「師任堂(サイムダン)、色の日記」といえば、主演のイ・ヨンエさん、ソン・スンホンさんの印象が強いですが、その他のキャストもかなりの実力派揃い!
このコラムでは、新星からベテランまで、「師任堂(サイムダン)、色の日記」に出演する俳優達を深堀していきます。
チョン・ミンソク|イ・ヘヨン
ジユンの夫でファンドマネージャーのミンソク。
事業トラブルから一家を奈落に落とす人物ではありますが、陰謀に巻き込まれた被害者である点、家族のために自分ができることを懸命に考えている点、そもそも若くして成功している点から考えても、いわゆる"ダメ亭主"ではありません。
知的な雰囲気を醸し、朝鮮時代編では、サイムダンの息子ヒョルリョン(本名イ・イ)と共に16世紀を代表する二大儒学者として知られるテゲ(本名イ・ファン)※として登場。
1,000ウォン札の肖像画として知られる偉人でもあり、妻のジユンと揃って、お札の肖像画になる人物がリンクしているところが何とも興味深いです。
※テゲに関しては「今週のキーワード」でもご紹介しています。
詳細は「今週のキーワード:退渓(テゲ)~地名やお札で今も親しまれる大儒学者」をぜひご覧ください!
そんなエリートを演じているのが、演劇畑出身のイ・ヘヨンです。
大学時代から舞台で活動を始めた彼は、もともとは演出家志望だったそうです。けれども、韓国を代表する名演出家チャン・ジンとの出会いをきっかけに本格的に役者の道に入り、以降、映画『拍手する時に去れ』(05年)など、チャン・ジン作品に多く出演しています。
知性を感じさせるクールなスタイルで、昨今ではドラマでも頭脳派キャラを演じている彼。
なかでも、「アクシデント・カップル」(09年)で演じたペク新聞記者は、お茶の間に顔を知らしめた一作でしょう。
主人公カップルの偽装結婚にいち早く気づき、彼らをつけ狙うパパラッチという一見イヤなキャラクターですが、実はヒロインを利用する市長候補の悪事を暴こうとする熱血政治部記者だったというオチがあり、強い印象を残しました。
他にも、「約束の恋人」(12年)では韓国大統領府報道官を、「花を咲かせろ!イ・テベク」(13年)ではヒロインが勤務する広告会社の専務役、「LIAR GAME~ライアーゲーム~」(14年)ではゲーム参加者の一人である弁護士役、さらに「ビッグマン」(14年)ではカン・ジファン演じる主人公と大きく関わっていくアパレル大企業、ザロック社韓国支社長を演じるなど、いずれも頭脳明晰なインテリという役どころを担っています。
そうかと思えば、人気シリーズ「ブッとび!ヨンエさん」では、ふとっちょヒロイン、ヨンエさんが勤める大企業のデザイナー"チャン・ドンゴン"役に扮し、気難しい性格ながらヨンエさんにはなぜか甘い、ロマンチック(?)な恋のお相手候補を演じるなど、コメディセンスも発揮。
さらに、最近では「ボイス(原題)」(17年)でチャン・ヒョク演じる主人公と捜査を巡って対立する強力係の係長役に扮し、タフで"冷たい"存在感を光らせるなど、活躍の幅を広げてきています。
演技畑で培った実力でしょうか、一見、地味なようでいて、じわじわとキャラの味を染み渡らせていくタイプの俳優。本作では、十八番の"知性派"キャラで、脇をしっかり支えています。
「師任堂(サイムダン)、色の日記」©Group Eight
「花を咲かせろ!イ・テベク」Licensed by KBS Media Ltd. ©2013 KBS. All rights reserved
Text:高橋尚子(ライター兼編集者)
韓流ブーム初期から雑誌や書籍で原稿を執筆。
2005年には「韓国TVドラマガイド」(双葉社)を企画・創刊し、現在まで責任編集(執筆含む)を担当。
DVDのオフィシャルライターとしても「宮〜Love in Palace」「トキメキ☆成均館スキャンダル」「シンイ−信義−」「仮面」など、多くの作品に関わってきた。王道の胸キュンロマンスを得意とし、「イルジメ[一枝梅]公式応援ブログ」などWEBでの原稿執筆や、韓流トーク番組「どっぷり衛星劇場」のコメンテーターとしても活躍中。