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9月20日(金)より1週間限定上映‼

自由の暴力 デジタルリマスター版

宝くじを当て、一夜にして富と愛を手にした大道芸人フランツ。

やっと幸福をつかんだのも束の間、それは奈落への第一歩だったーー。

ファスビンダー自ら主人公を演じた、あまりにも痛ましい衝撃作。

 37年の短い生涯で40本以上もの作品を手がけたライナー・ヴェルナー・ファスビンダー。過激に挑発的に人間や世界のあり様を描き、現在もフランソワ・オゾンはじめ多くの映画作家に影響を与える希代の天才監督。そんなファスビンダーの傑作3本が劇場公開決定。19世紀ドイツの作家テオドール・フォンターネの小説の映像化で日本初公開となる『エフィ・ブリースト』、ファスビンダー美学の極致とも言える重要作『自由の暴力』(『自由の代償』より改題)、そして実在の女性歌手の半生に迫る大作『リリー・マルレーン 4Kデジタルリマスター版』。社会が生み出したシステムに抗いながらも押しつぶされていく個人の姿。恋人や家族間でさえ生じる抑圧や力関係。それでもなお、求めてやまない絶対的な愛やその先の死────。いずれも40年以上前につくられ、描かれる舞台や背景は異なるものの、浮き彫りとなるテーマは古びることはなく、ファスビンダーの映画は今も<現実>だ。その強烈かつ複雑な魅力に満ちた、珠玉の3作品をぜひ劇場で。

 身寄りはアル中の姉しかいない大道芸人フランツは、宝くじに当たったことをきっかけに、ブルジョワのゲイのサークルに入り込み、ハンサムなオイゲンに恋をする。一夜で富と愛を手に入れたフランツは有頂天になってオイゲンに貢ぐが、工場経営者の御曹司オイゲンと粗野なフランツとでは趣味も会話も何もかも相容れない。それでもひたすら愛を信じるフランツだったが、やがてふたりの齟齬は決定的となり・・・・・・。ファスビンダーが初めて男性同性愛を正面から取り上げた作品。ひとりの資本家の男に夢中になったばかりに、利用されるだけし尽くされる主人公をファスビンダー自身が熱演。資本主義社会の冷酷さを暴きだすと同時に、愛の名のもとに展開される哀しく痛ましい暴力的な関係が、デジタルリマスターされた美しい映像で鮮烈に描かれる。

 今回のファスビンダー特集はまぎれもなく「暴力」がキーワードだ。

どの映画も愛する者たちの関係を非情に握りつぶす。

その悲劇を容認してしまう社会の態度をファスビンダーは鋭く批判しつつ、微かに希望の光も同時に感じさせる。

渋谷哲也(日本大学文理学部教授/ドイツ映画研究)

予告編

監督

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

キャスト

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、ペーター・カテル、カールハインツ・ベーム

スタッフ

脚本:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、クリスチャン・ホホフ 撮影:ミヒャエル・バルハウス 音楽:ペール・ラーベン
©︎Rainer Werner Fassbinder Foundation
1974年 / 西ドイツ / 123分 / カラー / Faustrecht der Freiheit
提供:マーメイドフィルム 配給:コピアポア・フィルム 宣伝:VALERIA、マーメイドフィルム
©︎Rainer Werner Fassbinder Foundation

前売券情報

全国共通特別鑑賞券3回券¥3,600(税込)発売中(一般料金:2000円の処)!

前売券・特典

なし

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