韓ドラファンにお馴染みのエンタメライター&編集者の高橋尚子さんが贈る、『師任堂(サイムダン)、色の日記』放送前の復習コラム。
今回はサイムダンの世界観を作り上げるスタッフに焦点を当てます。全3回にわたり、どんなキャリアをもったスタッフたちが集まっているのか、過去作を振り返りながらご紹介していきます。
第1回:繊細な“色”を描く監督 (2017.1.19更新)
第2回:女心を知り尽くした作家 (2017.1.20更新)
第3回:GROUP8の“目利き力” (2017.1.23更新)
第1回:繊細な"色"を描く監督
朝鮮王朝時代と現代を行き来しながら描かれるこのドラマでは、演出と脚本の手腕は作品の質を左右する重要な鍵になります。
そこで白羽の矢を立てられたのが、ユン・サンホPDと、パク・ウンリョン作家です。
では、彼らはどんな作品を手がけてきたのか?
まず、ユンPDから見ていきましょう。
ユンPDのキャリアは、映画から始まっています。ニューヨーク市立大学で映画製作の勉強をした彼は、1998年公開の『8月のクリスマス』の製作に加わったのち、2002年の『アーユーレディー?(英題:R.U.Ready?)』で監督デビューを果たします。
テーマパークを舞台に繰り広げられる不可思議な冒険ファンタジーを描いたこの映画により、斬新な映像テクニックを得意とする「新鋭」と評価され、当時は目新しかったインターネットムービーも手掛けています。
同時に、1998年には、「シンイ-信義-」「太王四神記」で知られる故キム・ジョンハク監督のもと、ドラマ「白夜」(主演:チェ・ミンス、シム・ウナ、イ・ビョンホン)の助演出を務め、ドラマ制作の世界へと足を踏み入れることに。
2005年の韓中合作時代劇『飛天舞』(主演:チュ・ジンモ)で単独演出デビュー。高麗の武将とモンゴル将軍の娘の運命の愛を、オール中国ロケの壮大なスケールで描き出し、2007年の「太王四神記」で巨匠キム・ジョンハクとの共同演出者に抜擢されるという実力派なのです。
さらに、海女と海に流された西洋人の青年の出会いを描いた「タムナ〜Love the Island」(2009年)では、済州島の美しい風景のなかで育まれる淡い恋物語を繊細に映し出し、マニア層から高い支持を集めます。
ここまでのキャリアからもわかるように、壮大なスケールの時代劇ファンタジーに強く、特に風景美を取り込む巧さは逸品と言われる演出家です。
「師任堂(サイムダン)、色の日記」は、韓国の風景美を画にした芸術家たちの物語であり、繊細な"色"が描かれていくドラマ。ユン監督の徹底したこだわりが、細部に見られる映像美も注目されます。
さらに、プロゴルファーを目指すヒロインの夢と愛を描いた青春ストーリー「バーディーバディ」(2011年)、おばさんヒロインと周囲の人々の温かな交流記「アンニョン!コ・ボンシルさん」(2011年)、財閥家の花嫁に纏わる言い伝えと、そこから始まるツンデレ御曹司と田舎娘の愛を描いた大ヒット・ラブファンタジー「百年の花嫁」(2014年)と、ヒロインもの、温かな人間ドラマにも定評あり。
「百年の花嫁」のようなミステリー要素を巧みに織り込む手腕も、一枚の絵とサイムダンの日記を巡る謎が描かれる今回のドラマで発揮されています!
「師任堂(サイムダン)、色の日記」©Group Eight
「シンイ-信義-」©The Great Doctor LLC and Master Works Ltd. Licensed by TOUCHSKY Ltd.
「バーディーバディ」
発売元:ポニーキャニオン
(C)Group Eight/「Buddy」(C) Lee Hyun Se / Choi Sung Hyun
「百年の花嫁」
韓国未放送シーン追加特別版 DVD-BOX1&2 発売中
発売元:TBS/TCエンタテインメント / 販売元:TCエンタテインメント
(C)AURA MEDIA/cinnecuuz/ACC 「百年の花嫁」日本語版製作委員会
Text:高橋尚子(ライター兼編集者)
韓流ブーム初期から雑誌や書籍で原稿を執筆。
2005年には「韓国TVドラマガイド」(双葉社)を企画・創刊し、現在まで責任編集(執筆含む)を担当。
DVDのオフィシャルライターとしても「宮〜Love in Palace」「トキメキ☆成均館スキャンダル」「シンイ−信義−」「仮面」など、多くの作品に関わってきた。王道の胸キュンロマンスを得意とし、「イルジメ[一枝梅]公式応援ブログ」などWEBでの原稿執筆や、韓流トーク番組「どっぷり衛星劇場」のコメンテーターとしても活躍中。