独立系のソフトメーカーにとっては生き残るだけでも厳しい業界にもかかわらず、
独自の発想によるジャンル開拓で、数多の荒波を乗り越えて30周年という一つの節目に至るまでの足跡を辿る!
(編集:シネマート編集部 / 制作協力:キネマ旬報社)
1987~
1983年4月にビデオソフトの個人向けレンタルがスタートし、ビデオレンタル店が正規サービスとして続々とオープン! チェーン展開など群雄割拠の様相を呈してきたビデオレンタル店は、1986年末には10,000店を突破し、1990年には14,000店というピークを迎える中、多彩なソフト供給需要の高まりを受け、独立系のビデオソフトメーカーも次々に設立されていったのだった!
1987
代表の香月がエスピーオー設立前に所属していたオリエンタル・シネ・サービス(主にアニメの海外セールスや映画の企画制作)と、スタジオぴえろからの出資を受け、ビデオソフトの販社としてスタート。(SPOはSales company of Pierrot and Oriental Cine Serviesの略)当初は両者の作品を中心に扱っていた。その後、洋画を中心に、公開・未公開問わず、多様なジャンルの作品をビデオリリースしていくことに。
後にアジア作品を多く扱うようになるエスピーオーだが、その原点は、代表の香月がオリエンタル・シネ・サービス在籍時にジャッキー・チェン主演作『ファースト・ミッション』の製作に携わるなど香港映画との関わりが強く、アジア市場の情報に触れ続けていたことが大きい。
MAROKO
1990~
1990年代に入ると、『ファンタジア』『ジュラシック・パーク』『タイタニック』などのメジャー作品がヒットし、セルビデオ市場が盛り上がりを見せる。これに対して、未公開作品を中心にレンタル市場を主戦場としていた独立系のソフトメーカーは苦戦を強いられる。そうした中、エスピーオーは、マーケティングデータからSFジャンルにユーザーニーズがあることを読み取る。その後、“SFのエスピーオー”として独自のカラーを打ち出し、ひとつのジャンルを制するカテゴリーキラーを目指していち早く差別化やブランドイメージの構築を図る!
1992
松竹富士と共同配給という形で劇場公開にも関与し、ビデオソフトは2万本以上のセールスを記録した。
1995
当時、劇場未公開作品としては異例の2万本以上のセールスを記録した。
1996
ハリウッド作品に初めて製作段階からの出資に参加。SFのエスピーオーの系譜は後の2003年に、30代男性をメインターゲットにした未公開映画レーベルSPO-X(スポックス)へと引き継がれる。
1997~
レンタル業界は1,000店を超えるメガチェーンが誕生し、ソフト流通に変化の波が押し寄せる中、劇場公開作品のレンタルマーケットにおける強さをあらためて実感したエスピーオーは、自主配給による作品確保のため、1994年に設立したK2エンタテインメントで本格的な配給事業を開始していくことになる。一方、2000年代に入るとVHS&LDからDVDへという革新的なメディアシフトが起こり、DVDセル市場が急成長していく。
2000 K2
2001 K2
『シュリ』『JAS』の日本でのヒット、そしてその後迎えた韓流ブームに乗り、本格的に韓国映画の配給を手掛けていくことになる。
2002 K2
前年の2001年にも『WASABI』と同じくリュック・ベッソン率いるヨーロッパ・コープが携わった『YAMAKASI ヤマカシ』を日本ビクターと共同で配給し、話題を集めた。
※K2エンタテインメントは2003年12月にSPOディストリビューションと商号変更した後、2005年6月には事業再編のためエスピーオーに吸収合併
2002
プレミアム感を付加し、コレクター向けの商品スタイルで販売。リリースした作品は、主にマカロニ・ウエスタン作品、パゾリーニ・コレクション、MGM作品など。このスタイルは後の韓流・アジア作品のDVD-BOX販売に活かされることになる。また、イマジカが発売元、エスピーオーが販売元を務めるというこの取り組みは、『天井桟敷の人々』『ひまわり』『美しき諍い女』といった映画史に残る名作を“欧州女優コレクション”としてリリースするなど、旧作をパッケージ化する多数の企画にも繋がっていった。
2003~
1998年に韓国大統領に就任した金大中は低迷した韓国経済を復興させるため、国策としてコンテンツ産業を推進。その後、映画『シュリ』が2000年に日本でヒットし、『JSA』『猟奇的な彼女』など娯楽性の高い韓国映画が日本でも続々と公開。韓国作品の人気が急上昇する中、NHKが2003年にBSで韓国ドラマ「冬のソナタ」を放送し、韓流ブームが到来。当初は人気スターが牽引した韓流ブームは、韓国時代劇のヒットなどジャンルの拡大および、台湾や中国のドラマなどのアジア作品全体への注目度も高めることとなり、エスピーオーはそれらを楽しめる機会を増やそうと、積極的に映像のビデオソフト化をしていくだけでなく、劇場運営や特集上映なども仕掛けていった!
2004
買い付けのきっかけはイ・ビョンホンの日本人向けファンサイトを見て、ファンの熱い書きこみを多数目にしたことから。本作を買い付けた同時期には、カンヌ国際映画祭で買いたい作品、買える作品がなく、映画配給事業からの撤退も検討する中、この当時はまだ競合相手が少なかった韓国映画に着目したところ、数多くの良質な作品があることが分かった。“アジアのエスピーオー”に舵を切った瞬間だった。
2004
本作、またF4の人気により日本でも華流ブームが巻き起こる。当時、アジアドラマのDVD化はあまり事例がなかったが、その後もF4関連の作品や、「イタズラなKiss」など日本漫画原作のドラマを中心に数多くDVDリリースした。
2004
2000年代のITブーム時に日本で起業した韓国系の会社の中には、2003年頃より韓国ドラマを日本に輸入するような流れが出てきた。そのような中、当時アジア中で絶大な人気を誇ったアン・ジェウク主演の「グッバイ・マイ・ラブ」を皮切りに韓国ドラマも多数DVDリリースしていくことに。
2005
『純愛中毒』の劇場公開時には、来場されても満席で観ることができないという過熱ぶりを目の当たりにし、韓国映画を多くの人に楽しんでいただくためにはどうすればよいか?と考える中で、エスピーオー主催で立ち上げたのが本企画。来場される方々が確実に鑑賞していただけるように、チケットぴあで前売りの座席指定券を販売。日本未公開の韓国映画を映画祭方式で上映した。全国で32万人以上を動員し大盛況をおさめ、本企画は韓流最先端イベントとして2010年まで開催された。
2006
日本初のアジア映画専門館としてオープン。同年に開催された、「韓流シネマ・フェスティバル2006」は直営館であるシネマートで開催された。シネマートという名称は、2001年にオープンしたWEBサイト「Cinem@rt」(当初はビデオソフトの販売サイトとしての色が強かったが、後にエンタメ情報サイトとしてリニューアル)から取られた。興行にも進出したエスピーオーは、買付→配給→興行→DVDリリースの一本化体制を敷いてアジアに強いエスピーオーのブランド化を目指した。結果、現在ではアジア映画の60~70%がシネマートで上映されるまでになった。
2007
公開に先駆けて行われたジャパン・プレミアには主演のイ・ビョンホン、スエが登場。満席の会場はチケット発売後3分で完売というプラチナチケットを手にした幸運なファンの熱い歓声に包まれた。会場には日本版エンディングテーマ曲を担当した藤井フミヤも駆け付けた。
一方、一時は韓国映画だけで90億円以上もの興行収入をあげる市場となったが、作品の買付価格の高騰や、市場のバブルがはじけたことによる作品の質低下など、韓国映画はしばらく低迷期に入ってしまう。
2007
2009〜
韓国映画の市場がピークアウトを迎えた一方で、エスピーオーはマンガ原作のドラマ化作品に注目。いち早く日本のマンガを原作に製作された台湾ドラマをDVDリリースし、それらの作品が結果を残してきたことも大きな要因だった。特に少女コミックを原作としたラブコメディの人気は高く、「宮~Love in Palace」「花より男子~Boys Over Flowers」「イタズラなKiss~Playful Kiss」は今でもエスピーオーを支えるコンテンツとなっている。
2009〜
韓国ラブコメディが比較的若い層にも受け入れられた一方で、「宮廷女官チャングムの誓い」がNHKで放送されたことで韓国時代劇が人気を博し、新たに男性層の支持も得た。エスピーオーも「大王世宗[テワンセジョン]」「シンイ-信義-」などの韓国時代劇のほか、日本でも人気の高い「三国志」や「曹操」を題材とした中国時代劇をDVDリリースした。近年は時代劇の中でもラブストーリー色の強い作品を“ラブ史劇”として売り出し、代表作としては「蘭陵王」などがある。
2017年には「宮廷女官チャングムの誓い」以来、13年ぶりのドラマ復帰となるイ・ヨンエ主演の「師任堂(サイムダン)、色の日記」を日本展開。韓国ドラマには珍しく完全事前制作のドラマということで、日韓ほぼ同時放送が実現した。
2010~
旧作映画などのリリースが一巡してDVDセル市場が停滞し始める中、新メディアのBD(ブルーレイディスク)が誕生。BDによるカタログタイトルの再リリースなども含めてマーケットは何とかサイズを維持するも、業界再編の波は続き、レンタル市場では一層の低価格化が進んでいく。一方、韓国ドラマの地上波放送が増える中、音楽界にも韓流ブームの余波が押し寄せ、KARAや少女時代などの韓国女性グループが日本上陸し、K‐POPブームが到来した!
2012~
映像界の韓流ブーム、音楽界のK‐POPブームなど、韓国エンタメが日本でも一般大衆化して身近な存在となっていくのと並行して、台湾のドラマやアイドル、中国ドラマなど、アジア圏全体の娯楽文化に触れる機会も増え、その人気も定着。当社はこの経験を活かし、次なる舞台として、日本やアジア各国と共同でドラマを製作し、日本国内だけの展開にとどまらず、アジア圏、そして世界への発信にも乗り出した!
2012
2013
2013
これまでにマンガ原作の韓国、台湾ドラマの日本展開を通して、独自の世界観を持ったマンガをドラマ化した作品には熱いファンがいる手ごたえを得ていた。そのうえで、これまでに築いたアジアのネットワークを活かし(台湾と韓国には現地法人も設立)、日本だけでなくグローバル市場へ乗り出していくチャンスも大いにあるのではないかという思いから、マンガ原作の実写ドラマ製作に本格参入していくことに。
2013
中国・アメリカで同時配信された初めての日本ドラマで、世界中で配信・放送された。中国では日本ドラマとして歴代No.1となる総再生回数2.2億回超を記録(2017年7月現在)。当社がアジア圏への発信を狙ってマンガ原作のドラマ製作に本格参入して大ヒットした記念碑的作品。
2013
大ヒット韓国ドラマの台湾版リメイク作で、当社が初めて製作した台湾ドラマ。DVDだけでなく、ドラマのサウンドトラックCDも発売した。
2014
「イタズラなKiss~Love in TOKYO」の世界的な大ヒットを受けて製作された続編。フジテレビ(関東ローカル)で放送され、2015年上半期AmazonのDVD・ブルーレイ売上(日本TVドラマ部門)1位を記録した(年間大賞でも2位を記録)。
2014
「宮~Love in Palace」など漫画原作のヒット作品を多数制作してきたドラマ制作会社・グループエイトとエスピーオーが共同製作した。
2015〜
2016
2015年に同ドラマの第1期が放送され好評を得たことで、続編だけでなく、アニメ化や韓国でもドラマ「私に乾杯〜ヨジュの酒」としてリメイクされた。日本版ドラマは2017年にSeason3も放送され、人気シリーズとなっている。
2016
名古屋発の男性アイドルグループBOYS AND MENのメンバーが出演し、主題歌を務めたことでも話題に。
2016
韓流シネマ・フェスティバルの際に多くの韓国映画を日本で紹介したように、今度は韓国で日本映画に触れる機会をつくろうと企画された。好評につき、2017年に第2回が開催された。
2016
中国の配信では総再生回数14億回超を記録(2017年7月現在)。日本語吹替版ではこれまでの「イタズラなKiss」アニメ版や各国版で主人公の二人を演じ続けてきた水樹奈々と平川大輔を起用した。
2017
アジア圏でヒットを記録した「イタズラなKiss2~Love in TOKYO」のスタッフが再集結して作られた本作は、フジテレビオンデマンドで先行配信後にフジテレビの深夜枠で放送されたほか、中国、韓国、香港などでも同時期に配信・放送された。中国では配信開始から3カ月の4月時点で、通常の日本ドラマの数倍の再生回数となる6000万回を突破する人気ぶりを見せた。
イタズラなKiss2~Love in TOKYO
ワカコ酒Season1
アニメ ワカコ酒
私に乾杯~ヨジュの酒
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