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コラム
鑑賞コラム

BSフジにて放送中の「師任堂(サイムダン)、色の日記」。
この放送に併せ、鑑賞コラムを掲載!
ライター高橋尚子さんが、より深く・より楽しく「師任堂~」を味わうためのポイントを、毎話放送後にお届けしていきます。

※コラムはその日放送された回の内容に触れています。まだご覧になっていない方はご留意ください。
※話数は、BSフジ放送版(全44話)です。


Text:高橋尚子(ライター兼編集者)
韓流ブーム初期から雑誌や書籍で原稿を執筆。
2005年には「韓国TVドラマガイド」(双葉社)を企画・創刊し、現在まで責任編集(執筆含む)を担当。
DVDのオフィシャルライターとしても「宮〜Love in Palace」「トキメキ☆成均館スキャンダル」「シンイ−信義−」「仮面」など、多くの作品に関わってきた。王道の胸キュンロマンスを得意とし、「イルジメ[一枝梅]公式応援ブログ」などWEBでの原稿執筆や、韓流トーク番組「どっぷり衛星劇場」のコメンテーターとしても活躍中。

第40話<BSフジ放送版>

紙工房「揚柳紙所」が閉鎖に追いやられ、サイムダンは悲しみを癒やすためか、夢だった金剛山に絵を描きに向かいます。
そんなサイムダンを追うギョム。
「夫婦になって一緒に行こう。同行するのは私だけだ」と、幼いころに約束したあの山です。


そして、ついに約束の金剛山で2人が巡り会えた瞬間、こちらまで思いがこみ上げてきて、思わず涙。
単純に「感動」と言ってしまうには、あまりにも尊く...。
「3日、3日だけ共にいてくれ」というギョムの言葉に、胸の奥がぎゅーっと締め付けられてしまいます。

さらに、隣に並んで画板に向かい、一心に絵を描く2人の姿の美しいこと、神々しいこと。
御真影を描いていたときとは違う、崇高で柔らかなオーラにまとわれた2人に思わずうっとり。
まるでピアノの連弾を見ているような、芸術的で美しい光景。
魂がつながっているとは、こういうことを言うのかもしれません。

そんな中で、ギョムは言います。
「どうして暗い顔を」

これが2人だけの思い出を作る最後のチャンスだと互いにわかっているのでしょう。
しかし、そのことには一切触れようとしない。この幸せで満たされた時間にやがて終わりがくることも痛いほどわかっており、ただ静かにこのひとときを噛み締めている。
脳天気な逢瀬とは違うのです。
互いに悲しみを胸にしまい、一瞬一瞬を大切に胸に刻んでいるのです。

だからこそ、こんなにも美しく、切ない。

最後の晩、サイムダンはこっそり床を抜け、1人ひたすらに絵を描いていました。
その絵には、金剛山の頂上で2人寄り添う姿が...。
そして、その胸の思いを込めた絵を、火にくべてしまうサイムダン......。

燃えていく絵を見つめながら、声もなくほろほろと涙を流彼女の姿に、もう号泣。

サイムダンが燃やした絵には、こんな詩もしたためられていました。

「何故似たるや。君が情と妾が心」

意味は、「なにゆえ君と私の心はこれほど同じなのか」

これは、幼いころ、「私たちを巡りあわせてくれたアン・ギョンの金剛山図に、2人の思いを込めた詩を残したらどうだろう」とギョムに言われ、サイムダンが金剛山図に書いた詩で、白居易(中国の詩人)の詩の一部です。

(ちなみに、少女時代のサイムダンが比翼の印をギョムに、ギョムがシャクヤクのテンギ(髪結び)をサイムダンに贈ったときのエピソードです)

サイムダンは、自分とギョムがどれだけ心と心で通じ合っているかを痛いほど感じていたんですね。
彼女がギョムに残した手紙がまた泣かせます。

「あなた様の手を握り、逃げることも考えました。
現世でかなわなかった縁(いにしえ)は、来世でかなうでしょうか」

前述の詩とこの手紙に、サイムダンのギョムへの思いがすべて詰まっています。
ギョムだけではなく、サイムダンも深く深く愛していた。

あぁ、究極の切な愛だわ!


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<放送情報>
●BSフジ 放送中! 
毎週(月)~(金) 14:59~16:00 
【公式サイト】

<DVD情報>
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