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連載

#1【韓流お仕事図鑑】あなたのもとに韓国ドラマが届くまで<ライター編>




★★今までの「あなたのもとに韓国ドラマが届くまで」はこちら★★



普段私たちが見ている韓国ドラマ。韓国で制作されたドラマがどういう道のりを経て、日本でテレビ放送されたりDVDになったりするかご存知ですか?
この連載は、韓国ドラマを日本のお茶の間に届ける過程に携わる人たちにインタビューをしていく【韓流お仕事図鑑】です。

連載第5回目は、言葉で作品を伝えるお仕事"ライター"に迫ります。
「師任堂(サイムダン)、色の日記」をはじめ、多くの作品に携わるライターの青島昌子さんのインタビューをお届けいたします。

<プロフィール>
青島昌子(ライター、韓国語翻訳家) 
1990年代に韓国に留学。帰国後は翻訳、通訳として活動。韓流ブームとともに執筆活動に入る。翻訳書「スノーキャットのひとりあそび」(二見書房)共訳「韓国の歴史を知るための66章」(明石書店)「美男<イケメン>ですね フィルムブック」(キネマ旬報社)など。得意分野の本格時代劇を中心に、DVDオフィシャルライターとして「龍の涙」「ケベク」「チャン・オクチョン」「お願い、ママ」など、多数の作品に参加。



第1回 「3割の新ネタ」:2017.10.5更新
第2回 「"イケメン俳優"ソン・スンホン」 :2017.10.6更新
第3回 「恋愛要素は照れる」 :2017.10.10更新




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― まず始めに、韓流のライターとは具体的にどのようなお仕事なのか簡単に教えていただけますか?

私の仕事は韓国のドラマ・映画に関する文章を執筆します。
雑誌やWebに書くこともありますし、商品のオフィシャルライティングも行います。
基本的にドラマ・映画まわりのことはなんでも書いていますね。


― この"オフィシャルライティング"ってあまり知られていないお仕事かと思うのですが、具体的にどういったお仕事か教えていただけますか?

DVD商品にまつわる文章を書くことです。
一般的にはDVD-BOXの箱やブックレットに書かれているあらすじやイントロダクションなど。宣伝で使用されるプレスシートや、ガイドブックなども書きます。


写真は「師任堂(サイムダン)、色の日記」DVD-BOX1の展開図。これら商品に掲載された文章を、青島さんが執筆している。


― 作品によっては、執筆される分量もいろいろですよね。
例えば、"あらすじ"を書くとしても、全話分執筆される場合と、まとめて1つだけを書かれる場合だったり。


そうですね。
更に、セルとレンタルで話数が異なる場合は、それぞれの各話あらすじを書くこともあります。その他にも細かくいろいろなパターンのあらすじを書くことがあります。あとは、あらすじだけを担当する、という場合もあるんですよ。


― DVD商品に書く文章と、雑誌・WEBに書く文章。ここが違うな、と思うところはありますか?

雑誌に書く場合は視聴者目線が大事なので、視聴者の心理をくすぐるような文章を書こうと心がけています。

DVDのときは、もっと俳優やスタッフ寄りの目線を大事にして書いています。そこで視聴者目線になってしまうと、オフィシャルの雰囲気が無い文章になってしまうので。ドラマが作られた意図を大事にしたいなと思っています。


― 最近だと「師任堂(サイムダン)、色の日記」(以下、「師任堂~」)を担当されていましたが、
オフィシャルライティングの場合、どれくらいの期間作品と関わるんですか?

 
「師任堂~」は1年ぐらいですね。
1年は長い方ですが、オフィシャルだと基本的にどの作品も長く作品に関わります。

全16話の作品だったら3か月ぐらい。
あらすじは書かずにプレスシートとDVD-BOXまわりの文章だけ、というケースもありますが、それでも3か月はかかります。


「師任堂(サイムダン)、色の日記」プレスシート。ここに書かれている文章も、青島さんが執筆している。




― では、雑誌やwebの記事を書くときのことについて教えてください。
雑誌やwebで記事を書くときに、意識していること、注力していることなどはありますか?


7割ぐらいはファンの方が知っていて共感出来るようなこと、残りの3割は新しいネタを入れることです。

以前、他のライターさんから言われたことなんですが、本当にそうだな、と思ったんです。ファンの方にとっては、自分が知っていることを見て確認することもひとつの喜びなので、知らないことばかりでもいけないんです。

確かに自分も、仕事とは関係ないところで本を読んだりするときに、「この情報知ってる、他の何かで見たことある」と思うことがまた嬉しかったりするんですよね。プロの人が書いていることを自分も知っていることが嬉しい、みたいな気持ち。
それと同時に「これは知らなかった」と、そこで知識として得られることも嬉しさです。

全部「知らない」または「知ってる」ではなく、ある程度知ってることと知らないことのバランスをとりながら書くこと。
これをひとつの信条というか、そういう風に書こうと意識しています。

更になるべくその3割のみんなが知らない新しいネタのところに、自分が韓国語が読めるということを活かして、韓国から探ってきた隙間ネタを入れるようにしたいなと思っています。



― 7割知ってること、3割新しいことというバランスをとる為には、韓国ドラマファンがどれぐらいの情報を既に知っているのか、ということを常に把握しておく必要がありますね。

それは本当に難しいところだと思います。
記事を書くとき、私はマニアックなことまでつい書きたくなっちゃうんですが、そうすると編集の方から「ファンの方はそこまで求めてない」と指摘されるんです。
編集の方たちはその辺りをすごくよくわかっていると思います。読者カードなどもありますし、だいたい把握されているんですよね。
そういう話を聞くと、「ここまでは書いちゃいけないんだな」と思ったりします。

― ということは、雑誌に書かれていること以外にもたくさんマニアックなネタが眠っているんですね。

次に書こうと思ってとっておくネタもあります。
ライターを始めた頃は、そういうネタを書きためるネタ帳を持っていましたよ。(笑)


<第2回へつづきます>


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★青島さんが翻訳を担当されました★



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