「師任堂(サイムダン)、色の日記」キャストorスタッフのインタビューを毎週1名ずつ掲載していきます。
この連載も今回で最終回!最後は、現代パートでは美術界の不正を暴く「ラド」のメンバー、そして朝鮮時代パートでは世子(のちの仁宗)を演じた、ノ・ヨンハクさん!
<プロフィール>
ノ・ヨンハク(世子 ※のちの仁宗/ラドのメンバー)
1993年4月1日生まれ。8歳の時に演技をはじめ、「チャクペ―相棒―」(11)「階伯〔ケベク〕」(11)など数多くの時代劇に出演。”子役界のチェ・スジョン”と呼ばれる。時代劇以外でも、「ロードナンバーワン」(10)「恋はドロップキック!~覆面検事~」(15)など数多くの作品で少年期を務める。近年では「君を守る恋〜Who Are You〜」(13)や「2度目の二十歳」(15)など子役ではなく成人役も担うようになっている。
ノ・ヨンハク(世子 ※のちの仁宗/「ラド」のメンバー) #1
― 「師任堂(サイムダン)、色の日記」に出演を決めた理由を教えてください。
実は「師任堂(サイムダン)、色の日記」には、本当に偶然、出演することになりました。
制作段階からキャスティングされて撮影を始めたのではなくて、もともと出演を予定していた俳優が事情により参加できなくなり、私がその方の代わりに出演することになったんです。
オフで家にいたら、制作サイドから急に連絡が来て。今日すぐオーディションを受けにこられるかと言われ、気楽な気持ちで行ったところ、監督の決定で台本も覚えられないままいきなり撮影に臨むことになりました。
もともと人見知りをする性格なので、撮影が始まるときはすごく緊張するタイプだし、自分の経験の中で台本も覚えられない状態で撮影に入るということは初めてだったので、とてもプレッシャーを感じていました。
でも、監督自ら励ましてくださったし、幸い、一緒にお仕事をしたことのあるスタッフの方たちがたくさんいて、なんとかやり遂げることができたと思います。
また、中宗役のチェ・ジョンファン先輩の存在が大きな力になったと思います。今回が3回目(※)の父子役なんです。
現場では茶目っ気にあふれていて後輩に力を与えてくれる先輩なので、すごく頼りになりました。
※①2011年「チャクペ―相棒―」 ②2011年「階伯〔ケベク〕」 ③2017年「師任堂(サイムダン)、色の日記」
― 「師任堂(サイムダン)、色の日記」の脚本をはじめて読んだときの印象は?
「師任堂(サイムダン)、色の日記」という作品は、制作前から大きな話題になっていたドラマでしたし、そもそも大作なので、どんな俳優でも出演したかった作品だと思います。
また、イ・ヨンエ先輩の復帰作ですので、私も視聴者として期待していた作品だったんです。
そんな作品に出演する機会を得たということ自体、しかも突然のチャンスに恵まれてだったので...私にとってはとても幸運なことだと思っていました。
「師任堂(サイムダン)、色の日記」は、人々の生活を中心に据えた温かい家族ドラマのようだと感じました。
実は、私がこれまで出演した時代劇は、だいたいが暗い雰囲気だったんです。
久しぶりに見る温かい雰囲気の台本が、活気にあふれた撮影現場の雰囲気とかみ合って、相乗効果を出せたと思っています。
― ご自身が演じる世子/ラドについては、どういった印象を抱きましたか?
本作に出演する前に、KBSの大河ドラマ「軍師リュ・ソンリョン ~懲毖録<ジンビロク>~」に出演しました。同じく世子役であり、政治においてトラウマを抱えた父親を持つ息子という共通点がありました。
その後、思いがけず「師任堂(サイムダン)、色の日記」に参加することになった撮影初日、状況分析ができない状態で表面的な内容だけを聞いて演技をしてみたところ、実はいまの世子とは少し違う性格のキャラクターになってしまいました。
最初の撮影が終わったあと、監督さんとたくさん話し合いました。
監督さんは、私が別の時代劇で見せたような、力強く、苦悩に満ちた世子ではなく、明るくて純粋な青年の姿をまとった世子を望んでいらっしゃいました。
私もまた、最初の撮影後、台本を読んで分析しながら、徐々に今のような世子の姿になっていきました。
あ!
それから、実はラドという人物については、事前に何も聞かされていませんでした。
監督さんがラドという役まで与えてくれたおかげで、役者としての挑戦をすることができたと思っています。
世子の、明るく青年らしいイメージをキープしながらも、朝鮮時代とはまったく違う人物のように見せられたらいいなと思っていました。
事前制作のドラマだからか、監督さんと話し合う時間も十分にあり、モニタリングしながらその場で修正できたので、自分が意図していた演技ができるように努力したつもりですが...結果は私もテレビを通して確認します!
視聴者の方たちが、世子とラドのどちらも好きになってくれたらうれしいです。
― 世子/ラドは、過去/現代どちらのパートでも、物語後半のカギになる人物ですがこの役を演じるうえで演出家・脚本家から受けたアドバイスなどはありましたか?
ユン・サンホ監督は、すごくストレートでありながらも、俳優に力を与えてくれる温かい方でした。
リハーサルのときは、いつも監督さんとたくさんの話をしていたと思います。
おかげで、自分が準備していったものよりもはるかに新鮮で良い演技ができました。
監督さんは台本に書かれた基本的な内容以外のことを表現することを喜んでくれました。
おかげで、他の時代劇ではできなかったようなアドリブや即興的な表現も披露することができたと思います。
たぶん、イ・ギョムと世子との明るい雰囲気は、このような監督の考え方があったからこそ可能だったと思います。
これまで暗い内容の時代劇を演じてきたからか、時代劇で演技をすると、自分でも気づかぬうちに暗くて真面目な姿が出てきてしまうんです。
また、物語の中で世子が置かれている状況も、明るいとばかりは言えないものでしたし。
でも監督さんは、そんな状況においても、光を失わない世子であることを望んでいました。
そうであってこそ、危機的状況に置かれたイ・ギョムとサイムダンに助言をしてあげられる存在になれるからです。
また、世子がイ・ギョムとサイムダンに見せる姿と、宮廷で大臣たちに見せる姿が、まったく別ものであることを望んでいました。
イ・ギョムと一緒にいる時は心も身体も解き放ってこそ、彼に自分の心の内を話せたからです。
反面、反正で王になって、しっかりとした政治的基盤を築けず大臣たちに振り回される父を見ながら育ったため、大臣たちの前では非の打ち所がないような強い世子の姿を描きたいと思っていました。
ラドという役を急に与えられた時も、このような、相反する部分をそのまま投影したいと思いました。
同じ人でもまったく違う世子とラドを表現するためにとても悩みました。ラドを演じるときは、監督さんもそんなラドの姿を気に入ってくれて面白がってくれましたが、私もどのような姿に描かれるのか、楽しみにしています!!
― 世子は、信頼するイ・ギョムと、父である王とのはざまで悩みます。実際、後半は重い雰囲気も多かったですが、このキャラクターを演じられるときに意識したことはありますか?
実は、世子は父の過ちを誰よりもよく分かっています。
しかし、父のあのようなトラウマがどうして生まれたのか、幼い頃から見てきて誰よりもよく分かっているため、父を責めたり恨んだりはしません。
台本を読んで、(世子は)とても思慮深くて情にあつい人物だと思いました。
世子が登場するところからは、あまりにも別の路線を歩んでいるイ・ギョムと父の間で、誰よりも悩む世子の姿を感じることができました。
父であり絶対的存在である王の命令には従わなければなりませんが、誰よりも信じて慕っているイ・ギョムとの間で"選択"をする前に、世子がどちらかに肩入れしているような姿は見せたくありませんでした。
視聴者の方たちは、もちろんイ・ギョムのほうが好きだったでしょうけれども、中宗はやはり、私のたった一人の愛する父だからです。
イ・ギョムはまさに、一度会ったら誰もが好きになるような温かくて魅力的なキャラクターですが、中宗はそうではないので、その2人の間でバランスを取ろうと努力しました。それがドラマの中での世子の人間的な姿であり、見どころだと思うんです。
<第2回へつづきます>
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