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シネマートで今やってます。vol.14 『お嬢さん』

こんにちは、エスピーオー宣伝スタッフのJです。
シネマート心斎橋「韓国最強月間」の一本として上映中の『お嬢さん』について遅ればせながらレビューいたします!
※本作品はR-18指定の作品です。



ーあらすじー
1930年代、日本統治下の韓国。詐欺師である藤原伯爵は、スラム街で詐欺グループに育てられた少女スッキへ、ある計画を持ちかけられる。それは、莫大な財産の相続権を持つ令嬢・秀子を誘惑して結婚した後、精神病院に入れて財産を奪い取る計画だった。加担することにしたスッキは、人里離れた土地に建つ屋敷で、日本文化に傾倒した支配的な叔父の上月と暮らす秀子のもとで、珠子という名のメイドとして働きはじめる。しかし、献身的なスッキに秀子が少しずつ心を開くようになり、スッキもまた、だます相手のはずの秀子に心惹かれていく。


「韓国最強月間」として、『お嬢さん』『哭声/コクソン』そしてシネマート心斎橋では今週末公開の『アシュラ』、この3本観終わると「映画」で満たされていく感じ、自分は多幸感に包まれました。これまでも素晴らしい韓国映画を観てきましたが、この3本を続けて観たら完全にノックアウトされました・・・。必見です。

『お嬢さん』は1939年・日本統治下の朝鮮半島にある、西洋文化と日本文化が入り混じった荘厳な屋敷を舞台にしています。西洋・日本そして朝鮮と様々な文化が入り混じった独特なビジュアルが、奇妙な世界感に我々を惹きこみつつ、物語自体をよりミステリアスに感じさせ、映画の中へ没入させてくれました。



そういった舞台のビジュアルだけでなく、映画が進めば進むほどミステリアスになっていく登場人物たちもとても魅力的な存在。その中心にいるのはタイトル(原題もアガシ=お嬢さん)どおり、一人の美しい"お嬢さん"。



彼女の財産を狙う詐欺師(ハ・ジョンウさん)、詐欺師を手伝う一人の少女(キム・テリさん)、そしてお嬢さんの伯父である屋敷の主(チョ・ジヌンさん)、お嬢さんを取り巻く人々それぞれが思惑を持って行動していきます。

この作品は三部構成になっており、それぞれの人物の行動をまた違った視点から見せていくという展開があります。謎解きになっていながらも、登場人物たちの心情をも見せていき、それが最終的に収束していきます。ミステリー・サスペンスとしても非常に見応えがありつつ、ヒューマンドラマという側面をも見せていくのです。さらに言えば、お嬢さんと"ある人物"が魅せる、とても純真なラブストーリーでもありました。



そしてそれを支えているのは、監督はもちろんのことながら俳優たち。"お嬢さん"秀子役のキム・ミニさん、詐欺師を手伝う少女・スッキ役のキム・テリさん、詐欺師役のハ・ジョンウさん、秀子の伯父のチョ・ジヌンさん(「シグナル」のイ・ジェハン刑事!)、この4人のメインキャストがとにかく素晴らしい。それぞれが一つの側面だけでなく、騙し騙される中で見せていく様々な顔を見事に演じられています。どのキャラクターも非常に印象に残ります。



特に凄いなと思ったのは、キム・テリさん。今までCMや短編には出演されていたらしいですが本作まではほとんど演技をしてこなかったそうで。1500人のオーディションを突破した彼女の演技にも要注目です。キム・ミニさんと一緒にとてつもなく体を張っていました!泥臭さや汗臭さが似合うフレッシュな感じが、役柄とも相まってとても彼女を魅力的に見せていたと思います。今後が気になる役者さん。引き続きチェックし隊。



あと、どの役者さんも日本語がとてもお上手!ここまで日本語が多い韓国映画は初めて観ました。韓国の役者さんが流暢に日本語を話しているというのも、なんだか不思議な感覚に誘引された原因の一つかもしれません。



と、あえて穏やかな言葉で感想を書かせていただきましたが、語りたくて仕方ないシーンは山ほど!パク・チャヌク監督ならではのブラックユーモアももちろん存分に味わえます。身体的に残酷な描写は今回少なめでしたね。精神的に残酷な場面は所どころありました。とはいえ、最後は結構スッキリした気分で映画館を出ていけるという、ともかく盛り沢山な映画でした!ぜひみなさま(18歳以上の方!)シネマート心斎橋でご鑑賞ください。



『お嬢さん』はシネマート心斎橋ほか全国にて好評公開中。

監督:パク・チャヌク (カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞『オールド・ボーイ』)
原作:サラ・ウォーターズ「荊の城」(創元推理文庫)
キャスト:キム・テリ、キム・ミニ、ハ・ジョンウ、チョ・ジヌン 
配給:ファントム・フィルム(2016年/韓国/145分/シネマスコープ/5.1ch/R-18) 
c CJ E&M Corporation 公式サイト:ojosan.jp

Text:J(エスピーオー宣伝スタッフ、20代男性)
映画が好きで映画館には毎週通っています。
韓流はじめアジアドラマ歴は入社後から見始めたので約2年半。
一番好きなファン・ジョンミンは『アクシデント・カップル』のドンベク。

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