ドラマをより深く!
今週のキーワード

KNTVでの日本初放送に合わせて、毎週放送された2話分から気になるワードをピックアップ!

解説していきます。

【5話&6話】己卯士禍/夢龍室(ヒョルリョン)

己卯士禍(キミョサファ)~王を襲う不安と孤独

朝鮮第11代王・中宗は、第10代王・燕山君に対して勲旧派が起こしたクーデター「中宗反正(チュンジョンパンジョン)※」によって、1506年に王座に就きました。

そのため中宗は政治の実権を勲旧派に握られていました。

ところが1510年、勲旧派の重鎮、朴元宗(パク・ウォンジョン)が死去、中宗はこの機に急進的な士林派(サリンパ)の中心人物だった趙光祖(チョ・グァンジョ)を登用し、理想を実現しようとします。

しかし、趙光祖は急進的過ぎました。

勲旧派は趙光祖が王を操っていると訴え、士林派を大量粛清させることに成功します。
この時39歳だった趙光祖は流刑の後に薬死、これが己卯士禍です。


ドラマでサイムダンとギョムが出会うのは1520年。
サイムダンの父、シン・ミョンファは1519年に官職を退いた士林派です。中宗がミョンファに詩を贈ったのは、忠臣への気遣いからでした。

ですが、それがもし勲旧派に知られたら、今度は自分が王座から引きずりおろされるかもしれない...。そんな王の不安と孤独がこのドラマの根底に流れているのです。

※「中宗反正(チュンジョンパンジョン)」については、"「師任堂」がより楽しめる歴史豆知識"にて詳しく解説しています。


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夢龍室 ~龍が連れて来た天才児ヒョルリョン

「やんちゃで明るく、勉強が大好きな少年ヒョルリョン――」
サイムダンは優秀なヒョルリョンに思いきり学ばせてやれないことを申し訳なく思い、彼にそう告げるシーンがあります。

実在のヒョルリョン=李珥(イ・イ)は字を叔献(スッコン)、号を栗谷(ユルゴク)と言います。
サイムダンと李元秀の三男として生まれ、13歳で初試に合格するほど優秀でした。

その後9回科挙を受け、すべて首席合格します。朱子学を発展させて独自の思想を開き、政治家としても積極的に改革に乗り出しました。現在は5千ウォン札の肖像画にも採用されています。

1536年の早春のある夜、サイムダンは玉のような男児を抱いた仙女が東海から現れるという夢を見ました。仙女は子どもを彼女の胸に抱かせました。

その年の12月26日の夜明け、黒い龍が東海から舞い上がり、寝室に入って来るという夢を見た後、サイムダンは珥(イ)を産みました。

ヒョルリョンというのは幼名で、漢字で見龍(現龍)と書きます。
龍を見た時に産まれたので、そう呼ばれるようになりました。


来週は2月21日(火)更新!
【7話&8話】のキーワードをご紹介します。
お楽しみに!


「師任堂(サイムダン)、色の日記」©Group Eight

Text:青島昌子(ライター、韓国語翻訳家) 
1990年代に韓国に留学。帰国後は翻訳、通訳として活動。韓流ブームとともに執筆活動に入る。翻訳書「スノーキャットのひとりあそび」(二見書房)共訳「韓国の歴史を知るための66章」(明石書店)「美男<イケメン>ですね フィルムブック」(キネマ旬報社)など。得意分野の本格時代劇を中心に、DVDオフィシャルライターとして「龍の涙」「ケベク」「チャン・オクチョン」「お願い、ママ」など、多数の作品に参加。