今回のスタッフインタビューは、「師任堂(サイムダン)、色の日記」で脚本を担当したパク・ウンリョン作家。現代と朝鮮時代が絡み合う構成についてや、イ・ヨンエさんのキャスティングについてお伺いしました。
<プロフィール>
パク・ウンリョン (脚本家)
率直でリアルなセリフにより重く感じやすい不倫を愉快に描き“おばさんドラマ”の革命とも言われた「お向かいの女」で注目を浴び、次作の「二度目のプロポーズ」では最高視聴率38.7%を記録。一気にスター作家となる。作品を通じて“母”の物語を描くことに定評があり、徹底した研究を通じて生み出したリアルな描写と心に響く筆力を持った脚本家。
第1回:2017.4.20掲載
第2回:2017.4.21掲載
脚本家パク・ウンリョンさんインタビュー#1
― 「師任堂(サイムダン)、色の日記」 の脚本を手掛けるまでの経緯を教えてください。
韓国を含め多くの国で、時代を先取りした女性芸術家たちは大体不幸な人生を送っていました。
申師任堂は韓国の代表的な女性画家で、朝鮮時代の最高の天才であるユルゴク イ・イの母です。彼女は楽で安定した人生を生きていたと言われているのですが、"天才画家"そして"韓国代表の母"とも呼ばれる彼女自身は本当に幸せだと感じていたのだろうか、と気になりました。
私も作家の仕事をしていますが、仕事と家事の間で毎日が幸せだと感じることはできません。おそらく働く母親たちは共感できると思います。
画家と賢母...本作はその"不便な同居"に対する疑問からスタートしました。
― キャスティングについてご要望などは出されましたか?
サイムダンのキャスティングに関しては、無条件でイ・ヨンエさんしか浮かびませんでした。彼女ほどの適任者がいるのでしょうか?
撮影前にイ・ヨンエさんは民画を習い始めたのですが、本当に凄い速度で上達していきました。イ・ヨンエさんが初めて描いた画で作った団扇(扇子)も見たのですがとても上手で本当に驚きました。
その他にも、サイムダンの夫と愛人関係になっていくクォン氏役のキム・ミニさんもピッタリだと思って私から推薦しました。フィウムダンの少女時代、ソクスンを演じたユン・イェジュも、彼女の眼差しを見て、この子こそがフィウムダンだと思いキャスティングしました。
― 「この人に演じて欲しい」と当て書きして作り上げたキャラクターはいますか?
イ・ヨンエさん、夫イ・ウォンス役のユン・ダフンさん、クォン氏役のキム・ミニさんなどでしょうか。
当て書きというわけではありませんが、執筆する時には、以前一緒にお仕事をしたなどの面識がある俳優さん以外のかたとは、必ずミーティングをします。
一緒にお茶を飲みながら、画面からのイメージだけではない俳優さん本来のキャラクターや口癖などを観察し、理解しようと努めます。そして、それを私が書いている台本の中のキャラクターに応用したりしています。
こういった工夫をすると、俳優の皆さんも演技しやすいと言ってくれますよ。
― そもそも、現代と朝鮮時代が絡み合う、このような構成にされたきっかけは何だったのでしょうか?
メビウスの輪をイメージしました。切ない思いを持っている過去と現代の女性2人が、時空を超越して出会い、それがお互いの人生に強烈な影響を与える物語です。
最初、現代を生きるソ・ジユンはサイムダンと血のつながりがある、という設定だったんです。サイムダンの娘の娘、またその娘の娘...的な。それで元々考えていたタイトルが「師任堂(サイムダン)the Herstory」だった訳です。女性の立場で描いた歴史と言う意味も兼ねて。
― 演出のユン・サンホさんとは「アンニョン!コ・ボンシルさん」でもご一緒されていますね。作品についてどのように話し合いをおすすめになりましたか?
「アンニョン!コ・ボンシルさん」の時には一度喧嘩した事がありました。それ以来、リラックスしてお仕事できた方だと思っています。
今回はさて...どうだったのでしょうか。ご想像にお任せ致します(笑)。
― 現代と朝鮮時代、2つの物語が同時に進みますが、複雑さに惑わされることなく、物語に入り込めました。2つの時代を同時に見せていく上で、視聴者が入り込めるように気を使ったところはどこですか?
画面が自然な感じで繋がるようにと考えながら書きました。
例えば、現代でジユンがクラブのドアを開いて中に入ると、その次のカットでは紙工房の扉を開いて過去のサイムダンが入って来る、とかです。撮影過程でこのようなシーンがなくなったりもしていたので、それはちょっと残念でしたね。
<第2回へ続きます>
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「師任堂(サイムダン)、色の日記」©Group Eight