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師任堂を創るスタッフたち

韓ドラファンにお馴染みのエンタメライター&編集者の高橋尚子さんが贈る、『師任堂(サイムダン)、色の日記』放送前の復習コラム。
今回はサイムダンの世界観を作り上げるスタッフに焦点を当てます。全3回にわたり、どんなキャリアをもったスタッフたちが集まっているのか、過去作を振り返りながらご紹介していきます。


第1回:繊細な“色”を描く監督   (2017.1.19更新)
第2回:女心を知り尽くした作家  (2017.1.20更新)
第3回:GROUP8の“目利き力”  (2017.1.23更新)

第2回:女心を知り尽くした作家

脚本のパク・ウンリョンは、現代社会に生きる女性たちの心に寄り添い、彼女たちが抱える人生の問題や夫婦・家族の愛を温かな視点で描き出してきた作家です。

「師任堂(サイムダン)、色の日記」より


たとえば、2003年の『お向かいの女』。中流階級が暮らすマンションを舞台に、倦怠期に入って久しい3組の夫婦のリアルな日常(不倫による危機含む)をコミカルに描き出した痛快ドラマで、夫に不満を募らせる女性たちの夢と現実は共感度たっぷりです。


また、2004年の『2度目のプロポーズ』も、すべての主婦たちの夢を描いた大ヒット作。
ある日、突然離婚を突きつけられたヒロインが、紆余曲折の末、2人の男性(元同僚の有能男子と年下の一途男子)の愛を受け、実業家として成功していくという人生逆転劇で、自分を捨てた夫への「それ見たことか!」な展開も絶妙です。

さらに、2006年の『人生よ、ありがとう』は、家庭と仕事を両立させてきたキャリアウーマンのヒロインが、癌宣告と胸焦がした初恋の人との再会により、生きる意味を再び見直していく感動ロマンス。様々な愛の形に、涙させられるストーリーで、前2作とはまた違った勇気を与えられるドラマです。

そして、今回『師任堂(サイムダン)、色の日記』でタッグを組んだユン・サンホとの第1作『アンニョン!コ・ボンシルさん』も夫を亡くしたおばさんヒロインの新たな人生を描いた女性応援歌。

「アンニョン!コ・ボンシルさん」より


「良妻賢母」の代名詞であり、女流画家としても知られるサイムダンと、現代で彼女の日記を見つけた女性大学講師(子持ち、夫はトラブルの渦中)を主人公にした『師任堂(サイムダン)、色の日記』は、まさにパク作家の得意どころ。

「師任堂(サイムダン)、色の日記」より

母そして妻としてだけでなく、1人の女性としても夢をもち、ときに胸を震わせながら生きてみたいと思う女心を知り尽くした作家の手により、痛快かつ共感の新たなヒロイン像が生まれること相違なしです。

「師任堂(サイムダン)、色の日記」©Group Eight
「アンニョン!コ・ボンシルさん」©2012 Go Mrs. Go by Group Eight


Text:高橋尚子(ライター兼編集者)
韓流ブーム初期から雑誌や書籍で原稿を執筆。
2005年には「韓国TVドラマガイド」(双葉社)を企画・創刊し、現在まで責任編集(執筆含む)を担当。
DVDのオフィシャルライターとしても「宮〜Love in Palace」「トキメキ☆成均館スキャンダル」「シンイ−信義−」「仮面」など、多くの作品に関わってきた。王道の胸キュンロマンスを得意とし、「イルジメ[一枝梅]公式応援ブログ」などWEBでの原稿執筆や、韓流トーク番組「どっぷり衛星劇場」のコメンテーターとしても活躍中。

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