「師任堂(サイムダン)、色の日記」を見るうえで、この歴史をしっているともう1歩深くドラマを楽しむことができる。そんな豆知識をご紹介します。
中宗
朝鮮王朝の第11代王で、「師任堂(サイムダン)、色の日記」にも登場する中宗(チュンジョン、生没年1488~1544年。在位1506~1544年)。
中宗の時代は政治改革が挫折し、党派間の争いが激化、また絶えず外敵の侵入に脅かされた時期でもありました。
即位後、中宗は、学者から成る士林派を復帰・重用するなどして、燕山君が破壊した儒教の復興に力を入れます。
ところがこれに反対勢力の勲旧派が反発。
また、急進的な士林派の改革に不安を感じていた中宗も、勲旧派の反発を容認してしまい、1519年には趙光祖ら多くの士林派人士が処刑・流刑にされました。
これが己卯士禍(キョミサファ)と呼ばれる事件です。
師任堂の父、申明和(シン・ミョンファ)はこのキミョサファでの処刑を免れており、「師任堂(サイムダン)、色の日記」では中宗の回想シーンでこの場面が描かれています。
勲旧派が権力を奪回した後も、中宗の外戚に実権を握られるなど政局は安定しませんでした。
このことからドラマなどでは優柔不断であったり、不安定な性格に描かれることがあります。
1544年、中宗は長男の仁宗に譲位した翌日、57歳で死去しました。
文・キネマ旬報社(担当:アジアチーム 岡崎暢子)
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