韓国に関するイベントのレポートをお届けします。
【イベントレポ】#2:「クリミナル・マインド:KOREA」DVD記念トークイベント★俳優ジュンギをプロファイリング!
今年8月にDVDリリースされたイ・ジュンギ主演作「クリミナル・マインド:KOREA」。この日本DVDリリースを記念し、ジュンギの魅力を語りつくすトークイベント『★「クリミナル・マインド:KOREA」DVDリリース記念トークイベント★俳優ジュンギをプロファイリング!』が、9月7日東京・韓国文化院にて開催されました。「韓国テレビドラマガイド」編集部・ライター高橋尚子さん&「クリミナル・マインド:KOREA」のエスピーオー宣伝担当の矢野が、イ・ジュンギの今までの出演作を振り返りながら、俳優としての彼の魅力をひたすら語ったイベントの模様をお届けします。
#1:2018.9.25 公開
#2:2018.9.26 公開
#3:2018.9.27 公開
#4:2018.9.28 公開
「クリミナル・マインド:KOREA」公式サイト http://www.cinemart.co.jp/dc/k/criminal.html
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●人気とは薄い氷の上を歩くようなものだ
高橋 彼のインタビューは本当に毎回刺激的というか、ぞくぞくさせられます。
インタビューって、事前に答えがある程度予想できる質問ってあるんです。でも、ジュンギは予想を超えてくる。例えば「時代劇で演じるときに気を付けていることは?」という質問。こちらの予想としては、「言葉遣いが...」「所作が...」という答えが返ってくるかなと想定するし、大抵の俳優さんはその想定の下で話してくれることが多いんです。
でもジュンギは、「守る事と冒険する事」だと答えたんです。びっくりして「それは具体的にどういうことですか?」って聞くと、フュージョン時代劇が増えたことで時代考証通りにいかないことが生じている、と。彼ってフュージョン時代劇と呼ばれる作品にたくさん出ていますが、リアリティを優先すべきか新しい表現を優先すべきか、常に制作サイドと話し合いながら決めているそうで。CGを取り入れたり仮面を被ってみたり新しいことに挑戦するけれど、歴史的事実は絶対に歪めちゃいけない。常に歴史的な事実を歪めないという事に気を配っているので、演技的な難しさよりは、時代考証がしっかりなされずに誤った表現をしてしまう事の方が怖い、と語ったんです!それを聞いたときに私、それは"時代劇の雄"と言われるわ!と思ったわけです。ちゃんと土台を大切にしているんですよ。
矢野 彼がいくつの時ですか?
高橋 「イルジメ」の後ですから、26歳ぐらいですね。割と「イルジメ」のあたりで彼は完成していて...すみません、どんどん脱線していて、トークが考えていたストーリー通りに進んでいない...でも、もうガンガン話飛んでいきますね!
(会場笑)
実は、『王の男』でブレイクした後にジュンギは挫折を味わってるんです。『王の男』でいきなりブレイクしてしまって、その後はヒット作に恵まれず。バーンと持ち上げられた後にバーンと叩かれる、みたいな。よくありがちなことですが、「韓流スター」「顔だけ」といった事を言われて。
それで「犬とオオカミの時間」でようやく自分に自信がついたと語っていましたが、その挫折期間があったので、彼は「人気は一瞬のものだ」と語っているんです。インタビューで凄く印象的だった言葉なんですが、「人気とは一瞬のもので、危うい薄い氷の上を歩くようなものだ。ずっとそこに立っていると凍って死んでしまうかもしれない」って。ものすごく繊細なんですよね。ファンの前だと明るい感じですが、インタビューをしていると、すごく繊細ですごく傷つきやすい人だと感じます。そして、すごく気にしいだなと(笑)。出演作で、ヒットする作品もあればヒットしない作品もある。それにはいつも責任を感じていると。
だからこそ、一瞬の人気だけで終わらないようにしたい、と常に話していて。いつかはトップの座から降りなければならない、ということを分かった上で「せっかくトップに立たせてもらったのなら、その短い時間で自分が出来ることはなんだろう」というのを、いつも考えていると話しているんです。
ファンの要望に応えるようなことを演じたいし、自分のエゴだけで悪役をやったりはしない。それってすごく大事なことだと思っていて。自分の欲やエゴに走りすぎないよう常にコントロールしているようなところがある人なんです。そういう部分がインタビューの端々に現れるので、インタビューし甲斐があるというか、何度でもインタビューしたくなる俳優トップ3に常に入る人なんですよね。
矢野 作品選びでも、自分の考えをしっかり持っていらっしゃるんだろうな、とインタビューを読んでいると感じます。
高橋 そうですよね。作品を選ぶとき、ジュンギが選択した作品は何かが違う、他の俳優とは違うという事を感じてもらえるように慎重に選んでいると言っているんです。「実はすごく慎重派だ」とインタビューでよく話していて、作品を選ぶまでにものすごく時間がかかるそうです。直感で選んでいそうな雰囲気があるのですが、本当は悩みながら悩みながら選んでいる。選んだあとは突っ走るタイプらしいんですけども。その前にものすごく深く考える人だなぁと。
●時代劇の考え方・作り方を変えた「イルジメ<一枝梅>」
矢野 「犬とオオカミの時間」以降は、時代劇と現代劇を交互に出演していきますよね。
高橋 時代劇に関して言うと、「イルジメ」もターニングポイントになる作品ですよね。
「イルジメ」って韓ドラ史上ものすごくエポックメイキングな作品だと思っていて。フュージョン時代劇でここまで成功した作品ってなかったし、これ以降、若い俳優が時代劇の主演を務めることが増えましたよね。それまでは歴史の人物を描く作品がほとんどで、どうしても30代越えの大人の俳優が主演することが多かったと思います。「イルジメ」によって時代劇の考え方・作り方が変わったと思うんですよね。
矢野 「犬とオオカミの時間」でイ・ジュンギさんは、"アクション"という代名詞を得ましたが、「イルジメ」では?
高橋 やはり"時代劇"ですね。あと..."仮面"も!仮面の使い方も、「イルジメ」はとても画期的だったと思うんです。これ以降、時代劇で仮面がよく出てくるようになりましたし。長髪やファッションもそうですよね。ジュンギ演じるヨンの台詞で、「モッチョブロ!」つまり「超カッコいい!」みたいな台詞もでてきたり。それ以前は、時代劇にそういう現代の若者が使うような台詞ってなかったんです。だから、若い世代にも入りこみやすく、子供からも人気を得たんですよ。
あと「イルジメ」では、その時代の事件や出来事を風刺した内容が出てきたりして。イルジメが現代の事件を成敗するみたいな感じだったので、"大衆のヒーロー像"というものが作られた作品でもあると思います。
矢野 イ・ジュンギさん、"ヒーロー"というイメージもありますよね。
高橋 そう、だからイルジメによって"時代劇"いう代名詞的がついたと同時に、"ヒーロー"という代名詞もつきましたね。ヒーローものをヒットさせたことって、もの凄く大きいのかなって。そう考えると、ジュンギって何かを切り開くパイオニア的な役割を、要所要所で果たしているんです。
それで...またバーンって話が飛んじゃうんですけど(笑)。私占い系のライターもしていて占いが出来るんですけど、ジュンギさんの星って羽生結弦さんと一緒なんですよ。すごい納得できません?
(会場から驚きと納得の声)
彼らの星は土星なんですが、土星自体は12あるうちの1つなので、その星の生まれの人はたくさんいるんです。でも、二人は土星のゼロ王星というちょっと特殊な星で、ジェットコースターのような波乱万丈の人生を歩む星。スターになる星の下に生まれた人なんです。ものすごく強運にも恵まれるし、ものすごく叩かれることもある。あと、完璧主義だったり妥協を許さないところは羽生結弦さんに通ずるし。一方ですごく繊細ですごく寂しがり屋の星でもあるんですよ。ぴったり!って思って。
(会場笑)
貴族星とも呼ばれる気高い星なんですけど、一方で親しみやすい庶民的な部分も持っている。それこそ庶民のヒーローと呼ばれる星なんです。だから占い的にも興味深い人なんですよね。
矢野 イ・ジュンギさんは「イルジメ」までのキャリアでもなかなか波乱万丈ですしね。
高橋 なにかを完璧に成し遂げようする反面、すごく繊細な部分も抱えているところが、彼の魅力だと私は思っていて。
「イルジメ」に関してもそうですよね。演じた役は、明るく振る舞いながらも陰がある役。ファンの方のアンケートにも「"逆境"が似合う」と書いてありましたが、まさにそうだと私も思います。ラブコメも良いんですが、私はジュンギにドラマの中で苦しんでほしい(笑)。逆境の中で、打ち勝っていくようなキャラクターを彼に期待してしまうんですよ。
矢野 ドラマの中で成長していく、そういう役柄が多い印象がありますよね。
高橋 「犬とオオカミの時間」や「イルジメ」もそうですしね。
●フルショットを大事にしているアクション
矢野 では、次のターニングポイント作品にいきますか?
高橋 はい...あ!「イルジメ」の話、もうちょっといいですか?
(会場笑)
矢野 はい、どうぞどうぞ(笑)。
高橋 ジュンギは最初の頃からアクションの俳優といわれている印象ですが、『王の男』はそこまで本格的なアクションではなかったので、「イルジメ」が時代劇でのアクション初作品なんですよね。とても初めてには思えないアクションでしたが。この「イルジメ」の時に武術監督も、「初めてに思えないようなアクション」と高く評価していて。しかも、「イ・ジュンギの場合は、理解力と吸収力が素晴らしいのに加えて、創作力がすごい」と。
矢野 自分なりの動きを作り出せる、という事ですか?
高橋 そうです。時代劇のアクションって数多くの俳優がやってきましたが、ジュンギの場合はラインが美しいんですよね。彼がよく言っているのは「時代劇のアクションで大事にするのは、全体のフォルム」だと。着物を着た時にどういうふうに着物が揺れるか、笠をかぶった時や扇子を使った時はどうか...と、その全体のフォルムを大事にしている。カメラが撮っているのは一部分かもしれないけど、自分は常にフルショットになった時にどんなふうに写るかを大事にしている。だから部分的に映った時でも、とても綺麗に映るんです。それも実はインタビューの時に驚いたことで。「フルショットを大事にしているアクション」という回答を今まで聞いことがなかったので。
矢野 あと、いつも新しい武術を学んで、アクションを作品ごとに変化させたり。道具もどんどん挑戦していて、「朝鮮ガンマン」だったら銃とか。アクションに注目して作品を見返してみると全然違いますよね。
高橋 その「朝鮮ガンマン」ですが、短い銃と長い銃がでてくるじゃないですか。時代考証的には、短い銃は無かったんですって。
矢野 そうなんですか!
高橋 ジュンギは、ドラマ的に短い銃も無いと素敵に見えないので使ったけど、リアリティを持たせるために、その時代の本をたくさん読んで、その時代の考えや感覚を学んだ、って言ってたんです。
フィクションをたくさん取り入れてるけど、根底の部分は絶対に守る。彼は、新しいものを取り入れるだけじゃなくて、史実、歴史的な事をものすごくいっぱい勉強している。見ている側にとって、そのことは明確にわからないかもしれないけど、それでもリアルさは感じられるじゃないですか。そういう部分で工夫しているんだと感じました。
●声の魅力
矢野 一度フィルモグラフィに戻りましょうか。「イルジメ」の後は「ヒーロー」「アラン使道伝」と...駆け足で行かせていただいて(会場笑)、次のターニングポイントとなる作品「TWO WEEKS」についてお話をお伺いしていきましょう。
高橋 今日のために「TWO WEEKS」を見直してきたんですけど...良いですねぇ、やっぱり!
(会場笑)
矢野 イ・ジュンギさんの初めての父親役でしたね。
高橋 「イルジメ」の時は、ジュンギは子どもの立場で父子の関係を演じたんですが、この作品では逆を演じたんですよね。それも意義深いものだったと思います。
あと「TWO WEEKS」の脚本は、「いとしのソヨン」や「検事プリンセス」「華麗なる遺産」とか、大ヒット作を書いたソ・ヒョンギョンさんなんです。彼女の脚本の特徴は、女性を中心にした物語であることなんです。だから、脚本家にとっても「TWO WEEKS」は初めて男性をメインにしたドラマだったんですね。
しかも長年あたためてきた物語で、その主役をジュンギにやってもらいたいと熱望されていたそうなんです。ジュンギ自身は、父親役を自分が演じられるか不安だったので、最初は断るつもりだったそうで。慎重派な部分が出てね。でも、脚本家に「主人公チャン・テサンはあなた以外に考えられない!」と説得されて。すごい褒め言葉ですよね。さらに「あなたのターニングポイント的な作品にしてあげるわ!」って説き伏せられて。
実は同時期に、「クリミナル・マインド:KOREA」のチーム長を演じたソン・ヒョンジュが出演した、「追跡者(チェイサー)」という大ヒット作があって。同じように娘のために逃亡者となり権力者と闘う内容だったのですが、ジュンギは、「TWO WEEKS」がそれに似た設定だったので、自分にうまく演じられる自信がないと思っていたようなんですけど。でも、やってみたら全く別物になりましたよね。
矢野 確かに全然違いますよね。サスペンス的な要素もあるんですが、娘とのシーンだったりは本当に泣けるというか。ジュンギさんだからこそ出せた繊細さを感じました。
高橋 あと私、ジュンギの魅力のひとつに"声"があると思うんです。よく通るし、聞きやすい。声で自在に演技をしているという印象があります。さっきの「イルジメ」もそうですけど、明るいヨンの時と、シリアスなイルジメの時で声のトーンが明らかに違います。「麗」「夜を歩く士〈ソンビ〉」(※以下「夜を歩く士」)では、声をぐっと低く下げて落ち着いたトーンでしゃべりますし。
久々に「TWO WEEKS」を見直したら、序盤すごく自信なさげにしゃべってるんです。それに気が付いて、すごい!って鳥肌がたって。そのあとは、声ばかり気になって...。声の聴き比べをしていました。
(会場笑)
ぜひやってみてください!声の聴き比べ、すごい分かり易いです。
たとえば「夜を歩く士」もそうですが、第1話でまだ人間だった時の声のトーンは、声が高く抑揚もある明るい感じなんですが、2話目以降のヴァンパイアになってからの声は、低くて抑揚を押さえたしゃべり方になり、体温の低い感じが伝わってきます。しかも、高くなっても低くなっても声が決して割れることがなくて、すごく聞きやすいんですよね。
「クリミナル・マインド:KOREA」の時にもお話ししますけど、私達は字幕を読んでいるのでもちろん話している内容を理解できますが、もし私達がネイティブの韓国人で字幕がなかったとしても、すごく聞き取り易い声だと思います。特に時代劇の場合は、大きな声ではっきりと聞き取りやすい声でしゃべることが、重要なことなので。かつ、それに感情を載せないといけない。だから、高くなったり低くなったり小さくささやいたり大きく叫んだりする。それで聞き取りにくくなってしまう俳優さんっていっぱいいるんですけど、ジュンギは凄く聞き取りやすいんです。韓国語が母国語じゃなくても聞き取りやすさを感じますよね。それくらい声の魅力は外せないなぁって。
(会場から同意の声)
矢野 声って演技の大事な要素ですからね。
高橋 「TWOWEEKS」は徐々に声に自信が出てくるんですよ。後半になって自分で作戦を練ったりするようになったりすると、すごく明瞭でしっかりしたしゃべりかた、声の出し方になっていくんです。
声ってそうそう変えられないじゃないですか。私も今ずっとしゃべっていますが、同じトーンでしゃべってますよね。皆さんもそうだと思います。でも、ジュンギの声は結構な高低差があるんです。ぜひ1度、声を聞き比べて作品を見直してほしいです。新しい発見があるんじゃないかなと思います。
矢野 同じ現代劇の「クリミナル・マインド:KOREA」でも、全然違いますよね。
高橋 全然違う!声の弾ませ方も全然違う。あ...私また話が飛んじゃうんですけど...。
(会場笑)
矢野 どうぞどうぞ。(笑)
高橋 私、ジュンギの演技でぱっと浮かぶのは"弾力"なんですよ。弾むような感じ。アクションもそうなんですけど、演技がボールのように弾む印象があるんですね。いうなれば、躍動感。躍動する感じを画面越しに伝えるって難しいと思うんですけど、ものすごく感じるんですよね。そのキャラクターが躍動している感じが。
その躍動が弱いな、強いなというのが、自信のなさや自信がついてきた感じ、あえて明るく振る舞っている様子だったり。躍動感の度合いで伝わってくるというか。うまく言葉では説明できないんですけど、画面から伝わってくるこの感じは一体何なんだろうといつも思ってるんです。
<第3回へつづきます>
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2017年|韓国|音声:オリジナル韓国語・字幕:日本語|発売・販売元:エスピーオー |公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/dc/k/criminal/
c 2017 Buena Vista International, Inc. ? Produced by STUDIO DRAGON in association with ABC Studios ? Original U.S. series "CRIMINAL MINDS" created by JEFF DAVIS ? ? Original U.S. series "CRIMINAL MINDS" produced by ABC STUDIOS and CBS TELEVISION STUDIOS
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Licensed by KBS Media Ltd. c 2014 KBS. All rights reserved 公式サイト:http://www.cinemart.co.jp/gunman/
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