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連載

シネマートで今やってます。vol.6 『人魚姫』

エスーピーオー宣伝スタッフJです。
みなさま本年もどうぞよろしくお願いいたします。
間が開いてしまいましたが、「シネマートで今やってます。」の第6回です。



シネマート新宿・心斎橋共にたくさんのご来場ありがとうございます!

今回はチャウ・シンチー監督の偉大さを肌で感じました、
『人魚姫』のレビューをさせていただきます。

裏話的な事が読みたいかたはこちらの記事もぜひ!

~あらすじ~
若くして成功した実業家リウ(ダン・チャオ)は、イルカが生息する自然保護区域・青羅湾を莫大な金額で購入し、リゾート開発プロジェクトを推し進めていた。海中に仕掛けた超強力なソナーで海洋生物を湾から排除し、埋め立て許可を取り付けることにも成功する。環境破壊のせいで行き場を失った"人魚族"は、難破船に逃げこみ、絶滅の危機に瀕していた。幸せな日々を取り戻すため、リーダーのタコ兄(ショウ・ルオ)の指揮のもと、一族はリウ暗殺作戦を決行する。可憐な人魚シャンシャン(リン・ユン)を人間に変装させ、ハニートラップをしかけてリウへの急接近は成功するが、毒殺も刺殺もウニ投げつけ攻撃もあえなく失敗...。だがリウは、横暴なビジネスパトーナーの女性投資家ルオラン(キティ・チャン)へのあてつけにシャンシャンをデートに誘うと、富や名声にまったくなびかない純真なシャンシャンに心癒され、急速に惹かれてしまうのだった。おカネだけが愛の対象だったはずのリウと、なぜか彼を暗殺する気になれないシャンシャン。互いに募っていく思いとは裏腹に、人魚族は欲に駆られた者たちにより激しい武力戦へ巻き込まれていく──



上映時間94分と決して尺が長い作品ではないですが、笑いがこれでもかと詰め込まれていました。
それだけでなく、最後には涙も・・・。

シンチー監督の作品は、そうで無い者(半人前や偽物)が本者になるという物語が多く見受けられるようなが気がします。例えば、『西遊記~はじまりのはじまり~』もそうだと思いますし、『カンフーハッスル』もそうですよね。また、『ミラクル7号』や『喜劇王』など、主人公の成長や変化も見逃せないポイントだと思います。ギャグを抜きにしても、そういう物語性の部分で自分はシンチー監督の作品が好きです。

今回の作品もそれは同様で、実業家リウが純真な人魚シャンシャンと出会ったことで、本来の自分を取り戻していき、そして本物の恋にも落ちるという、とてもロマンチックなストーリー。ここだけ読むと、随分真面目なお話に聞こえますが、基本いつも通りギャグのオンパレードです!ただ、物語もしっかりしています。

前述の通り上映時間は長くないにもかかわらず、このギャグのくだり結構長めに時間使うんだ!と思うことが鑑賞中数回ありました。とはいえ、物語は破綻していないというのが凄いですよね。人魚シャンシャンと同じ人魚族のタコ兄が悲惨な目に合う場面と、リウが警察署で人魚の話をする場面は、劇場でも笑い声がそこら中で沸いていました。言うまでもなく、自分も爆笑させてもらいました!こういう誰にでもわかる笑というのはシンチー監督の職人技ですね。

物語もギャグも凄いし、キャストも素晴らしい。

今回、人魚シャンシャンを演じるのは12万人のオーディションから選ばれたリン・ユンさん。本作に出るまで演技経験もなかったとのこと!ですが、非常にキュートなシャンシャンを見事に体現しています。



登場シーンはメイクが崩れていて、どんな顔なのかもよく分からないですが、こういう顔だったんだ!とわかると彼女に恋すること間違いなしです。また、個人的に特に推したいのは陸上での歩き方。人魚なので下半身は魚。ある改造を尾ビレにされているので、陸上でも歩けるようになっているのですが、動かせるのが尾ビレだけ(足元だけ)なので歩き方がチョコチョコ歩いていて、非常に可愛いのです。

そんなシャンシャンら人魚族に命を狙われる実業家リウ(ダン・チャオさん)も、横暴ではあるのですが、どこか憎めない感じは最初から出ています。彼の変化に涙を流すこと必至!



また、リウの事業に共同出資する女性投資家ルオランを演じるキティ・チャンさんの美しさも見逃せません。キティさんは『ミラクル7号』で主人公の男の子に優しくしてくれる先生の役で出演されていました。今も相変わらずお綺麗です!今回は美貌もさることながら、知力・財力も持ち合わせた役柄。リウと恋仲に当初はあるのですが、リウの気持ちがシャンシャンに向いていくことで激しい嫉妬を募らせていきます。



もう一人欠かせない人物が。それはシャンシャンと同じ人魚族で、タコの人魚のタコ兄!演じるのは『西遊記~はじまりのはじまり~』で妖怪ハンターの一人・空虚王子を演じていたショウ・ルオさん。今回は下半身がタコということで、それを使ったギャグが満載。こういった設定もギャグに持ち込めるのは凄いですよね。ショウ・ルオさんの表情の豊かさも加わって、彼が出て来るシーンは笑いが絶えません。あと、タコならではの動きも視覚的に面白いです!シャンシャンとはまた違った陸上での移動法など、視覚的にも楽しまさせてくれる存在です。



完全に余談ですが、人魚たちが避難している難破船の中は『グーニーズ』好きな人は絶対気に入ると思いました。

とにかく、物語・ギャグ・キャストが素晴らしいです。
また、『少林サッカー』の監督ですからアクションももちろん。
ぜひ映画館で他のお客さんと一緒に笑って、涙してほしいです。

『人魚姫』はシネマート新宿・心斎橋にて絶賛公開中です。



P.S
ゲッターロボの音楽が流れて、ますますチャウ・シンチー監督が好きになりました。

監督:チャウ・シンチー『少林サッカー』『西遊記~はじまりのはじまり~』
出演:ダン・チャオ『ドラゴン・フォー3 秘密の特殊捜査官 最後の戦い』、リン・ユン、キティ・チャン『ミラクル7号』、ショウ・ルオ『西遊記~はじまりのはじまり~』
原題:美人魚 英題:Mermaid 2016年/中国/94分/中国語/字幕翻訳:伊東武司 配給:ツイン
Copyright c 2016 The Star Overseas Limited

Text:J(エスピーオー宣伝スタッフ、20代男性)
映画が好きで映画館には毎週通っています。
韓流はじめアジアドラマ歴は入社後から見始めたので約2年半。
2017年の目標はボルダリングのアマチュアコンペ出場。

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