人間とAIに「愛」は成立する? SFの一大テーマに挑んだBL「AntiReset」は結末までハラハラが止まらない｜VBLコラム#4

2024.04.1918:00

「AntiReset」キービジュアル

大学教授×AIロボット、近未来を描くSF BL

「AntiReset（アンチリセット）」は、怪我をした大学教授・褚一平（チュー･イーピン / ウー・ピンチェン演）のもとに、叔父の衛恒（ウェイ･ホン / チョウ・ヨンシュエン演）がお世話係を送り込んだことから物語が始まります。住み込みでお世話だなんて完全にカップル成立フラグですよね!?　しかし送られてきたのは、なんと人工知能（AI）ロボット・恒9（ホンジウ / ホアン・リーフォン演）。叔父の会社で研究開発中の最新ロボットでした。

しかも恒9は感情面の演算能力が強化されており、人の気持ちに寄り添ったケアが可能。その上、自ら疑問や課題を設定し学習していきます。こうして恒9は褚一平との生活を通じて「愛」を知り、また褚一平も素直な恒9に次第に心を溶かされていくのですが、二人には人間と機械という大きな障壁があって……「AntiReset」は「冷淡な教授×好奇心旺盛なAIロボット」というSF要素たっぷりなBLなんです！

恒9は人間の姿をした機械であると同時に温かさを持つという難しい役どころ。演じたホアン・リーフォンは、ロボットらしく見えるよう肩や頭の動かし方などを研究したそう。また人間とAIとの恋愛を考える上で、ChatGPTと会話をして役作りのヒントを得たのだとか。

ユーザーと機械という関係から、互いに与えあう関係に♡

普段は他人に興味を持てない褚一平ですが、相手がAIロボットとなると探究心から関心を示し、実験のような感覚で恒9に接していきます。恒9は設定済みのプログラム以外のこと、特に恋心のような繊細な感情の読み取りは学習中という様子。このちょっと噛み合わない感じ、恋を自覚する前のぎこちなさってたまらないですよね。

さて褚一平が教えたことをどんどん吸収する恒9ですが、当初は「ご主人様」に快適に過ごしてもらうための学習だったのが、だんだん「人間らしくありたい」「褚一平のそばにいたい」という願いが芽生えていきます。

関係の変化を象徴するシーンの一つが川岸のデートです。デートスポットとして人気の夜の川岸ですが、恒9に言わせると「蚊が多くて暗くて臭くて危険」。客観的でなんともAIらしい感想ですよね。しかし恒9はデートを楽しむ他のカップルの様子を観察し、実際に褚一平との川岸デートを体験することで「恋人同士」の感覚を感じ取っていきます。手のつなぎ方も恒9の方から「こっちの方がいい」と指を絡ませ、いわゆる恋人つなぎに♡　さっきまで恋愛に無頓着だった恒9の急な変化にドキドキする褚一平も可愛らしい！　二人の関係が一つ進んだと感じるワンシーンです。

川岸のデートシーンにはVBLシリーズ「Stay By My Side」の主役カップル江馳（ジャン・チー）＆顧歩夏（グー・ブーシア）が映り込んでいます！　作品同士で世界が繋がっていたんですね。ぜひ探してみてください！

さらに恒9は褚一平に好意を寄せる助手の何麗（ホー・リー）に嫉妬心を露わにし、彼を「独占したい」という願望まで抱くようになります。「ロボットがこんな考えを持つなんて、バグではないのか」と悩みますが……この感情を恋と呼ばずしてなんと呼べばいいのでしょうか！

褚一平も知識としてしか知らなかった「愛情」を恒9との生活で体感し、心に変化が起きます。恒9のことを量産可能な機械の一つではなく何者にも変えがたい唯一の存在と強く思うようになるのですが、褚一平の表情の変化、特にどんどん目が輝いていく変化は必見です！　これまで愛を知らなかった二人が「温かな人間らしい感情」を一緒に育んでいく……このような自然とお互いに与え合う関係は理想のパートナー関係ではないでしょうか。人と機械という異なる立場の二人だからこそ、改めて「心とは何か」を考えさせられますね。

褚一平の助手で恒9の恋敵・何麗を演じたララ・チェンは実はBLファンなんだそう。恒9にきつく当たるシーンを撮影しながら、内心は「キャーッ」と叫びたくなるほどドキドキしていたのだとか。また二人のキスシーンを「とても官能的だった」とも。ララ・チェン絶賛のキスシーン、要チェックです！

人間と機械に “愛” は成立する？　SFの永遠のテーマへの挑戦

こうしてうまく暮らしていた二人ですが、物語の後半には恒9が褚一平への大きすぎる感情を処理しきれなくなり故障……からの回収、リセットの危機に！　恒9はリセットされると褚一平と重ねた記憶を全て失って初期状態に戻ってしまうのです。年を取ることがないAIも永遠の存在じゃなかった、タイトル「AntiReset」の意味はそういうことだったんですね！　

さらに「機械」と恋愛しようとする褚一平を心配した叔父の衛恒が恒9を褚一平のもとに戻すことに反対し……物語前半のピュアで優しい恋模様から一転、「褚一平は人間で恒9はあくまでロボット」という厳しい現実が突きつけられます。

人間と機械の間に立ちはだかる大きな障壁。人間とAIの間に愛は成立するのでしょうか。そもそも愛ってなに？　彼らのハッピーエンドは一体どこにあるの!?　SFの永遠のテーマでもある「人間とロボットの愛」、本作の決着点をぜひお見逃しなく！

VBLシリーズ　関連ニュースまとめページ

新たに台湾から誕生したオリジナルBLドラマ「VBLシリーズ」作品の関連ニュースのページです。

https://www.cinemart.co.jp/

Text：沢井メグ（ライター／中国語翻訳者）
大学で中国語と出会い上海留学、上海万博での勤務を経てライターとなる。エンタメ系を中心に中華圏のニュースの執筆、取材、翻訳。主な訳書に台湾ドラマ『いつでも君を待っている』の原作『用九商店』（トゥーヴァージンズ）等
Twitter　 @Megmi381

「AntiReset」

2024年6月28日（金）Blu-ray BOX、DVD-BOX　リリース
BD：13,200円/DVD：11,000円（どちらも税込）
映像特典：メイキング他
封入特典：ブックレット、サイン入りチェキ風カード
発売・販売元：エスピーオー
HP：https://www.cinemart.co.jp/dc/t/vbl4.html
©2023 “VBL Series” Partners All Rights Reserved.

「VBLシリーズファンミーティング in TOKYO～東京でV8に会おう！～」
詳しくは「VBLシリーズ公式サイト」をチェック
HP：https://www.cinemart.co.jp/dc/t/vbl.html
X：https://twitter.com/vbl_rio_love