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【インタビュー】「悪との距離」リン・ジュンヤン監督 後編 "人間としての性質に国境はない"

圧巻の金鐘奨6部門受賞、史上最多14ノミネート!台湾ドラマの歴史を変えた、いま見るべき傑作ヒューマンドラマ「悪との距離」。本作の演出を担当したリン・ジュンヤン監督に本作について話を訊いた。

前編 "自分がやらなければいけない物語に出会ってしまった"



― 脚本を担当されたルー・シーユエンさんとのお仕事はいかがでしたか?

リン・ジュンヤン監督 ルー・シーユエンさんはとてもあっさりしているストレートな女性で、いつも単刀直入に問題を指摘しています。僕は彼女の率直さとこだわりの部分がとても好きです。彼女はとても個性的な創作者だと思います。


― 撮影現場の雰囲気はどうでしたか?

リン・ジュンヤン監督 彼らは忘れられないチームになりました。その理由は、おそらく脚本が伝えたい信念への深い共感ですかね。各部門の担当スタッフが積極的に力を尽くしてくれて。そうやって出来上がった作品が皆さんに満足してもらえたのは、このチームの一人一人の力のおかげだと思っています。

― オープニングで報道を見た人々のリアクションが出てきます。あの演出によって、本作が描く物語が見ている私たちにも繋がっていると気が付かされますが、あの演出は脚本の段階からあったのでしょうか?

リン・ジュンヤン監督 脚本には基本の描写があります。毎話のオープニングに三つのネットでのコメントがあります。この演出は本作にとってとても重要だと思います。これは視聴者にとってドラマに入る入口だから、表現の仕方を工夫しました。毎話のオープニングにそれぞれ違う写真や詳しい文字が追加されました。


― 演出家として、本作の名シーンを選ぶなら?

リン・ジュンヤン監督 僕なら李暁明(リー・シャオミン)の死刑が執行された後、王赦(ワンシャー)が美媚(メイメイ)の家で酔っ払って本音を吐き出すシーンを選びます。こういった明確で、直接に論じるセリフは視聴者にとって受け入れづらいからです。それにストーリーの展開、俳優の演技と場の調節、これは僕が演出した中で一番ドキドキしたシーンでした。


― 社会現象になるほど大きな反響を呼んだ「悪との距離」ですが、どのようなところが人々の心を掴んだと思いますか?

リン・ジュンヤン監督 僕は誠意だと思っています。脚本面ではルー・シーユエンさんのおかげで、議題と実在する人物の調査が本作を力強くしてくれました。制作面では、チーム一人一人が真面目にこの物語をしっかり伝えたいと尽力しました。我々がこれらのキャラクターや一つ一つのシーンに対してどれだけ真面目に向き合ったかは、確実に視聴者に届いています。

― 台湾ドラマにとってエポックメイキングな作品になったと言われる「悪との距離」ですが、リン・ジュンヤンさんから見て、台湾ドラマは今後どのようになっていくと思いますか?

リン・ジュンヤン監督 台湾ドラマは、昔からたくさんの人が違うジャンルを作り出しています。「悪との距離」のようなシリアスなテーマを描いたジャンルが皆さんに受け入れられたことで、一番直接的な影響は、様々なジャンルの作品が持つ可能性が真面目に受け入れてもらえるようになることだと思います。僕は今までの、恋愛アイドルドラマだけがビジネスチャンスを産みだすという状況が変わることを期待しています。多様な作品たちが咲くことを期待しています。


― これから「悪との距離」を見る日本の視聴者へメッセージをお願いします。

リン・ジュンヤン監督 日本のみなさん、こんにちは。僕は人間としての性質に国境はないと信じています。良い物語もそうだと思います。互いに助け合うことや相手を受け入れること、相手を思いやること、愛することは本作のコアとなっている価値観です。この物語は国境を超えて、違う文化背景を持つ人々も感動できると思っています。私たちと一緒に感動してくれる視聴者に感謝です。私たちは、これらの価値観を信じています。

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