ドラマをより深く!
カムバック!イ・ヨンエ

エンタメライター&編集者の高橋尚子さんが贈る、『師任堂(サイムダン)、色の日記』放送前の復習コラム。

まずは、本作が13年ぶりのドラマ復帰となるイ・ヨンエを復習。放送前に、幅広い彼女の出演作と併せて、彼女の女優人生をふりかえってみましょう。

第1回:ドラマ編~メロドラマの女王  (2017.1.5更新)
第2回:映画編~美しさを武器に    (2017.1.6更新)
第3回:時代劇編~世界的お茶の間層へ (2017.1.10更新)

第2回:映画編~美しさを武器に  

1990年代、TVドラマ界で一時代を築いたイ・ヨンエの躍進は、2000年以降、映画界へと広がっていきます。

そのきっかけとなった作品が、2000年の大ヒット映画『JSA』
朝鮮半島の南北問題を素材に共同警備区域(JSA)で起きた射殺事件の謎を描いていく本作で、イ・ヨンエは中立国スイス軍から責任捜査官として派遣された女性将校ソフィーに扮し、事件の真相を追う役割を演じています。

ソン・ガンホ、イ・ビョンホンら演技派たちを相手に、切り込んでいく凛とした姿の美しさは圧倒的。一方で、南北間に横たわる現実に、混乱し己の無力に打ちのめされていく様は観客の目線に重なり、共鳴させるものがありました。


本作で、韓国映画界のミューズとなったイ・ヨンエは、翌2001年には『ラスト・プレゼント』『春の日は過ぎゆく』というラブストーリーに出演。

前者では、イ・ジョンジェ扮する売れないお笑い芸人の妻で、不治の病に冒されたヒロインに。ノーメイクで透けるほど白い肌は儚さを増長し、短い余命をリアルに感じさせるほど。遺していく夫を思い、悲しみを押し殺して密かに別れの準備を進めていく姿は涙を誘います。

一方、『春の日は過ぎゆく』では、一転、恋に奔放な離婚歴のあるラジオプロデューサーに扮し、ユ・ジテ演じる年下の録音技師を翻弄。出会いから別れまで、大人の女性の複雑な心理を大胆かつ繊細に演じ、観る者の心を揺さぶりました。

さらに、2005年には、クライムサスペンス『親切なクムジャさん』『JSA』のパク・チャヌクと再びタッグ。

『親切なクムジャさん』より

「イ・ヨンエのために企画した」と監督も明かす今作で、美しくも冷酷な復讐者に変身します。演じたのは、幼児誘拐・殺害の罪による13年の刑期を終えたヒロイン。

彼女が自分に無実の罪を着せた男に対し悪魔のような復讐を企てていく様は、その美貌も相まって背筋が凍るよう。紅いアイシャドウのメイクで冷笑する様、銃を構える様も斬新かつ優雅で、清純なイメージを覆す強烈なインパクトを残しました。

『親切なクムジャさん』より


ちなみに、比類なき美貌もそうですが、細く透明感のある声もイ・ヨンエの個性で魅力です。

か弱い役ではイメージどおりの優しさに包まれ、強く陰のある役では線の細い声が逆に謎めいたイメージをかき立てます。美しさが武器となる唯一無二の女優と言えるでしょう。



「親切なクムジャさん」
プレミアム・エディション 3,980円+税 好評発売中
発売元:ショウゲート
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
2005 MOHO FILM/CJ ENTERTAINMENT


Text:高橋尚子(ライター兼編集者)
韓流ブーム初期から雑誌や書籍で原稿を執筆。
2005年には「韓国TVドラマガイド」(双葉社)を企画・創刊し、現在まで責任編集(執筆含む)を担当。
DVDのオフィシャルライターとしても「宮〜Love in Palace」「トキメキ☆成均館スキャンダル」「シンイ−信義−」「仮面」など、多くの作品に関わってきた。王道の胸キュンロマンスを得意とし、「イルジメ[一枝梅]公式応援ブログ」などWEBでの原稿執筆や、韓流トーク番組「どっぷり衛星劇場」のコメンテーターとしても活躍中。

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