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『1980 僕たちの光州事件』いまさら聞けない光州事件とは?

『KCIA南山の部長たち』『ソウルの春』『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』に続き、韓国現代史の闇を市民の人々の視点で描く『1980 僕たちの光州事件』が、4月4日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開。これまで光州事件を舞台にした作品が多数製作され、日本でもヒットを記録していたが、改めてこの事件がどのようなものだったのかを整理したい。

『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』や『ソウルの春』など、
これまでも沢山映画化されてきたけど、実はあまり理解出来てない!?
いまさら聞けない、“光州事件”とは?


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光州事件(こうしゅうじけん)とは一般的に、韓国の光州市で1980年5月18日から5月27日までに発生した民主化運動(市民蜂起)とそれに対する政府による武力弾圧のことを指し、今日に至るまで韓国の歴史において民主主義の確立を求める運動の象徴となっている。

1970年代の韓国は、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領による軍事独裁政権下にあり、政治的自由が制限されていた。その後1979年に朴大統領が側近であった中央情報部(KCIA)部長の手によって暗殺されると、政権の不安定さが増し、市民たちの間には「ソウルの春」と称されるほど民主化への期待感が広がってゆく。

ところが1980年全斗煥(チョン・ドゥファン)がクーデターによって権力を掌握し、再び軍事的な圧力が強まっていく。そして5月18日、光州市で軍事政権に対する抗議デモに対して政府は武力で鎮圧を試み、多くの市民が死傷した。これがさらに抗議行動を激化させる結果となった。

抗議活動は広がり、光州市民は結束して大規模な運動を展開。市民たちは市役所を占拠し、バリケードを築くなどしてデモは数日間にわたって続いたが、政府は最終的に光州市に大規模な兵力を派遣し5月27日には市内を武力で制圧。この攻撃によって、更に多くの市民が犠牲になり、数千人が逮捕された。公式の死者数は約150人とも200人と言われているが、実際にはその何倍にものぼると考えられている。その中には、デモに全く関係ない市民も多くいたという。

光州事件は韓国社会に深い傷を残したが、同時に民主化運動の重要な転機となった。この事件は後の1987年の民主化宣言から今日に至るまで、韓国の民主化運動の象徴として語り継がれ、国民の抗議意識が高まりを促していったという。

本作は光州事件のど真ん中に生活をしていた「ごく普通の家族」の姿に焦点を当て、権力が市民の小さな幸福をいかにして踏みにじったのか、そして悲劇の中にあっても大切な人を守りたいと願う思いがいかに尊いものであるかを、時にユーモアを交えながらも切々と描いてゆく。『1980 僕たちの光州事件』は、4月4日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開。


『1980 僕たちの光州事件』

2025年4月4日(金)より、シネマート新宿ほか全国公開!

監督・脚本:カン・スンヨン
出演:カン・シニル、キム・ギュリ、ペク・ソンヒョン、ハン・スヨン、ソン・ミンジェ

2024年/韓国/韓国語/99分/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳:本田恵子/字幕監修:秋月望/原題:1980/映倫G
配給:クロックワークス https://klockworx.com/movies/1980/ © 2024 JNC MEDIA GROUP, All Rights Reserved.

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