『ファントム・オブ・パラダイス』『キャリー』『スカーフェイス』『アンタッチャブル』そして「ミッシ ョン:インポッシブル」シリーズの第一作目『ミッション:インポッシブル』など数々の傑作で知られるハ リウッドを代表する巨匠、ブライアン・デ・パルマ。スティーヴン・スピルバーグとマーティン・スコセ ッシら名匠たちと同世代の仲間であるデ・パルマは、時に絶賛、時に酷評されるキャリアのうねりの中 で、エネルギッシュな映像テクニックと、どこか変態的、執念的ともいえるテーマと共に作品を発表、そ こに垣間見える愛や猛烈な悲哀をはらんだ物語の数々によって、世代を超えてカルト的なファンを増やし 続けている監督である。また、クエンティン・タランティーノやノア・バームバックはじめ、後世の監督 たちにも大きな影響を与え続けている。そんなブライアン・デ・パルマ監督作品の中で、日本で一番最初に紹介された作品であり、独特の “デ・パルマ・タッチ”やアルフレッド・ヒッチコックへのオマージュが早くも確立された、彼の原点ともいえる記念碑的作品『悪魔のシス ター』が初のデジタルリマスター版で上映決定！本格的なリバイバル上映も、今回が初めてとなる。
ニューヨークのスタテン島の住宅街に建つマンションの一室で起こった殺人事件に絡む、ある女性の衝撃的な過去。映画はサスペンスフルな演 出と映像技術で、結合双生児の姉妹の謎を追いかけながら、流血と疑惑と恐怖が渦巻く世界へと突き進んでいく。主人公のダニエルを演じるの は、後に「スーパーマン」のヒロインを演じたマーゴット・ギター。結合双生児の姉妹の対比を見事に演じわけ、映画をいっそう神秘的に盛り 上げている。ダニエルに倒錯的に執着する男エミール役には、『ファントム・オブ・パラダイス』のファントム役はじめ、『フューリー』『殺し のドレス』『ブラック・ダリア』などデ・パルマ作品の常連として活躍した怪優ウィリアム・フィンレイ。その眼差しと表情は、いちど見たら 忘れられない強烈さ。音楽はヒッチコック作品『めまい』『北北西に進路をとれ』ほか『市民ケーン』『タクシードライバー』などを手掛けた名 作曲家バーナード・ハーマン。公開当時「ヒッチコックの「サイコ」以来の最高の恐怖映画」「第一級のミステリー・サスペンス」と称賛さ れ、また、精神的、社会的に抑圧下におかれた女性たちの姿という側面もありながら、結末に近づくにつれのしかかる恐ろしさは異様そのもの かつ、全編に染み渡る病的なまでの迫力は唯一無二で、デ・パルマ監督ならでは。今回、マーゴット・ギターをとらえたメイン写真も解禁。あ どけなくも不思議な妖しさをたたえた、まさに本作を象徴するような表情を浮かべている。2024 年新春、巨匠デ・パルマが描きだすめくるめ く悪夢と、その戦慄の結末をご賞味あれ。 

STORY

モデルのダニエルは、テレビ番組のエキストラ役をきっかけに知り合った青年と一夜を過ごす。翌日、向かいのアパートに住む女性記者グレースは、青年が ダニエルの部屋で惨殺されるのを目撃。独自に調査を開始したグレースは、ダニエルには実は妹がいて、結合双生児として生まれていたことを知るのだった が、それは本当の恐怖に飲み込まれる一歩だった…。