韓国に関するイベントのレポートをお届けします。
イベントレポ|韓国スター チャン・ドンゴン&ホ・ジノ監督来日!『満ち足りた家族』ジャパンプレミア
この度、『八月のクリスマス』や『危険な関係』で知られる名匠ホ・ジノ監督の最新作『満ち足りた家族』が2025年1月17日(金)より全国公開。
本作は、『八月のクリスマス』(98)で商業長編監督デビューするなり韓国映画ニューウェイブの始まりをいち早く世界に告げたホ・ジノ監督による、豪華キャストが集結した衝撃のサスペンス。2023年のトロント国際映画祭を皮切りに、20前後の映画祭に入選する快挙を達成した本作が、ついにジャパンプレミアを迎え、『ブラザーフッド』(04)などに出演の人気スターであり約5年ぶりのスクリーン復帰となるチャン・ドンゴンと、名匠ホ・ジノ監督が来日し舞台挨拶を実施。韓国映画界を牽引する豪華ゲストが、本作の日本公開を盛り上げた。
ソル・ギョング&チャン・ドンゴンの共演、名匠ホ・ジノ監督の最新作となる衝撃のサスペンス映画『満ち足りた家族』のジャパンプレミアが11月20日に都内映画館で実施され、チャン・ドンゴンとホ・ジノ監督が参加した。
チケット完売で満席御礼となったこの日、詰めかけたファンからの盛大な拍手と黄色い声援を受けながら登壇したチャンとホ監督。笑顔を見せる2人に観客のボルテージは一気に上昇した。
道徳的で良心的な小児科医・ジェギュを演じたチャンは、実に5年ぶりのスクリーン復帰。日本語で「こんばんは、チャン・ドンゴンです」と挨拶し、「久しぶりに作品をもって皆さんに直接お会いできてとても嬉しいです。まだ日本公開前ですがたくさんの関心を寄せていただき、貴重な時間を割いて来てくださって本当にありがとうございます」とファンに感謝の言葉を伝えた。続いてホ監督も日本語で「こんばんは、ホ・ジノです」と挨拶し、「お会いできて嬉しいです。今日はチャン・ドンゴンさんと一緒にこの作品を皆さんにご紹介できて本当に嬉しいです。この後、ぜひ映画をお楽しみください」と挨拶した。
2023年のトロント国際映画祭を皮切りに、約1年間、世界の映画祭で上映され、先月韓国での公開を迎えた本作。今回のジャパンプレミアで日本の観客へは初お披露目となるが、チャンは「本作が初めて公開されたのは昨年のトロント国際映画祭で、海外の皆さんの反応が良かったのでとても安心したことを覚えています。文化の違いがあるにもかかわらず、細やかな部分まで共感してくれました。先月韓国で公開されて、今度は日本の観客の皆さんが本作をどのようにご覧になるのか、とても楽しみでワクワクしています」と率直な気持ちを明かした。ホ監督も「トロント国際映画祭において初めて公開し、それを皮切りに恐らく過去の私の作品の中で一番たくさんの映画祭に招かれました。韓国で公開をした後も予想以上に反応が良かったです。ついにここ日本でも公開されることになりました」と感慨深い様子だった。
ホ監督のマイクの向きをさりげなく整えてあげるチャンに「ありがとうございます」とホ監督が日本語で答えるなど、仲睦まじい様子を見せた二人は、『危険な関係』(12)以来の再タッグとなった。ホ監督は「『危険な関係』以来、実に12年ぶりとなりますね。またこうしてチャン・ドンゴンさんとお会いできてとても嬉しく思います。現場はとても楽しく、チャン・ドンゴンさんとは色々なお話をして、ジェギュというキャラクターを作り上げていきました。今から皆さんにご覧いただきますが、本当に素晴らしい演技を見せてくれています」とチャンを絶賛。しばらく映画出演から遠ざかっていたチャンが復帰作としてホ・ジノ監督作を選んだ理由については、「監督の『八月のクリスマス』を見ていつかご一緒したいと思っていて、『危険な関係』でご一緒することができて、とても楽しく興味深い現場となりました。ホ監督は本当に私たち俳優をリラックスさせてくださる監督です。私たちの話に耳を傾けて理解してくださるので、頼もしい援軍を得たという感覚になります」と振り返った。さらに、「実は『危険な関係』の前に、自分の口からこのタイトルを言うのも気恥ずかしいですが、確か15年ほど前に東京ドームで“韓流四天王”というイベントが行われて、その時に監督が映像をディレクティングしてくださいました。それを含めると本作が三度目の共作になります」と日本で行われたイベントでの裏話を披露すると、当時現場に参加していただろう観客からは驚きの声があがった。そして、長くなってしまった通訳にチャンは「お疲れ様でした」と日本語で通訳者を労うと拍手が巻き起こった。
本作はヘルマン・コッホの世界的なベストセラー小説「冷たい晩餐」が原作で、既に欧米でも映画化されているが、今回改めて映画化しようと思ったきっかけについてホ監督は「これまでの映画もすべて素晴らしい作品でしたので、最初は少し映画化することに躊躇いがありましたが、何度もシナリオを読み返していくうちに、今まで私が作ってきた作品のストーリーとは違ったものを映画の中に込められるのではないかと思いました。韓国の階級などの社会問題について、自分自身で掘り下げて表現する良い機会・挑戦になるのではと思って引き受けることにしました」と明かし、原作との改変点については「(原作での次期首相有力候補の兄と元教師の弟から)設定を医師と弁護士に変えましたが、韓国の皆さんがより身近に感られるのでは思ったので職業を変えました。まず医師というのは韓国では子供や学生たちが憧れて、みんなが尊敬し、なりたいと思う職業の代表ですし、弁護士という職業もやはり尊敬を集める職業でもあります。そういった人に設定することで、韓国ではより身近に感じられると思いました」と意図を語った。
ジェギュは道徳的で善良な医者であり、チャン自身のイメージと重なるが「最初このシナリオを読んだときに、ジェギュという役柄に惹かれた理由の一つは、演技者としてより現実にいそうな足の着いた人柄だと思ったからです。このキャラクターは道徳的で原理を大切に考え、ボランティア活動も熱心に行う良い人に見えますが、そのような人の裏側にもやはり隠れた本性がある、それを映画で見せていけるのではないかと。より立体的なキャラクターとして演技できることが良いことだと思ったので演じたいと思いました。また実際に演技をしながら彼の隠れている本性や、弱点を少しずつ出していける点が楽しい作業となりました」と二面性をはらんだ役柄を楽しみながら演じられたと語った。
最後に上映を楽しみに待つ観客に向けてホ監督は「来年1月17日に日本にて公開となります。今日ご覧いただいて楽しんでくださったのなら、周りの方にぜひPRを“よろしくお願いします (日本語) ”」、チャンは「韓国でも舞台挨拶でいろんな場所に訪れましたが、ある劇場で“映画の中で答えを出している映画は劇場で見終わったらそこで終わるけれども、質問を投げかける場合は映画を見終えた後から始まる”という言葉が壁に書かれていました。恐らく本作も見終わった後にいろんなことを考えさせる作品だと思います。どうか皆さんも考えを巡らせてください。本当に意味のある事を考えられる時間になると思います。お楽しみください」と呼びかけ、ジャパンプレミアは大盛況のうちに幕を閉じた。
配給:日活/KDDI
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