「師任堂(サイムダン)、色の日記」を見るうえで、この歴史をしっているともう1歩深くドラマを楽しむことができる。そんな豆知識をご紹介します。
燕山君
燕山君(ヨンサングン、生没年1476~1506年)は、朝鮮王朝の第10代王(在位1494~1506年)です。
暴政がもとで失脚し、王位を剥奪されてしまったため、他の王と違い「君」で呼ばれています。
即位した数年間は貧民の救済や国防に力を入れていた燕山君でしたが、すぐに贅沢で放蕩な暮らしに染まってしまいます。
燕山君が政治に無関心になると、官僚同士の対立が激化します。
燕山君は当時最大勢力であった勲旧派に焚き付けられ、対立する士林派の多くの人士を死刑や流刑に処しました(戌午士禍)。
また、その後、実母の死が処刑によるものだと知ると、派閥を問わずその関係者を次々に粛正し、勲旧派・士林派の両方から反感を買うことになります。
さらに独断専行を欲しいままにした燕山君の暴政に、臣下の怒りがついに爆発。1506年に朴元宗、成希顔らが中宗を担ぎ上げて起こしたクーデター(中宗反正)により失脚。燕山君は、追放された江華島で31歳で死去しました。
「師任堂(サイムダン)、色の日記」では、燕山君の末路を見ていた中宗が、自分もいつかああなるのではという強い不安を感じる姿が描かれています。
文・キネマ旬報社(担当:アジアチーム 岡崎暢子)
アジアチームでは『韓国テレビドラマコレクション2017』『韓国ドラマで学ぶ韓国の歴史2017年版』など、韓国関連出版物のほか、『台湾エンタメパラダイス』『中国時代劇で学ぶ中国の歴史』など華流関連出版物も刊行。最新刊『韓国テレビドラマコレクションプラス』では、韓国ドラマをゆっくりじっくり楽しみたい大人のためのムックとして、「師任堂(サイムダン)、色の日記」などドラマ紹介を中心にバラエティや料理レシピ、コラムなど幅広く紹介。全国書店で発売中