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韓流20周年特集|進化・深化の韓ドラ20年! ディープに分析#1「元祖からネトフリスターまで~韓流人気を牽引してきた俳優変遷」


2003年、あの「冬のソナタ」がNHK BSで日本初放送されて今年で20年を迎える。「韓流ブーム」と呼ばれた社会現象は様々な時代を経て、今ではひとつのジャンルとして日本のエンタメ市場にしっかり定着している。かつてシニア世代がメインだった韓国ドラマの視聴者層は、ここ日本においてどう広がってきたのか。それは、まぎれもなくブレイクドラマの主人公を演じた俳優の存在が大きい。そこで今回は、各年代の“韓流人気”を牽引してきた俳優たちの変遷を振り返ってみる。


純愛メロのモムチャンから、ラブコメのツンデレ男子にバトンタッチ

始まりは言わずもがな。ペ・ヨンジュン、イ・ビョンホンを2大トップに、ウォンビン、チャン・ドンゴンを加えた“元祖韓流四天王”が巻き起こした第一次韓流ムーブメントだ。この流れに乗って、韓国ドラマの地上波放送が増加。

「天国の階段」(日本初放送2004年)のクォン・サンウ「夏の香り」(日本初放送2004年)のソン・スンホン「ごめん、愛してる」(日本初放送2005年)のソ・ジソブなど、王道ラブストーリーの主人公たちが、韓流スターとして人気を得ていく。彼らの登場によって、“モムチャン(カッコいい身体)”という言葉が流行ったほどだ。

「天国の階段」場面写真
「天国の階段」©SBS

ブーム初期は、視聴者層の中心を担っていたのはシニア世代だったが、ほどなくして違う流れがやってくる。そのきっかけを生んだのが、漫画原作の「宮~Love in Palace」(日本初放送2006年)だ。 架空の王室を舞台に、孤独な王子と平凡な女子高生の結婚から始まる恋物語は、韓ドラ=純愛メロというイメージを一新

主人公を演じたチュ・ジフンは少女漫画から抜け出してきたような外見で、ナイーブな雰囲気が若い世代の心を鷲掴みに。何より、“ラブコメ×ツンデレ王子”という掛け合わせがこの時代にマッチし、その後のスターの潮流を作っていく。

 「宮~Love in Palace」チュ・ジフン
「宮~Love in Palace」チュ・ジフン
©2006 Eight Peaks/MBC All Rights Reserved. ©2009 GD Corp inc.



新星のごとく現れた次世代スターは、今まさに脂の乗った30代トップ俳優

その流れを継いだのが、「花より男子〜Boys Over Flowers」(日本初放送2009年)のイ・ミンホ「美男<イケメン>ですね」(日本初放送2010年)のチャン・グンソクだ。ちなみに、「花男〜」はイケメン軍団、「美男ですね」はアイドルブームを巻き起こすきっかけに。ともに1987年生まれのイ・ミンホとチャン・グンソクが、この後、“アジアの韓流スター”として席巻していったのも興味深い。

「花より男子」イ・ミンホ
「花より男子~Boys Over Flowers」イ・ミンホ
©KAMIO Yoko / Shueisha Inc. ©Creative Leaders Group Eight

その後、彼らを追うように、2013年に「太陽を抱く月」が、翌2014年に「奇皇后-ふたつの愛 涙の誓い-」が、それぞれNHK BSで放送され、キム・スヒョン、チ・チャンウクが注目を集める。

と同時に、この頃になると、CSの韓国専門チャンネルで視聴するマニア層も増え、「応答せよ1997」(日本初放送2012年)のソ・イングク「君の声が聞こえる」(日本初放送2014年)のイ・ジョンソクらも、次世代スターとして浮上。

「応答せよ1997」ソ・イングク
「応答せよ1997」ソ・イングク
© CJ ENM Co., Ltd, All Rights Reserved.

1987年生まれのチ・チャンウクとソ・イングク、1988年生まれのキム・スヒョン、1989年生まれのイ・ジョンソクという、今まさに脂の乗った30代のトップ俳優たちが、同じ頃に新星として現れ、今なお活躍し続けていることを思うと感慨深い。



2016年はドラマ当たり年! 美男集団×時代劇の成功、そしてアラフォー俳優人気へ

そして、大きな当たり年がやってくる。それは、2016年だ。この年は、王宮ロマンス「雲が描いた月明り」パク・ボゴムが大ブレイク。史劇ロマンスの“ツンデレ世子”ブームの火付け役に。

「雲が描いた月明り」パク・ボゴム
「雲が描いた月明り」パク・ボゴム
Licensed by KBS Media Ltd. ©Love in Moonlight SPC All rights reserved

同じく時代劇で、見目麗しき皇子たちが大挙出演した「麗<レイ>〜花萌ゆる8人の皇子たち〜」にハマる人も続出。それまでも根強い人気を誇っていたイ・ジュンギだが、この冷酷な皇子役が受け、新しいファン層を獲得した。一方で、当時新人だったナム・ジュヒョクはこの作品を足がかりに飛躍していく。

さらに、美男集団を主人公にした青春史劇「花郎<ファラン>」では、パク・ソジュン、パク・ヒョンシクらに注目が集まり、スターダムにのし上がっていくきっかけとなった。「雲〜」「麗」「花郎」というイケメン集団×時代劇の成功は、青春時代劇から新世代のスター俳優が生まれる流れを作った。

しかも、「麗」ではEXOのベクヒョン、「花郎」ではSHINeeのミンホBTSのVと、人気K-POPグループのメンバーが出演したことにより、K-POPファンがドラマに、またドラマファンがK-POPに関心を持つといった好影響を双方向に与えることに。その結果、「美男ですね」あたりから来ていた、“アイドル起用”が加速していくわけだ。

また、2017年には「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」が日本でも放送され、コン・ユに沼落ちする視聴者が急増。1979年生まれで当時30代後半だった彼が、ラブストーリー(しかもファンタジーラブコメ)で支持されたことで、キラキラした若手だけでない、韓国のアラフォー世代、実力派俳優にまで関心が集まっていく。

「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」コン・ユ
「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」コン・ユ
© STUDIO DRAGON CORPORATION



コロナ禍の動画配信で再び社会現象! 同時視聴で現地の熱もリアルタイムに

そして、2020年から始まるコロナ禍により、一挙に動画配信時代に。特に、Netflix独占配信の「愛の不時着」(日本初配信2020年)と「梨泰院クラス」(日本初配信2020年)の爆発的ヒットは、新たな韓流ブームを巻き起こし、ヒョンビン、パク・ソジュンは韓流にまったく興味のなかった一般層も魅了。老若男女が夢中になり、社会現象を巻き起こしたが、その熱気は2003年の第一次韓流ブーム時を思い起こさせたほどだった。

「愛の不時着」ヒョンビン
「愛の不時着」ヒョンビン

この新たな潮流により、現在、Netflix作品がスターを輩出する大きな鍵になっている。その代表格が、「わかっていても」(日本初配信2021年)などで熱い支持を集め、“Netflixの息子”の異名を得たソン・ガン、王道ラブコメ「社内お見合い」(日本初配信2022年)が世界的ヒットを記録したアン・ヒョソプだろう。彼らはまさに配信時代の申し子だ。

 「わかっていても」ソン・ガン
「わかっていても」ソン・ガン

“ネトフリスター”ばかりではない。それまでもそうだが、魅力的なキャラクターと魅力的な俳優が掛け合わさり、ストーリーが優れていれば、時代の潮流に関係なく、スターは生まれるもの。その好例が、「赤い袖先」(日本初放送2022年)でカリスマ王イ・サンを演じたジュノ(2PM)だ。彼はいまや韓国のみならず日本でも高い支持を仰ぐ人気俳優の座を確立している。

この20年で、韓流スターの生まれ方も変わった。以前は韓国放送と日本放送のタイミングのズレがあったが、配信時代の今はほぼ同時にドラマが観られるようになり、現地での熱がそのまま日本に伝わってくるようになった。今後どのようなドラマが生まれ、どのようなスターが出てくるのか、時代の流れとともに見守っていくのも面白い。

#2「シンデレラが夢に向かって闘うまで~年代別ヒロイン像」につづく



「韓流20周年」特設ページ

『冬のソナタ』が日本で放送されてから20年。 今年は、日本における韓流20周年を迎えました。 当サイトでは、 関連イベントの情報やこの20年の韓流ブームを紹介したコラムなどを掲載し、 記念の年を盛り上げていきます。



TEXT:高橋尚子(編集・ライター)
ライター兼編集者。第一次韓流ブーム到来時に「韓国TVドラマガイド」(双葉社)を立ち上げ、現在まで責任編集を手がける。ドラマを中心に韓国のエンターテイメントについて、雑誌やWEB、DVDのライナーノーツなどで執筆活動を展開中。韓国エンターテインメントナビゲーター・田代親世さんと韓国エンタメについて熱く語り合うYou Tubeチャンネル「ちかちゃんねる☆韓流本舗」を配信中。https://www.youtube.com/@hanryuhonpo

Edited:野田智代(編集者、「韓流自分史」代表)

今回のコラムに登場した韓国ドラマ
エスピーオーがお届けしている作品
 
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その他

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