ファンにはうれしい限りです。第2弾も「こんな作品が!」と驚くような隠れた秀作から一度は見ておきたい名作まで、いろいろな作品が揃いました。今回上映される7作品をご紹介します。

 今期の作品の中で注目作品といえば、『豚が井戸に落ちた日』が真っ先にあげられるでしょう。他に類を見ない独自の作風が高く評価され、国際映画祭で数々の賞に輝き、世界中にファンを持つホン・サンス監督の長編デビュー作です。1996年の第17回青龍映画祭新人監督賞を受賞し、韓国封切りから1年後に公開された日本でも大きな話題となりました。売れない小説家の彷徨を描いた本作は、名優ソン・ガンホのデビュー作でもあり、一度は見ておきたい作品です。

  『豚が井戸に落ちた日』場面写真 
『豚が井戸に落ちた日』©Lee Woo Seok, Lee Sang Seok, Hwang Yong Gap.

 監督のエッセンスが詰まっているといわれるデビュー作。ホン・サンス監督以外にも、演劇界から映画界に進出したチャン・ジン監督の1998年のデビュー作『あきれた男たち』が上映されます。初老の泥棒2人と自殺未遂を繰り返す若者、車のセールスマンら4人は、運悪く国会議員連続殺人事件の容疑者となってしまいますが、自分たちの状況をあまり深刻に感じていない様子。そんな彼らを取り調べる刑事たちも、どこかピントがずれていて奇妙です。  
 本作では、自殺を図って泥棒たちに助けられる若者役でシン・ハギュンがデビューを飾りました。演技派として活躍する彼は、その後も『ガン&トークス』や『拍手する時に去れ』など、様々な作品でチャン・ジン監督と組んだほか、監督が原作・脚本・製作を手がけたヒット作『トンマッコルへようこそ』にも出演。また、彼以上に監督作への出演が多いチョン・ジェヨンもタクシー運転手役で顔を出しています。シニカルでどこか哀愁も漂う、監督特有のおかしみを体感してみてください。

『あきれた男たち』場面写真
『あきれた男たち』©Hyun Jin Cinema Co., Ltd.

 そして、今回のラインナップで特に目を引かれるのは、パンソリの唄い手のドラマチックな半生を描く1994年の『フィモリ 名唱イムレの沈清歌』です。同じく国楽をテーマとした『風の丘を越えて-西便制』の影に隠れた感はあるものの、小説の映画化である同作に対して、本作は当代きっての名唱として知られる光州市無形文化財のイ・イムレの実人生に題材を採っているのが興味深い点です。しかも、彼女の息子で、本人も一流の鼓手であるイ・テベクが、イムレの才能を磨いて夫となったイ・ビョンギ、つまり自身の父親役を演じているのです。主人公の若きイムレに抜擢されたキム・ジョンミンは初の映画出演で、第32回大鐘賞映画祭新人女優賞を獲得しました。ただ、もともと芸術高校の国楽講師だった彼女は映画界には入らず、パンソリの道に邁進。現在は公演をはじめ様々な活動によってパンソリを広め、イ・テベクともたびたび共演しています。ちなみに“フィモリ”とは鼓の拍子で、追い込むようにテンポを早めていくため、通常クライマックス場面に使われるそうです。芸道に人生を懸けた人々をその道のプロが演じる、なんとも贅沢な一作です。

『フィモリ』場面写真
『フィモリ 名唱イムレの沈清歌』©Daeil Pilgrim Co., Ltd

 実話に基づいた作品としてはほかに、オリンピック開幕後の1988年にソウルで起きた脱獄囚による立てこもり事件を描いた『ホリデー 有銭無罪/無銭有罪』があります。主犯格の男を演じたイ・ソンジェがソフトなイメージを生かして、紳士的だったと伝えられる犯人を体現した一方、彼を追う刑務所副所長に扮したチェ・ミンスが、悪役とも言える役のため金歯を入れて熱演。2人の演技対決が楽しめます。

『ホリデー 有銭無罪/無銭有罪』場面写真
『ホリデー 有銭無罪/無銭有罪』©HYUNDAI CINEMA

 イ・ソンジェ主演作は2002年のサッカーW杯を背景にした『夢は叶う オン・ザ・ピッチ』も今回公開。サッカー好きの北朝鮮軍人を演じてコミカルな演技を披露しています。また、詐欺師と検事の攻防を描いた『ドゥ・ザ・ライト・シング!』、名脇役イ・ムンシクが刑事役で初主演を飾った『刑事コン・ピルドゥ』といったコメディの佳作が揃いました。いずれもここでしか見られない、期待値の高い作品ばかりです。

『夢はかなう』場面写真
『夢は叶う オン・ザ・ピッチ』©Dream sugar Pictures CO.LTD ©YK Pictures Korea Co., Ltd. ©EXCON (EXCON CO.LTD

『ドゥ・ザ・ライト・シング!』場面写真
『ドゥ・ザ・ライト・シング!』©Dong-A Export

『刑事コン・ピルドゥ』場面写真
『刑事コン・ピルドゥ』©kidari film CORP.,

Text:小田香(おだかおり)
出版社勤務を経てフリーとなり、映画誌で日本映画・演劇の取材・編集を担当。99年から韓国ドラマを見始め、01年より数多くの韓国俳優や映画・舞台関係者に取材。現在『韓流ぴあ』『韓国TVドラマガイド』等の韓流誌を中心に、韓国映画やミュージカル、台湾・中国のドラマ・映画についても各媒体に寄稿している。著書にノベライズを手がけた『イニョプの道』がある。

韓流映画祭2023《第2弾》
「韓流映画祭2023」キービジュアル

2023年7月21日(金)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋にて開催

[鑑賞料金]一般:2,000円/大学生:1,500円/TCG会員1,400円
高校生以下:1,000円/シニア(60歳以上)1,300円
※各種サービス、利用可

おうちでCinem@rt同時開催
[視聴料金]550円
[視聴期間]48時間
https://www.cinemart.co.jp/vod/

公式HP:https://www.cinemart.co.jp/dc/o/hanryu-2023.html
Twitter:@hanryu_2023

『豚が井戸に落ちた日』トークイベント開催決定!!
7月23日(日)16時の回上映後(20分程度)
トークゲスト:佐藤結さん
映画ライターの佐藤結さんをお迎えし、『豚が井戸に落ちた日』やホン・サンス監督についてお話しいただきます。
チケットは当日劇場窓口、または2日前より劇場窓口/オンラインチケットにて購入可能。
HP:https://www.cinemart.co.jp/theater/shinjuku/ 

『小説家の家族』半券割引キャンペーン
6月30日より公開のホン・サンス監督作品『小説家の映画』の鑑賞チケットの半券を提示いただくと、『豚が井戸に落ちた日』を<1,200円>にてご鑑賞いただける割引キャンペーンを実施!
※他サービス、割引併用不可  ※半券は有料で鑑賞したものに限ります

『小説家の映画』
2023年6月30日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス
出演:イ・へヨン、キム・ミニ、ソ・ヨンファ、パク・ミソ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、ハ・ソングク、キ・ジュボン、イ・ユンミ、キム・シハ
2022年/韓国/韓国語/92分/モノクロ・カラー/1.78:1/モノラル
原題:소설가의 영화 英題:The Novelist’s Film 字幕:根本理恵 配給:ミモザフィルムズ
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公式サイト:http://mimosafilms.com/hongsangsoo/

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