Cinem@rt エスピーオーが運営するアジアカルチャーメディア

連載

シネマートで今やってます。vol.5 『造られた殺人』

エスピーオー宣伝スタッフのJです。
「シネマートで今やってます。」も第5回。



今回はチョ・ジョンソクさん主演、
シネマート新宿・シネマート心斎橋にて公開中の
韓国映画『造られた殺人』の感想レビューをしていきます。

~あらすじ~
離婚と解雇の危機に直面していた記者ホ・ムヒョクは偶然耳にした情報提供の
連絡を受け、連続殺人事件に関する一世一代のスクープをつかむ。しかし、自分
が入手した連続殺人犯の自筆メモが、実は小説「良辰(リャンチェン)殺人記」の
一節であることを知ったムヒョクは、世間を驚かせたスクープが前代未聞の大き
な過ちであったことを悟る。自らの誤報という緊急事態に巻き込まれ不安な日々
を送る一方、スクープが誤報であることを知らない報道局の上司に後続報道を迫
られ、さらに連続殺人事件の捜査を続けてきた刑事に疑われる羽目に。
その後、事件の真実を知っているという目撃者まで現れ、事態はますます混乱の
中へ。そしてムヒョクの誤報どおりの殺人事件が発生してしまう...。


「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇である」byチャールズ・チャップリン

まさかこんなに笑わせられるとは・・・。

物語の中心には殺人事件の誤報というサスペンススリラーがあるのですが、
それを報じてしまった記者・ムヒョクに降りかかる災難がついつい笑えてしまいます。



ムヒョクを演じるのはチョ・ジョンソクさん。
『建築学概論』での主人公の友人役というのが自分の中ではとても印象的です。

今回演じるムヒョクは、
プライベートでは妻と別居中の離婚寸前という危機にさらされており、
仕事ではスポンサーの不正を報道したために実質クビになったという
公私ともに追い詰められているキャラクターです。

このムヒョクというキャラクターがホント共感できるキャラクターでして。
結構お人好しかと思えば自尊的な一面があったりと非常に人間らしいのです。
変に良い人過ぎないし、悪い人でもない。このバランスが素晴らしいと思います。

そんな等身大な彼が公私ともに追い詰められているわけですから
藁をも掴む心境にいるというのは多くの人が共感できると思います。
しかも掴んだ藁があんまり良くなかったというのは、生きていれば「あるある」ですよね。

連続殺人事件の犯人を知っているとの情報提供を受けたムヒョクは、
情報提供者が見守る中、犯人の家に潜入をする事になります。
ここの緊張感が凄かったです。

真っ暗なアパートに懐中電灯一本で潜入。
暗闇から何が飛び出してくるかわからない不気味さ。
そして見つけてしまう「何か」。

この場面に限らず、
サスペンススリラーとしての緊張感はしっかりありつつ、
事態に巻き込まれていくムヒョクが見せていく行動・表情はユーモアたっぷりの演出。
このギャップが作品にメリハリを生んでいて、次の展開が非常に気になっていきます。

命がけで犯人宅に潜入して得た「独占」スクープは瞬く間に世間に広がり、
ムヒョクは追加の報道を求められるようになります。
だけど、追跡を続ける中で自分で気づいてしまうんですね。「誤報」だったと。

この時の「あーどうしよう」って感じの表情がホントに笑えました。
自分が提出していた素材も次々にスクープとしてテレビでバンバン流れてしまい、もう自分の力じゃどうしようもできない状況に巻き込まれていきます。

このスクープをきっかけに、彼は会社に戻れることになり(しかも出世)、
妻との関係も修復の兆しが見えてくるというのが何とも皮肉です。



しかし、誤報が新たな事件を生み出してしまい・・・

後半、ある役で出て来るキム・デミョンさん(「ミセン-未生-」や『インサイダーズ~内部者たち』にご出演)。
声ですぐに分かりました。今回はかーなーり不気味な感じでした。芸達者ですね。

結果たどり着くところはネタバレなので伏せますが
過熱する報道から感じるメディアの在り方、
そして現代において「真実」とは何かと考えさせられます。
社会風刺とメッセージ性もしっかり込められている所、結構好きです。

皮肉の利いたラストはどうとらえるかを
色々な人に聞いてみたくなりました。

殺人事件の誤報が生むサスペンスの行方、
そしてムヒョクにもう一つの「真実」が降りかかります。
ぜひ映画館で確かめて欲しいです。



『造られた殺人』はシネマート新宿・シネマート心斎橋ほか全国にて公開中。

P.S
「ミセン-未生-」のソンニュル(ピョン・ヨハンさん)の上司、ソン代理のイ・テノさんも出てる!今回はまともな人でしたのでご報告!



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
監督:ノ・ドク(『恋愛の温度』)
出演:チョ・ジョンソク(「ああ、私の幽霊さま」『王の涙-イ・サンの決断-』)、イ・ミスク(「ラブレイン」)、
イ・ハナ(『リターン・トゥ・ベース』)、キム・デミュン(『インサイダーズ/内部者たち』)、ペ・ソンウ(『ベテラン』)
2015年/韓国/125分/カラー/シネスコ/5.1ch/原題:??:?????/配給:クロックワークス
c2015 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.   公式HP:satsujin-scoop.com
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

Text:J(エスピーオー宣伝スタッフ、20代男性)
映画が好きで映画館には毎週通っています。
韓流はじめアジアドラマ歴は入社後から見始めたので約2年半。
シネマート新宿では毎回ココアを飲む。

記事の更新情報を
Twitter、Facebookでお届け!

TOP