監督
フィリップ・リドリー
いよいよ11月7日(木)まで!
1990年の公開時、ロカルノ映画祭では銀豹賞を含む五つの賞を受賞、シッチェス国際ファンタスティック映画祭で最優秀女優賞、最優秀撮影賞を受賞ほか各国の映画祭でセンセーションを巻き起こした映画『柔らかい殻』。本作は絵画、小説、舞台、児童文学とジャンルを超えて才能を発揮、その独特な幻想的世界で人々を魅了し続けているイギリスの鬼才、フィリップ・リドリーが自ら脚本と監督を手掛け、その強烈なイマジネーションを余すことなくスクリーンで解き放った初の長編監督作品だ。1992年の日本の公開時にも熱狂的なファンを生んだ、まさにヤン・シュヴァンクマイエルやデヴィッド・リンチに次ぐ二十世紀最後の鬼才が放つカルト映画である『柔らかい殻』が10/4(金)よりシネマート新宿ほか順次公開決定!ファン待望、奇跡の復活となる。
物語の舞台は1950年代のアイダホ州。一面に小麦畑が広がる田舎町に育った八歳のセスは表面的には平和な生活を送っている普通の少年だ。しかし、ある日友達が何者かに殺されたことをきっかけに、異常と不穏が何もかもを包み込んでゆく…。まるで絵画のような金色の小麦畑と青い空を背景に、一見不合理なようにも思える暴力や性、痛みに満ちた大人たちの世界と恐ろしい出来事を、あくまでも幼い少年の瞳を通し幻想的、耽美的に描く、「少年時代もの」の作品の中でも極めて異様な存在感を放つ本作。主人公セスの兄を演じるのは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ以前の若きヴィゴ・モーテンセン。彼にとって本作はキャリア初期のもっとも重要な作品の一つだ。セスが吸血鬼だと疑う、一人で暮らすイギリス人女性ドルフィン役にはローレンス・オリヴィエ賞受賞者で、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(2013)など舞台、映画で活躍する名女優リンジー・ダンカン。セスを演じるのは当時九歳のジェレミー・クーパーで、一度見たら忘れられない表情を見せつける。また、今回の上映素材は2014年にリドリー監督の監修のもとリマスタリングされたもので、監督自身が「映画がそのとおりの姿をしている。何もかもが、世界がまだ若かった頃と同じように見え、聞こえている」と感激した、美しい初のデジタルリマスター版となる。
また、メインビジュアルも解禁。「恐ろしいことは ごく自然に起こる」というキャッチコピーとともに、主人公のセスが骨の前で捕鯨用のモリを手にしてまっすぐこちらを見つめている、本作の不穏かつ得体の知れない、独自の美学を強烈にあらわしたスチールがデザインされている。
ひとりの少年の眼差しを通し悪夢のような子供時代を、子供時代に抱えていた疑問を、理解し難い恐ろしいことを、世界の不思議を、そして、ありとあらゆる様々な恐怖を鮮烈なビジュアルイメージとともに体験させる『柔らかい殻』。誰もが経験する恐怖そのものと、世界そのものと対峙するための神話的傑作をぜひ、お楽しみに。
1950年代のアイダホ州、小麦畑が広がる田舎町。気弱な父と厳しい母と三人で暮らすセスはごく普通のやんちゃな男の子。ある日、セスは友人のイーブンとキムと共に孤独なイギリス人女性ドルフィンに仕掛けたいたずらがばれ、母に謝りに行かされる。ドルフィンの家は捕鯨の銛や骨で埋め尽くされており、彼女が語る亡き夫への愛や悲しみの話は衝撃的で、父が読んでいた吸血鬼小説の絵に彼女がそっくりだったことから、セスはドルフィンが吸血鬼に違いないと思い込んだ。そんなある日、行方不明になったイーブンの死体が井戸で発見されるという事件が起こる。セスはドルフィンを疑うが、自分の父に容疑がかかり、悲劇が連鎖してゆく。
フィリップ・リドリー
ジェレミー・クーパー、ヴィゴ・モーテンセン、リンジー・ダンカン
脚本:フィリップ・リドリー
撮影:ディック・ポープ
音楽:ニック・ビキャット
1990年 / イギリス / 95分 / カラー
©️ MCMXC National Film Trustee Company Limited All Rights Reserved
提供:マーメイドフィルム 配給:コピアポア・フィルム
公式X:@yawarakaikara
パンフレット 1,000円(税込)
B2ポスター 1,000円(税込)