KNTVでの日本初放送に合わせて、毎週放送された2話分から気になるワードをピックアップ!
解説していきます。
【19話&20話】退渓(テゲ)
1,000ウォン札の肖像画として広く知られる儒学者の退渓(テゲ)は、本名を李滉(イ・ファン)といいます。
「退渓」というのは号ですが、ヒョルリョンの号「栗谷(ユルゴク)」が本名の李珥(イ・イ)以上に親しまれているのと同様、イ・ファンも「退渓」と呼ばれるほうがピンとくる人が多いようです。
1501年生まれの退渓は29年に科挙の文科に及第し、要職を歴任しますが、1545年、乙巳士禍で官職を失います。その後、度重なる要請で復職しますが、長く官職に留まろうとはしませんでした。
1560年に故郷で陶山書院を開き、学問研究と後進育成に専念します。
イ・イとともに16世紀を代表する二大儒学者として知られ、明で盛んになっていた陽明学を退けて朱子学の思想を尊重しました。
日本でも、林 羅山、山崎闇斎、藤原惺窩などの朱子学者に大きな影響を与えたといわれています。
後日、政治の表舞台では、退渓の思想を根幹とする東人と、栗谷に従う西人が激しく対立するようになっていきます。
ドラマでは比翼堂で『退渓之夫婦診療』という講義をしたり、ヒョルリョンと問答をしたりする退渓ですが、勉強に没頭しているというセリフもありますから、ドラマの設定としてはこの時期、官職には就いていないという設定なのでしょう。
なお、ソウル中心部の南大門市場や明洞、鐘路一体李は退渓の名に因んで退渓路という地名が付けられています。
来週は4月11日(火)更新!
【21話&22話】のキーワードをご紹介します。
お楽しみに!
Text:青島昌子(ライター、韓国語翻訳家)
1990年代に韓国に留学。帰国後は翻訳、通訳として活動。韓流ブームとともに執筆活動に入る。翻訳書「スノーキャットのひとりあそび」(二見書房)共訳「韓国の歴史を知るための66章」(明石書店)「美男<イケメン>ですね フィルムブック」(キネマ旬報社)など。得意分野の本格時代劇を中心に、DVDオフィシャルライターとして「龍の涙」「ケベク」「チャン・オクチョン」「お願い、ママ」など、多数の作品に参加。
「師任堂(サイムダン)、色の日記」©Group Eight