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コラム
鑑賞コラム

BSフジにて放送中の「師任堂(サイムダン)、色の日記」。
この放送に併せ、鑑賞コラムを掲載!
ライター高橋尚子さんが、より深く・より楽しく「師任堂~」を味わうためのポイントを、毎話放送後にお届けしていきます。

※コラムはその日放送された回の内容に触れています。まだご覧になっていない方はご留意ください。
※話数は、BSフジ放送版(全44話)です。


Text:高橋尚子(ライター兼編集者)
韓流ブーム初期から雑誌や書籍で原稿を執筆。
2005年には「韓国TVドラマガイド」(双葉社)を企画・創刊し、現在まで責任編集(執筆含む)を担当。
DVDのオフィシャルライターとしても「宮〜Love in Palace」「トキメキ☆成均館スキャンダル」「シンイ−信義−」「仮面」など、多くの作品に関わってきた。王道の胸キュンロマンスを得意とし、「イルジメ[一枝梅]公式応援ブログ」などWEBでの原稿執筆や、韓流トーク番組「どっぷり衛星劇場」のコメンテーターとしても活躍中。

第39話<BSフジ放送版>

この回のテーマは、ずばり「母の心」。
前回のサイムダンの言葉が、今回の物語につながっているのです。

というわけで、フィウムダンの息子ジギュンは、いつの間にかサイムダンの息子ヒョルリョンを「友」と呼ぶようになっていました。あの神経質ガリ勉のプライド高きお坊っちゃまが、家の没落を味わい、「友」の家で家族の温かさを知り、素直な子どもの顔になっているじゃあ、ありませんか!

そんな息子をとがめる母フィウムダンに、息子はこう言います。
「私の願いを知っていますか? 一緒に食べるのが私の夢です」
ほろり。

その言葉にショックを受けるフィウムダンに気付いたサイムダンは、そっと近づき、彼女の手を取ります。
「子どもたちのことだけ考えましょう。私もあなたも母親なのだから」

なんのしがらみもなく、純粋な心で「友」となれる子どもたち。それは、大人たちの因縁と確執を取り払うだけの力を持つのですねぇ。


その後、王命により夫チヒョンがサイムダンを捕らえると、彼女を助けるために内密で動くフィウムダン。
そう、彼女とて本来は悪い人ではないのです。
悲しき恋が、愛ゆえの嫉妬が、そうさせただけ。

「なぜ助けに...」と問うサイムダンに、「子どもたちを守ってほしい」と託す"母"フィウムダンの思い。

その思いを受け止め、彼女の子どもたちを必死で守るサイムダン。
2人の母親の思いに思わず胸がぐっとなり。
「母の心」は皆同じ。何よりも我が子を思う心を通じて、彼女たちも真の「友」となれたのかもしれません。


そんな中、ついにチヒョンを倒したギョム。
これで、ハラハラの元凶を一つ解くことができた!

が、それと同時に、自分の命を奪うよう命じた人物こそ、中宗であることをギョムは知ってしまうわけです。

Oh No!!!!

ギョムにしてみれば、「なにゆえ自分が?」という感じでしょう。
あれだけ中宗に愛され、絶大な信頼をあおいでいた自分が...ですもの。

しかし、この時代、王の周囲にいた人々は、ギョムのようにある日いきなり疑心の対象となり、ばっさり切り捨てられるなんぞ日常茶飯事。
現代社会でも、権力の周辺ではよくあることなのかもしれません。
理不尽というか、やりきれないというか。

死を覚悟で王宮に向かい、中宗の前で切々と訴えるギョム。
「味方はお前だけだと言ったはずです。なぜ耳を塞ぐのです」...。
そのやりきれない思いに胸が痛みます。


しかし、その言葉は王の頑なな心に届かず、虚しく打ち砕けてしまうのです。
「黙れ。王の胸中が貴様にわかるか」と。


共に本心をさらけ出し、ぶつかり合う王とギョム。
互いに信頼していた者へのやるせない思い、愛憎渦巻く思い。
よかれと思ってやっていたことが、何かのタイミングで誤解を招き、狂っていくことがあります。

一度狂い始めた歯車は容易にもとに戻ることはできません。
複雑で悲しい人間の心理。

このソン・スンホン×チェ・ジョンファンの迫真の演技に心揺さぶられた!


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<放送情報>
●BSフジ 放送中! 
毎週(月)~(金) 14:59~16:00 
【公式サイト】

<DVD情報>
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