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【第20回大阪アジアン映画祭】受賞結果発表‼

2025年3月23日(日)に第20回大阪アジアン映画祭が閉幕し、『カンフーハッスル』脚本家フオ・シンの初監督作品で、婚約者にフェイ・ウォンのコンサートチケットを取り上げられた女性が奇妙な男に出会う壮絶な純愛ストーリー『バウンド・イン・ヘブン』(中国)がグランプリ(最優秀作品賞)に輝きました。下記にグランプリ以下各賞の受賞結果を次の通り。

■グランプリ(最優秀作品賞)■

コンペティション部門上映作品を対象に、審査委員会が最も優秀であると評価した作品に授与。副賞として賞金50万円を贈呈。

『バウンド・イン・ヘブン』(Bound in Heaven/捆綁上天堂)/中国
監督:フオ・シン(HUO Xin/霍昕)

≪授賞理由≫
映画が描く(映す)テーマが多様化する中で、特に「映画祭」では選ばれにくい、最も古典的な”恋愛映画”の本作に迸る熱度と強度に衝撃をうけました。主演二人がたどる「運命」は映画を目にする私たちを疑いもなくその物語に没入させ、映画的歓びを共有させてくれるその世界に魅了されました。

 

■来るべき才能賞■

コンペティション部門上映作品を対象に、審査委員会が最もアジア映画の未来を担う才能であると評価した方に授与。副賞として賞金20万円を贈呈。

パク・イウン監督(PARK Ri-woong/박이웅)
『朝の海、カモメは』(The Land of Morning Calm/아침바다 갈매기는)/韓国

≪授賞理由≫
パク・イウン監督の人間の善良さを見抜く能力と、社会が抱える問題を詳らかにする鋭い注意力は来るべき才能賞に値する。
【授賞者コメント/パク・イウン監督】
47歳にして新人賞を頂きました。皆さま、本当にありがとうございます。海外の上映されるたびに、韓国とはちがった場面で、観客の方が笑って泣いている姿を見て、私の気持ちも豊かになっていきます。そして映画が豊かになっていくのを感じます。観客の皆さま、大阪アジアン映画祭の皆さまに感謝いたします。

 

■スペシャル・メンション■

今年度、審査委員の協議によりスペシャル・メンションが授与された。

『私たちの話し方』(The Way We Talk/看我今天怎麼說)/香港
監督:アダム・ウォン(Adam WONG Sau-ping/黄修平)

≪授賞理由≫
『私たちの話し方』のアダム・ウォン監督と彼のクルーの深い優しさと、先入観のない公平な視点が本作を珠玉の作品にした。聴覚障害者の内なる世界に観客を心深く没入させる作品である。

 

■最優秀俳優賞■

今年度、審査委員の協議により最優秀俳優賞が授与された。

トゥブシンバヤル・アマルトゥブシン(Tuvshinbayar AMARTUVSHIN)
『サイレント・シティ・ドライバー』(Silent City Driver/Чимээгүй хотын жолооч)/モンゴル

≪授賞理由≫
アマルトゥブシンは静謐で、決して不快でない男らしさを体現し、それは映画の領域に深く共鳴した。彼の内なる感情を伝える卓越した演技力は、静穏だが暗晦な世界に生きる主人公の複雑な孤独を的確に捉えた。

【授賞者代理コメント/ジャンチブドルジ・センゲドルジ監督】
本当にありがとうございます。観客の皆さま、映画祭の皆さまに感謝いたします。
映画はみんなで作り上げた作品です。映画のチームの皆さんにも感謝申し上げます。そして賞状をトゥブシンバヤル・アマルトゥブシンさんに渡します。

 

■JAIHO賞■

映画配信サイトJAIHOにより創設されたスポンサーアワード。上映されたすべての作品を対象に、JAIHOが最もクリエイティブだと評価した作品に授与。副賞として賞金10万円を贈呈。

『君と僕の5分』(404 Still Remain/너와 나의 5분)/韓国
監督:オム・ハヌル(UHM Ha-neul/엄하늘)

≪授賞理由≫
テンポよく展開するストーリー、主人公2人の瑞々しい演技。彼らがバスの車窓から眺める四季折々の風景が、音楽と絡み合い美しい余韻を残す。そして少年は大人になる。“ボーイ・ミーツ・ボーイ”映画の傑作。


©gozip studio

 

■薬師真珠賞■

薬師真珠によるスポンサーアワード。上映されたすべての作品の出演者を対象に、薬師真珠が最も輝きを放っていると評価した俳優に授与。副賞として薬師真珠より真珠装飾品を贈呈。

ラン・ウェイホア(LAN Wei-Hua/藍葦華)
カオ・イーリン(Alexia KAO/高伊玲)
ツェン・ジンホア(TSENG Jing-Hua/曾敬驊)
ホアン・ペイチー(Queena HUANG/黃珮琪)
『我が家の事』(Family Matters/我家的事)/台湾

≪授賞理由≫
『我が家の事』の主人公家族を演じた4人の俳優たち、ラン・ウェイホア、カオ・イーリン、ツェン・ジンホア、ホアン・ペイチーに授与する。家族それぞれがかかえる複雑な心情を見事なアンサンブルで演じ、新人監督による偉大な傑作の誕生に貢献した。

【授賞者コメント/カオ・イーリン】
映画で母親を演じました。『我が家の事』は40人くらいのクルーで製作された作品です。気に入ってくださったらうれしいです。まわりの方にも是非すすめてください。

【授賞者コメント/ツェン・ジンホア】
この場を借りて、撮影クルー、大阪アジアン映画祭の観客の皆さまに感謝申し上げます。審査員の皆さま、映画の中で相手役を務めてくださった皆さまにも感謝いたします。皆さまのおかげで、私は受賞できたと思っています。そして最後に監督に、心から感謝申し上げます。監督はかわいくて、実はひょうきんな人なんですよ。母親が大好きなんです(笑)!ありがとうございました。


©2025 Key In Films Ltd.

 

■JAPAN CUTS Award■

インディ・フォーラム部門の日本映画を対象に、米国ニューヨーク市のジャパン・ソサエティー(日本映画祭「JAPAN CUTS」主催団体)がエキサイティングかつ独創性に溢れると評価した作品に授与。

『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』(So Beautiful, Wonderful and Lovely)/日本
監督:大河原恵(OKAWARA Megumi)

≪授賞理由≫
多彩な編集と撮影手法、不条理なユーモアとハートフルなストーリーテリングが矢継ぎ早に繰り広げられる、大河原恵監督の『素敵すぎて素敵すぎて素敵すぎる』にJAPAN CUTS AWARDに授与する。脚本・監督・編集・主演を務めた大河原は、真の若いエネルギーに溢れ、短い上映時間の中に創造的なアイデアと野心を詰め込み、かつ筋の通った作品を完成させた。

【授賞者コメント/大河原恵監督】
インディーフォーラム部門には素晴らしい作品ばかりだったので、大変驚いています。観客の皆さま、関係者の皆さま、大阪アジアン映画祭の皆さま、ありがとうございます。

 

■芳泉短編賞■

芳泉文化財団により創設されたスポンサーアワード。今年度映画祭で上映された60分未満の映画(協賛企画《芳泉文化財団の映像研究助成》を含む)のうち、日本初上映の作品を対象に、審査委員会が最も優秀であると評価した作品に授与。副賞として次回作研究開発奨励金10万円を贈呈。

『洗浄』(WAShhh/洗浄)/マレーシア
監督:ミッキー・ライ(Mickey LAI/黎樂怡)

≪授賞理由≫
まるでリアルタイムで起きている出来事のように、限られた空間と時間の中で観客を巧みに没入させ、少女たちの状況の追体験を可能にする。モノクロームの画がセンセーショナリズムに陥らない緊迫感を作品にもたらす。リアリズムとシンボリズムの両方を兼ね備え、制度の不条理を痛烈に批判し、タブーに挑んでいる。

 

 

■芳泉短編賞 スペシャル・メンション■

『金管五重奏の為の喇叭吹きの憂鬱』(The Melancholy of a Brass Player for Brass Quintet)/日本
監督:古谷大地(FURUYA Daichi)

≪授賞理由≫
元気が湧いてくる作品(アダム・ウォン)
編集、音響デザイン、テンポ ー すべてにおいて類のない作品。何が何だか分からないのに、完全に筋が通っている。(ジョン・スー)
まるでサイレント映画のようなアナーキーさを湛えている(木下千花)


©2024Gempa

 

■観客賞■

全部門の上映作品の内(一部作品を除く)、当映画祭の上映が日本初上映となる作品について、観客の投票による得点平均が最高の作品に授与。副賞として薬師真珠より淡水真珠のネックレスを贈呈。

『蔵のある街』(The Tales of Kurashiki)/日本
監督:平松恵美子(HIRAMATSU Emiko)

【授賞者コメント/有吉司(配給:マジックアワー代表)】
私は配給の仕事をして40年になります。この40年で、観客賞を頂けたことは個人的に本当にうれしく、きっと誰よりも喜んでいると思います。そして大阪にいられなかった、平松恵美子監督もよろこんでいると思います。


©2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会

第20回大阪アジアン映画祭(OSAKA ASIAN FILM FESTIVAL 2025)
2025年3月14日(金)から3月23日(日)まで

上映会場:ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館
公式HP:https://oaff.jp

主催:大阪映像文化振興事業実行委員会(大阪市、一般社団法人大阪アジアン映画祭、大阪商工会議所、公益財団法人大阪観光局、朝日放送テレビ株式会社、生活衛生同業組合大阪興行協会、株式会社メディアプラス)
次回映画祭:万博イヤーの2025年度・第21回大阪アジアン映画祭は、2025年8月29日(金)~9月7日(日)に開催予定!

3/23(土)大阪アジアン映画祭クロージング作品「桐島です」世界初上映舞台挨拶レポート


第20回大阪アジアン映画祭が閉幕し、クロージング・セレモニーに続いて、高橋伴明監督最新作で、毎熊克哉が主演する「桐島です」(英題:I Am KIRISHIMA)がクロージング作品として世界初上映された。連続企業爆破事件に関与したとして指名手配され、49年もの逃亡の末、2024年に70歳で死亡した桐島聡。映画「桐島です」は、彼の知られざる半生を、報道・史実を元にフィクションを織り込んで描く社会派エンターテインメント。

毎熊克哉は日本
映画界を担う俳優になる ──映画「桐島です」世界初上映

高橋伴明監督は、2012年の第7回大阪アジアン映画祭で『道~白磁の人』がオープニング作品として上映されて以来の大阪アジアン映画祭への参加となる。新作「桐島です」が世界初上映されることについて、「ひっそりと公開される映画だと思っていたのに、こうして大々的に発表できることができ、びっくりすると共に本当に感謝しています」と、心境を語った。桐島聡を演じた毎熊克哉さんについて、「映画『ケンとカズ』の頃から注目していた。毎熊克哉は、日本映画界にとって大事な存在になることは間違いない」と絶賛した。
 脚本を手掛けた梶原阿貴さんは、高橋伴明監督とは、第96回キネマ旬報ベスト・テンをはじめ数々の賞を受賞した『夜明けまでバス停で』以来の待望の再タッグ作となる。「桐島です」も実話をもとにした作品であり、「実際の事件を映画化することは関係者への配慮など難しいことがある」としつつも、エンターテインメントとして映画にするか、その難しさを語った。
 『痛くない死に方』、『夜明けまでバス停で』に続いて3作目のタッグとなる製作総指揮の長尾和宏さんは、「命、生きること、死をやさしい眼差しを向けている」と、高橋伴明監督への絶大なる信頼を寄せた。
サプライズ登壇となったプロデューサーで出演の高橋惠子さんは、「まだ脚本ができていない、タイトル「桐島です」だけしか決まっていない段階で、これはどんな役でも出演しよう」と思い、はじめて高橋伴明監督に自ら出演を希望したという。「スクラップブックをつくっていたくらい、元々桐島聡に関心があった」梶原さんだったからこそかけた脚本だったと、高橋伴明監督組への思いを語った。
映画「桐島です」は7月4日(金)より新宿武蔵野館他全国順次公開となる。


©北の丸プロダクション

「桐島です」
2025年7月4日(金)より新宿武蔵野館他全国順次公開

監督:高橋伴明
出演:毎熊克哉、奥野瑛太、北香那、甲本雅裕、高橋惠子

2025年/105分/日本 英題:I Am Kirishima
プロデューサー:髙橋惠子、高橋伴明
脚本:梶原阿貴、高橋伴明 撮影:根岸憲一 音楽:内田勘太郎
製作会社:ブロウアップ 配給:渋谷プロダクション

©北の丸プロダクション

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